世界第3位の自動車グループ誕生
ホンダと日産自動車は、2024年12月23日に経営統合に向けた本格的な協議を開始するため、基本合意書を締結したことを発表した。
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この統合は、両社の車を取り扱う新車ディーラーにとって、無視できない重要なテーマとなる。
統合の形態としては、両社が持ち株会社を設立し、その傘下に収める形が取られる。最終合意は2025年6月を予定しており、2026年8月には持ち株会社を上場する計画だ。この統合が実現すれば、世界第3位の規模を誇るグループが誕生することになる。
本稿では、特に日産ディーラーにとって、この統合がもたらす変化は大きな関心事だ。今回は、その影響を中心に分析していく。
ホンダ車で日産ラインアップ強化
筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)は先日、本媒体に寄稿した「日産ディーラーの悲鳴 マーチ消失で、現場から「国内向けモデル必要」の声! 車種削減と販売低迷の現状とは」(2024年12月16日配信)という記事で、日産自動車の現状が日本国内の日産ディーラーに大きな影響を与え、苦境に立たされていることを指摘した。
この状況が今回の経営統合のきっかけとなったと考えている。しかし、この統合を前向きに捉えれば、日産ディーラーにとって新たな「武器」が増える可能性があるのではないだろうか。
日産の国内ラインアップは厳しい状況にある。もしホンダとの経営統合を契機に、ホンダの車に日産のブランドを冠して販売できるようになれば、現在欠けているラインアップを補完できる可能性がある。
例えば、ホンダのフリードを5ナンバークラスのミニバンとして提供し、「ラフェスタ」や「キューブ」として販売する案が考えられる。現行フリードはブルドッグやパグを彷彿とさせるフロントマスクを持ち、かつて生産されていた最終型キューブもブルドッグをモチーフにしていたため、
「キューブキュービック」
といった車名の復活もひとつの選択肢となるだろう。過去のファンからは反発を受けるかもしれないが、販売現場としては新たな選択肢が増えることで、顧客への提案の幅が広がり、非常に有益だといえる。
共同開発で生まれる新たな競争力
日産とホンダの経営統合には、両社にとって大きな戦略的なメリットがある。ホンダは「VTEC」など、エンジン技術において高い評価を受けており、日産はレースで培ったエンジン技術や、実用的な装備として「デュアルバックドア」を搭載したセレナなどを強みとしている。
仮に両社が共同でスポーツカーを開発した場合、VTEC搭載の「シルビア」や「スカイライン」ができるかもしれない。また、ミニバン分野では、先代ステップワゴンに搭載された「わくわくゲート」を改良し、デュアルバックドアを採用した新型が登場する可能性も十分にある。筆者がディーラー勤務時代に
「リアゲートの使い勝手が決め手で商談に負けた」
という経験があるように、この機構は非常に競争力が高い。日産とホンダの技術を融合させたリアゲートが実現すれば、トヨタのノアやヴォクシーに対抗する力を持つだろう。
さらに、日産の「e-POWER」は日本市場で非常に効果的だ。高速道路での燃費低下が課題となり、欧米市場では受け入れられなかったが、軽自動車というニッチ市場では十分に競争力を持つ。例えば、N-BOXにe-POWERが搭載されれば、その市場での地位はさらに強固なものになるだろう。また、日産、ホンダ、三菱の3社による軽自動車の共同開発は、ファンにとって非常に魅力的なコラボレーションとなるだろう。
筆者が現在の自動車販売現場に戻ったと仮定すると、各社の特徴や強みを顧客にしっかり伝えることになるだろう。ホンダはその優れたエンジン技術、日産はe-POWERの可能性、三菱はプラグインハイブリッド車の高い性能など、各社の強みを反映した車種を提案することが予想される。
営業担当者の間では、各社の特徴に対する捉え方に意見の違いがあるだろうが、技術者も同様の見解を持っているだろう。
日産ディーラー効率化の進展
ディーラーの販売現場に立つ立場から見ると、長期的には
「販売網の縮小」
につながる懸念があるだろう。2024年12月23日の記者会見で「日産とホンダの両ブランドは残す方向」と発表されたが、筆者はしばらくの間はディーラーの再編は行われないとの希望的観測を持っている。ただし、日産の影響力が弱まれば、地場の正規販売店である日産ディーラーが厳しい状況に直面することは避けられない。
すでに日本国内では日産ディーラーの効率化が進んでいる。2024年4月には、日産自動車が直営の神奈川日産と日産プリンス神奈川を統合し、「日産神奈川販売」を設立した。このような統合は日本各地のディーラーでも進み、店舗の統廃合が加速する可能性がある。
多くの店舗に少ないスタッフでは効率が悪く、統合による効率化は必要不可欠だ。しかし、長期的にはホンダと日産のブランド統一が進むなかで、さらに店舗の統廃合が進む可能性が高い。
現役のディーラー勤務者、特に若いスタッフにとっては、自身が働く会社の将来について不安を感じているのではないだろうか。
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みんなのコメント
そんな単純なもんじゃないでしょう