現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 村民の力で蘇った昭和のボンネットバス! 熊本県・山江村の宝物マロン号がロマンの塊だった

ここから本文です

村民の力で蘇った昭和のボンネットバス! 熊本県・山江村の宝物マロン号がロマンの塊だった

掲載 9
村民の力で蘇った昭和のボンネットバス! 熊本県・山江村の宝物マロン号がロマンの塊だった

 この記事をまとめると

■レストアされた昭和39年式のボンネットバスに注目

60年前の激レア路線バスが蘇った! バスマニア感涙の旭川電気軌道がレストアした「MR430」とは

■所有者は熊本県の山江村役場で名産の和栗「やまえ栗」から「マロン号」と名づけられた

■現在はイベントなどで活躍している

 村民の手で蘇ったボンネットバスが現存

 あらゆる技術が発展してきた現代の日本。自動車の世界でも便利な機能が次々に開発され、標準装備されるようになった。いまを生きる若い世代の人には当たり前のように感じているパワーステアリングやパワーウインドウ、集中ドアロックやリモコンキー、オートマなども、昭和の中期では贅沢装備だったのである。

 それだけ便利な世のなかになったにもかかわらず、なぜか昭和の時代へと想いを馳せてしまう人は少なくない。自動車の世界でも、昭和時代の旧車を好んで所有する愛好家たちが数多く存在している。乗用車はもちろんのこと、昭和のトラックやバスをこよなく愛するマニアも全国各地に存在しているのだ。

 そんななか、ここでは熊本県で活躍する昭和39年式のボンネットバスに注目してみたい。現代ではキャブオーバータイプのバスが一般的となっているが、大正や昭和の時代では、エンジンルームが車体前部のボンネットに収められたものが主流だった。その形状からボンネットバスという呼称が後年になって付けられたのだが、昭和の時代を支えてくれたボンネットバスが現役を勇退後、美しく復元されているのである。

 その所有者は個人や企業ではなく、なんと熊本県の山江村役場。人口3200人ほどの小さな村を束ねる山江村役場の敷地内に、村民の手で蘇ったボンネットバスが現存しているのだ。

 ただでさえ珍しいボンネットバスでありながら、何かとお堅いイメージがつきまとうお役所が所有するという、そんなとてもレアな個体に密着してみたいと思う。

 ベースは昭和39年式のいすゞBXD30!

 ベースとなっているのは、昭和39年式のいすゞBXD30。松本車体製作所で製造され、九州産交バスの乗り合いバスとして活躍したのち、昭和53年に山江村へと寄贈された。

 以降は山江養魚場で保管展示されていたのだが、平成4年に「蘇らせて走らせたい」という声が村民から立ち上がり、同年に会員12名で「ボンネットバスを走らせよう会」を結成。そこからレストアされ、自力走行を可能とした。平成5年には新規ナンバープレートを取得し、平成17年には産業遺産に認定されたという、輝かしき経歴を歩んできたのである。

 美しく蘇ったボンネットバスは、山江村の名産品である極上の和栗「やまえ栗」から「マロン号」と名付けられ、現在ではイベントなどの際に活躍している。平成22年にはボンネットバスの形状をした専用の車庫が建てられ、大切に保管されているという「マロン号」は名実ともに山江村の宝物であり、愛情満載のボンネットバスであることが存分にうかがえる。

 そんな車庫にはレストアの様子や車体の資料などもわかりやすく展示されているため、熊本県を訪れた際にはぜひとも山江村に立ち寄っていただきたい。

 定員50名(当時)を誇るバスでありながら、もちろんエアコンやパワーステアリングなどは装備されていない。車内は鉄板むき出しで、フロアは木製というとにかくシンプルな仕上がりとなっている。心臓部分は6気筒の130馬力で、総排気量は6373cc。現在では非力に思えてしまうが、当時は住民たちの心強い足となり、力強く駆けまわっていた。装備はもとより、きっと乗り心地も良くなかったことだろう。もちろん、それは現代のバスと比較してのこと。当時ではそれが当たり前だったため、不便さや非力さなど問題視されていなかったことだろう。

 便利さや快適さと引き換えに失ってしまった、昭和時代の美学。ときには、そんな当時に触れてみることをお勧めしたい。そうすることで、恵まれた時代を生きていることへのありがたみを、より一層感じることができるにちがいない。

※「トラック魂」2024年夏号・Vol.127より抜粋

※取材協力:熊本県山江村役場企画調整課・商工観光係

こんな記事も読まれています

運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース
えぇぇぇ!? [ダイハツ]って日本で一番古いメーカーだったの!?
えぇぇぇ!? [ダイハツ]って日本で一番古いメーカーだったの!?
ベストカーWeb
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
WEB CARTOP
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
WEB CARTOP
空冷6気筒の水平対向! RRレイアウト! ポルシェになれなかったGMの「コルヴェア」とは
空冷6気筒の水平対向! RRレイアウト! ポルシェになれなかったGMの「コルヴェア」とは
WEB CARTOP
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
WEB CARTOP
アウディだけどポルシェが作ったRS2! 名車誕生のワケは「財政難のポルシェを救うため」の仕事だった
アウディだけどポルシェが作ったRS2! 名車誕生のワケは「財政難のポルシェを救うため」の仕事だった
WEB CARTOP
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
「個タク」って「個人のクルマ」なのになんで「白いボディに青い帯」ばっかり? ボディカラーに決まりはあるのか
「個タク」って「個人のクルマ」なのになんで「白いボディに青い帯」ばっかり? ボディカラーに決まりはあるのか
WEB CARTOP
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
WEB CARTOP
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
WEB CARTOP
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
WEB CARTOP
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
WEB CARTOP

みんなのコメント

9件
  • 000
    変なこと言ってもいいですか?昭和の頃の1970年代ですけどボンネットトラックとかバスの排ガスの匂いにハマりました。当時子供です。笑
  • hen********
    是非、子供の頃を思い出のこのバスに乗車したいので、熊本に行きます。本当にその日が待ちどうしいです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村