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【ヒットの法則365】直6直噴ツインターボの登場でBMWの高性能エンジンは新しい時代に入った

2007年、BMWの3L直6直噴ツインターボの登場は衝撃的なものだった。それは環境性能に優れていただけでなく、V8やV12エンジンにも匹敵するパフォーマンスや官能性能を持っていた。Motor Magazine誌は2007年10月号の特集「パワーユニット戦略の焦点」の中で、BMWの高性能エンジンにスポットライトを当て、335iカブリオレ、X5 4.8i、760Liをあらためて取材。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年10月号より)

実用と高性能をつなぐ画期的な3Lツインターボ
私は、BMWが作り出すエンジンの素晴らしさを語るときに、Mやらマルチシリンダーやらを積極的に持ち出すことを、本来よしとしない。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

決して、より大枚を叩けばいいエンジンに乗れて当たり前という諦観の境地からではなく、同じ当然でも、それはもうほとんどすべての人が「いい」と認めているエンジンであるといった、ごくごく当たり前の理由からである。

「BMW M」のエンジンと聞いて、しょぼい性能を想像する読者など今や皆無だろう。そして、いかにその体験が素晴らしいものであったかを紙幅を尽くして語るよりも「一生に一度は経験しておくべきエンジンである」と言い放った方が百倍はいい。ある意味、BMWの高性能エンジンもまた、そのもの単独で究極的に、ひとつのブランドとして成立している。

だから、BMWのエンジンを褒め讃えるときには、3シリーズ以下に積まれるような4気筒の、もしくは比較的手の出しやすい6気筒の、機械から滲み出る他に喩えようのない魅力について大いに語っておきたい、というスタンスに、結局は落ち着く。シルキーなストレートビッグ6などという修飾を有り難がるのも今は昔、ベーシックな4発や小排気量の6発といった言わば実用ユニットにおいても、その味わいの深さには驚くほかない。

要するに、近年のBMWの凄さは「ごくフツウのモデルに積まれるエンジンが素晴らしい」ことに尽きる。

そういった、基礎を固める実用エンジンの手抜かりのない盤石さ。そしてそこにあらゆる性能を積み増しつつある高性能ユニットの、エクストラコストに十分見合うだけの極上さ、唯一無比さ。それこそがこれまでのBMWエンジンラインアップの魅力であった。

だが、そんな2階層のエンジンヒエラルキー(Mを別枠にして3階層というべきかも知れないが)にあって、ひとつの衝撃となったのが、昨年来、高性能エンジン界の話題をかっさらった感のある「N54B30A」、3L直噴直6ツインターボエンジンだったのではなかったか。

ここからいよいよ、本章で語るべきお題目に入る。よくできた4発、6発についての素晴らしさは別のパートに譲り、ここでは多方面からの評価も著しい高性能ユニットについて語って行こう。ベーシックなBMWエンジンの範疇にありながら、つまりは3シリーズという屋台骨モデルにも搭載されていながら、高性能ユニットへの架け橋となる位置づけにあるという点で、3L直噴直6ツインターボエンジンは、BMWにとって画期的であるというべきだ。

熱心な読者ならすでに承知されているとおり、このエンジンは2007年のインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー(UKIPメディア&イベンツ主催)を受賞した。30カ国62人のジャーナリストにより選出されるこの賞そのもの価値や意味について、ここで論ずるつもりはない。

そんなことよりも、話題のフォルクスワーゲン1.4Lツインチャージャー「TSI」エンジンや、高性能の象徴たるポルシェの水平対向3.6Lターボ、さらには賞の常連であり自社の誇りでもあるBMW M用のV10といった超有名ユニット(いずれも、超実用か超高性能、である)を抑えてのベストエンジン受賞であったことに、前述したBMWエンジンラインアップ内における衝撃とのシンクロニシティがみえて興味深い。

一連の335iに積まれるツインターボエンジンが謳うところは、V8エンジン並のパフォーマンスと6発以下エンジン級の環境性能とを、BMWらしさのある官能ストレート6をベースに両立せしめた、ということになる。335iを名乗る各種の3シリーズに試乗してみれば、そのすべてとは言わないまでも、心意気の輪郭は十分に感じることができるはずだ。

パフォーマンスにはほとんど不満というものが見当たらない。アクセルペダルをひと踏みしたときから、これまでのストレート6のイメージが覆される。筆者などは初めて乗ったとき、低回転域でのあまりのパワフルさに、BMWの6発が味わい深さのようなものを見失ったように思えたぐらい。

実際、街中を流すような場面では、ピックアップの鋭さやトルクの爆発的な発揮に戸惑って、エンジンの存在を心地よく感じるといった境地にはならない。自然吸気ユニットの、人にも自然の法則にも、何者にも逆らわない素直な気持ち良さは随分と影を潜めた。

しかし、だ。ダイレクトインジェクションの制御も完璧に、一昔前のM3を完全に凌駕するパフォーマンスを、通常ラインアップのトップグレードが得るに至ったという幸せは、そんなノスタルジックな味わいの減少を補ってあまりある。環境面での役割も考えれば、ガソリンエンジンの未来に、過給器がもう一度新たな光を当ててくれた。

そして、このエンジンの本当の素晴らしさは、中高回転域に達したときにこそ現れた。ターボチャージャーによる力の変化が一定になったのち、ドライバーに伝わってくるのは、やはりBMWのストレート6たる、実に精緻な回転フィールであったのだ。きめ細やかさとワイルドさをもたらしつつ、すべてが滑らかでありながら心地よい引っかかりを乗り手に与えることで快感に換える。この絶妙にバランスされたチューニングと変換テクニックにこそ、機械を機械以上の存在に感じさせるBMW6気筒の真骨頂があろう。伝統のなせる技と言うべきか。

高性能、官能、そして環境。現実に今求められる主な要素をハイレベルで経験せしめたという点で、3L直噴直6ツインターボエンジンは、BMWエンジンラインアップの、ひいてはガソリンエンジンの、大きな節目となることは間違いない。

誰に理解してもらうのか、対象が明確な高性能V型エンジン
最新の直噴ターボエンジンによって実用と結びついた高性能エンジンラインアップ。V8ユニットから始まるそれは、プレミアムブランドの中でも上級の、高級グレードに搭載される。

最新のX5にも搭載されている4.8L V8エンジンに関しては、5/6&7シリーズという基幹高級ラインアップに積まれた場合と同様に、車格や性格、イメージといったユーザーの抽象的なセンスにきっちり適合した、力強くて上質なドライブフィールを提供してくれる存在だと言える。

本質的には、4発や6発のときと同様に、スムーズさと心地よい引っかかりをもって、心に残るエンジンフィールを実現している。その点は変わらない。しかし、それでは高級エンジンとしてモノ足りないということだろう。

エンジンパワーはもちろんのこと、ぶん回したときのエキゾーストノートやちょっとした荒々しさに、「私のクルマはV8だ」と乗り手が認識するに十分な演出が加えられているのだ。

アメリカ市場のこともあるのだろう。V8エンジンという名前の響きが、BMWファンだけとは限らないユーザーに与えるステレオタイプ的なイメージに最大限の尊敬を払いつつも、BMWらしく精緻に回り続けるということは忘れない。そんな、地道と言ってもいい努力が注ぎ込まれている。

そのことは、X5という巨体においてさえ、クルマの動きとエンジン回転数の上昇が、極めて気持ちのいいリニアリティを保って連動されていることでもわかる。荒々しい音や振動を時に感じさせつつ、運動そのものはBMWらしさにもとらない。プレミアムであることの本質を見失っていないことの証左と言えるだろう。

結局、BMWのV8は「伝統のストレート6よりも上である」という納得性を十分忖度しつつ、ほとんどの人が憧れで終わる位置づけのモデルに似合うよう躾けられている。ここでも「BMWらしさ」などという抽象的なひと言が、やはり見事にハマるのだった。

このV8の上には、M用を除くともう1機、さらに雲上なユニットが存在する。フラッグシップである7シリーズのみに積まれるV12エンジンだ。

真のVIPだけがその価値を理解するクラスである。V12エンジンを採用することの理由は数あれど、結局たった1つの言葉に収束されるのではないか。それは「ウルトラスムーズネス」だ。実際、760Liに改めて乗ってみると、その一糸乱れぬエンジン回転フィールに、ロータリーエンジンの有様さえ想い出された。

中間加速においてギゥインギゥインと回ってみせる凝縮感は、他のいかなるマルチシリンダーよりもロータリーに近い。12というバランスされた数字が紡ぎ出す調和。均等に角を落としてゆけば円に近づくが如く、空気や燃料が中心に向かって吸い込まれ、パワーという芯の詰まった円柱が精密に回転するかのように、力を発散する。

それでいて、BMWのエンジンであるということは、他に比べて随分と控えめであるけれど、聞き耳をたてれば心地よく響くサウンドによって存在感を骨太に示している。このクラスはエンジンの存在を外に向かって大仰に示す必要などないのだ。だから、フェラーリなどのスポーツカー用V12エンジンとは違って、心地よい音や振動のユニゾンはない。どこまでも一糸に乱れなし、を信条としている。

もちろん、その気になればスポーツカーに負けない運動性能を発揮する。このクラスに及んでも、実にBMWらしく走ってしまうことに、このブランドの底力を感ぜずにはいられない。

研ぎ澄まされた感覚が生み出す唯一無二の性能
Mのエンジンにも触れておかなければならない。誰もが知っているとおり、ここから送り出されるパワーユニットが、その時代時代において、パフォーマンスと官能の両面にわたりトップクラスであり続けたことは間違いない。

Z4 Mに搭載される3.2L直6DOHCは、現在でもスポーツカーエンジンの傑作であり続けているし、F1直系のイメージも誉れ高いV10エンジンに至っては、もはや新たに語る必要さえなかろう。いずれも量販量産エンジンでないという枠組みを生かして、全身全霊を注ぎ込んだBMWエンジンの、現在進行形の集大成と言うべきだ。

古式ゆかしきストレート6の真髄をいまだ味わえるという点で、Z4 Mの存在は貴重だ。堅い芯の回りを数多の精密パーツが計算どおりに作動し、きれいな雪だるまを造るようにして回転上昇とともにパワーを引き出すその様子は、パワフルだとかスポーティだとか言う前に、極めて官能的である。

私が個人的に(最新のターボエンジンよりもちょっと古いが)この3.2Lユニットを好むのは、その1点が理由と言っていい。確かに、アクセルペダルひと踏みでクルマを蹴飛ばすような力を見せつけるツインターボには驚嘆するしかないが、あまりの強さに気持ちが長続きしない。有り体に言って、飽きがくるのが早い。

その点、研ぎすまされた自然吸気エンジンには、乗る度に新たな発見があり、新たな感動を覚えることが多い。永く付き合えるというわけだ。世界的な3.5L V6化で量販モデルの追い上げも甚だしいが、性能的にも立派に現在のトップクラスである。

最後にV10だ。ハイパフォーマンスエンジンとしての地位は、おそらくクルマそのものよりも盤石だ。そして、このV10の魅力を100%享受したいのなら、M5ではなく、よりスポーティでスペシャルなM6を選びたい。エンジンとしての存在を積極的に内外へ示しつつ、その気筒数に応じたマナー(環境を含む)とパフォーマンスを両立すべしというBMWのエンジン哲学が明確に宿っていると思うからだ。(文:西川 淳/Motor Magazine 2007年10月号より)



BMW 335i カブリオレ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4590×1780×1385mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1820kg
●エンジン:直6DOHCツインターボ
●排気量:2979cc
●最高出力:306ps/5800rpm
●最大トルク:400Nm/1300-5000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●0→100km/h加速:6.0秒
●最高速度:250km/h
●車両価格:783万円(2007年)

BMW X5 4.8i 主要諸元
●全長×全幅×全高:4860×1935×1765mm
●ホイールベース:2935mm
●車両重量:2250kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4798cc
●最高出力:355ps/6300rpm
●最大トルク:475Nm/3400-3800rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●0→100km/h加速:6.5秒
●最高速度:240km/h
●車両価格:963万円(2007年)

BMW 760Li 主要諸元
●全長×全幅×全高:5180×1900×1490mm
●ホイールベース:3130mm
●車両重量:2220kg
●エンジン:V12DOHC
●排気量:5972cc
●最高出力:445ps/6000rpm
●最大トルク:600Nm/3950rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●0→100km/h加速:5.5秒
●最高速度:250km/h
●車両価格:1745万円(2007年)

[ アルバム : BMW 335i カブリオレ、X5 4.8i、760Li はオリジナルサイトでご覧ください ]

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