「リベンジを果たした」と、ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)は決勝レース後の会見で、そう切り出した。
そして、「今日はとても難しいレースだったよ」と続ける。ポール・トゥ・ウインの完璧なレースだったが、マルティンにとっては精神的に複雑だったという。レース中には、前日のスプリントレースと、2023年決勝レースで喫した転倒が脳裏をよぎった。
マルティンがフランスGP以来の優勝。ザルコは今季ベスト、ホンダ最高位9位を獲得/第15戦インドネシアGP
「13周目に入ったとき……、英語でなんて言えばいいのかわからないんだけど、昨年のレースのゴーストのようなものを感じたんだ」
「自分のミスから学んだ。ハッピーだよ。この勢いを維持しようと思う。もちろん、全てのレースウイークは異なる。そして、今週末は自信がありすぎたのかもしれない。本当に強いと感じていたし、何もかもがうまくいっていた。でも、自信がありすぎて、僕はミスをした。次はもうちょっと注意しなくちゃね」
過去の亡霊を振り払ったマルティンは、今季、決勝レースとしては3勝目を飾った。スプリントレースとしてはインドネシアGPまでに5勝を挙げている。現在、マルティンはチャンピオンシップのランキングトップにつけているが、ランキング2番手のバニャイアが決勝レースで7勝、スプリントレースで5勝を挙げているのに対し、決勝レースでの優勝数は少ない。ただ、マルティンはバニャイアよりも安定した成績で、ランキングトップをキープしている。
一方のバニャイアは、決勝レースではスタートで遅れた。アラゴンGPでも3番グリッドのバニャイアがスタートでタイヤをスピンさせ、後退した。このときは主にレコードライン以外の路面の汚れが要因だった。今回、スタートで遅れた理由はクラッチだった、とバニャイアは説明している。
「昨日(スプリントレース)と同じスタートを切ろうとしたんだけど、クラッチの反応が違っていた。ちょっとウイリーをして、スピンした。そこまでポジションを落としたわけじゃなかったけど、スタート後、1周目は注意していたので後退した。それで追い上げるのにちょっと苦労することになったんだ」
バニャイアは6番手に後退し、前を走るフランコ・モルビデリ(プリマ・プラマック・レーシング)、マルコ・ベツェッキ(プルタミナ・エンデューロVR46・MotoGPレーシングチーム)をオーバーテイクしなければならなかった。バニャイアがようやく3番手に浮上したときは残り5周で、マルティンは5秒前方を走っていた。
「僕のペースは速かったし、ファステストラップは自分の自己ベストに近いものだった。でも、前を走るライダーを簡単に抜けるほどでもなくて、10周は必要だった。それに、バイクのトラクションにもすごく苦しんでいたし。まあ、満足だよ。難しいレースだったけど、ポイントは獲得できたしね。それでいいと思う」
満足しきれていないような表情で、バニャイアはそう語っていた。マルティンはスプリントレースで転倒して10位、決勝レースで優勝して、バニャイアはスプリントレースで優勝し、決勝レースを3位で終えた。この結果、バニャイアが3ポイントを詰め、マルティンとバニャイアとの差は21ポイントになった。
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