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想像以上に「歴然な変化」 ポルシェ911 GT3 RSへ試乗(2) 魅力的なマシンへ進化させる楽しさ

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想像以上に「歴然な変化」 ポルシェ911 GT3 RSへ試乗(2) 魅力的なマシンへ進化させる楽しさ

差は想像以上に歴然 攻め込む自信が高まる

基本的な特性は、ある程度理解している。高速コーナーでボディロールを最小限に抑えれば、タイヤとアスファルトが接する面積が維持され、高いグリップ力を保てる。旋回速度が高まり、ラップタイムも縮まる。

【画像】シャシー調整を極める ポルシェ911 GT3 RS 競合のハイパフォーマンス・モデルと比較 全125枚

すべてのコーナーの条件が理想的で同じなら、ダンパーを伸縮と伸長でそれぞれ+4にし、一番引き締めれば良いのかもしれない。ポルシェ911 GT3 RSの設定は終了だ。

ところが、路面温度が低く若干滑りやすい状態では、クルマの挙動が尖すぎると感じるはず。操る自信を抱きにくくなる。机上では最速の設定でも、路上ではさほど速くない可能性がある。

最初に、すべての設定を初期値の「0」にし、朝露で濡れたシルバーストン・サーキットを数週。技術者のアレハンドロ・ヒメネス氏は、路面を乾かすため再びコースインを指示する。理想値を見つける以前に、限界領域の挙動へ慣れることも意図している。

次に、ダンパーの圧縮と伸長を−4の最もソフトな状態へ変えて4周。その後、+4のハードにして4周。その差は想像以上に歴然だった。

最もソフトな状態では、操舵感はダルくなるものの、流れるような身のこなしでバランスを探りやすい。攻め込む自信が高まる。トリッキーな路面状態にある、シルバーストンのレイアウトを覚えるのにはベストに思えた。

他方、最もハードな設定では、弾いたようにノーズが向きを変える。しかし、明確に安心感が薄まる。オーバーステアとアンダーステアの境界が狭く、リズミカルにラインを追求するのが難しい。

徐々に魅力的なマシンへ進化していく

まるで、異なる2台のポルシェへ乗り換えたよう。しかも、ジャッキアップすることなく、この変化を与えられることへ驚く。

ベストラインだけだが、路面が徐々に乾燥し、細かな調整が始まる。フロントのダンパー以外を0にし、圧縮のみ−1にしてコースイン。次に+1、更に+3で数週づつ走る。集中することで反応の変化へ敏感になり、違いを理解するだけで満足感が得られる。

フロントダンパーの圧縮は、変化を感じ取りやすい。クルマとの絆が増す。グリップ力も変わる。トリッキーなコーナーの連続が、魔法をかけたように滑らかな一連の曲線に思えてくる。

それ以外の変化は、理解が難しかった。リアダンパーの圧縮は、大きな違いを生まないように感じた。対して伸長側は、ハードブレーキング時にリアタイヤの安定性を高めるのに効果的なようだ。

それでも、細かい調整を重ねることで、911 GT3 RSは徐々に魅力的なマシンへ進化していく。すべてのパラメーターを確認し終えた段階で、同時に組み合わせてみる。以降の調整は、繊細に施す必要がある。予想ではなく、結果を受けて決めていく。

調整には、終わりがないようにも思える。ダンパーのパラメーターを1つ選ぶだけでも、無駄に想像力を使い、混乱してしまうかもしれない。

悩んでいる間に、シンプルなシャシーのフォルクスワーゲン・ゴルフ GTIのドライバーは、素直に楽しんでいるだろう。ドライバーの技術ではなく、シャシーの技術で楽しもうとしてしまう可能性もある。

桁外れの能力を引き出すのに役立つ

AUTOCARの読者に911 GT3 RSのオーナーがいらっしゃるなら、サーキットでの走行会では、最初の数日は設定「0」で走られることをオススメしたい。今回のように、素の状態で深く理解する必要がある。

その後、ポルシェの技術者が煮詰めた結果だということを忘れずに、ダイヤルを少し回してみると良いだろう。美味しい料理へ、僅かに塩と胡椒を足すように。

筆者の場合、シルバーストンのグランプリコースで調整を詰めるのに、ほぼ丸1日を要した。ヘビーウェットだったりリアタイヤが減っている状態なら、改めて調整が必要になるだろう。

ポルシェの調整システムが、ブレーキング時の安定性を高めたり、バランスを整えるのに効果的なことは明らかだ。桁外れの能力を引き出すのに役立つ。

その変化へ気付くには、滑らかに一貫して運転できる必要がある。明瞭に判断する能力も欠かせない。僅かに鋭くなった回頭性は、ドライバーの操作によるものなのか、シャシーの変化によるものなのか、分析できなければならない。

好きな人ならハマるほど楽しく悩める

果たして、911 GT3 RSは奥深く面白い。6時間用意した走行時間は、あっという間に終わった。筆者にとっては、思いがけないドライビング・トレーニングにもなった。

一般的なドライバーが求める領域を、超えたプロ仕様の機能かもしれない。しかし、好きな人ならハマるほど楽しく悩める。マツダMX-5のキャンバー角を、細かく調整することと通じる。

ポルシェらしいシャシー特性が、ガラリと変わるわけではない。それでも、レーシングドライバー気取りでダイヤルを回すだけで、楽しさも1ノッチ増すはず。サーキットでの体験が、豊かなものになることは間違いないようだ。

ポルシェ911 GT3 RS(英国仕様)のスペック

英国価格:17万8500ポンド(約3320万円)
全長:4572mm
全幅:1900mm
全高:1322mm
最高速度:296km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:7.9km/L
CO2排出量:305g/km
乾燥重量:1450kg
パワートレイン:水平対向6気筒3996cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:525ps/8500rpm
最大トルク:47.3kg-m/6300rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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