現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 835馬力のV12エンジンで最高速度345キロ! アストンマーティンの新たなトップモデル 新型「ヴァンキッシュ」の“エレガント”な走りとは

ここから本文です

835馬力のV12エンジンで最高速度345キロ! アストンマーティンの新たなトップモデル 新型「ヴァンキッシュ」の“エレガント”な走りとは

掲載 2
835馬力のV12エンジンで最高速度345キロ! アストンマーティンの新たなトップモデル 新型「ヴァンキッシュ」の“エレガント”な走りとは

性能的にはトップクラスのスーパースポーツカーだが、その乗り味は?

 イタリア・サルディーニャ島で行なわれたアストンマーティン新型「ヴァンキッシュ」の国際試乗会に参加しました。

【画像】アストンマーティンの頂点が登場! 新型「ヴァンキッシュ」を写真で見る(32枚)

 V12エンジンをフロントに搭載する2ドア・2シータークーペであることから、先代「DBS」のフルモデルチェンジ版と捉える向きも多いようですが、それは必ずしも正しくないと、アストンマーティンのコミュニケーション部門でトップを務めるケビン・ウォターズは説明します。

「先代DBSは、DBシリーズ(この世代はDB11)をベースにしたスポーツモデルという位置づけです。いっぽうでヴァンキッシュは、その名のとおりDBシリーズ(現行世代はDB12)からは独立した存在のモデルです。ヴァンキッシュにDB12用とは異なる独自のシャシを採用しているのは、このためです」

 その決定的証拠といえるのがホイールベースです。

 先代DBSのホイールベースは2805mmで「DB11」とまったく同じ。いっぽう、新型ヴァンキッシュのホイールベースは2885mmで、「DB12」より80mmも長く設定されています。

 また、DB12のボディパネルは単にコンポジット製と表記されているので、ここにはプラスチックに近い素材が含まれていてもおかしくありませんが、ヴァンキッシュはすべてカーボンコンポジット製。DB12用とは、軽さの点でもコストの点でも大きく異なっているはずです。

 そしてDB12との最大の違いは、新型ヴァンキッシュが新開発のV12エンジンを搭載していることにあります。

 5年前にその開発が始まった新世代V12エンジンはアストンマーティンのパワートレイン部門で設計が行なわれた模様。エンジンの生産は外部のサードパーティに委託されますが、その拠点はイギリス国内にあるので、「純イギリス製であることには変わりありません」と前出のウォターズは胸を張ります。

 その最大出力が835psで、最大トルクは1000Nmを達成。新型ヴァンキッシュに345km/hの最高速度と3.3秒の0-100km/h加速タイムをもたらします。したがって性能的にはトップクラスのスーパースポーツカーと何ら遜色がないといっていいでしょう。

 では乗り味までスーパースポーツカーそっくりかといえば、これがまるで異なります。

 とりわけGTモードでは、路面からの突き上げを足回りが巧みに吸収してくれる快適な乗り心地が味わえます。

 それでいてボディはしっかりとフラットな姿勢に保たれるので、ハンドリングは正確そのもの。サルディーニャ島のワインディングロードでも一体感の強いコーナリングを体験できました。

どこまでも走っていきたくなるグランドツアラー

 エンジンの感触も、いわゆるスーパースポーツカー用とは大きく異なるものでした。

 ドライビングモード切り替えでGTを選び、通常の交通の流れにあわせて走ると、エンジン音はほとんど耳に届きません。

 最高速度が345km/hに達するハイパフォーマンスモデルにしてはロードノイズも低めで、高速道路をクルージングするようなシーンではとても快適でした。

 その心地よさは、このまま500km、ひょっとしたら1000km走るのも苦にならないと思わせるほどで、アストンマーティンが標榜するグランドツアラーというキャラクターにぴったりマッチするものです。

 それでも、アクセルペダルを強く踏み込んだままタコメーターの針が4000rpmを越える領域までエンジンを引っ張れば、滑らかななかにも心地いいビートが感じられるエンジン音が聞こえていて、「ああ、やっぱりV12は違うなあ」という感動が味わえます。

 もちろん、そのままアクセルペダルを踏み続ければ、公道上ではとても認められていない速度域に簡単に到達するはずですが、そうした走り方がヴァンキッシュに似合っているようには思えません。

 そうではなく、もっとエレガントに、もっと快適にハイウェイクルージングを楽しむ。そのためのぜいたくなパワーソースが、新たに開発されたV12エンジンの役割だったといっていいような気がします。

 そういったヴァンキッシュのキャラクターはエクステリアデザインにも表れていて、いかにもフロントエンジン・スポーツカーらしいロングノーズ・ショートデッキのプロポーションは、ある意味でクラシカルな美しさを湛えています。

 ただし、細部には最新の処理が施されていて、現代のスーパーグランドツアラーに相応しい斬新さも感じられます。アストンマーティンは、これまでにもエレガントさとスポーティさを絶妙にブレンドした2ドア・クーペを数多く生み出してきましたが、新型ヴァンキッシュもその例に漏れないように思います。

 インテリアデザインの美しさも見事です。

 私に割り当てられた試乗車は、シート地のレザーがフォレストグリーンという深い緑に染められていましたが、そのクラシカルでスポーティな色合いは、とても上品であると同時に上質で、いつまで見ていても見飽きませんでした。

 アストンマーティンのカタログモデルは、これでDBシリーズのDB12、ヴァンテージ、ヴァンキッシュの3モデルがいずれも最新世代に生まれ変わりました。

 わずか18ヵ月間で主要3モデルのフルモデルチェンジを終えてしまうそのスピード感には驚くしかありません。しかも、2022年2月に追加されたSUVのDBX707は、先ごろヒューマン・インターフェイス系が全面的に改められたので、アストンマーティンのカタログモデルはいずれもデビューから日が浅いものばかりになったといえます。

 100年を越す伝統を有しながら、その伝統にあぐらをかくことなく、常に進化を続けるアストンマーティン。今後の展開もまた、非常に楽しみといえそうです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
「えっ…!」1800馬力で最高速445km/h! ポルシェ×リマックが手がけた“新生ブガッティ”のハイパーカー「トゥールビヨン」ってどんなクルマ?
「えっ…!」1800馬力で最高速445km/h! ポルシェ×リマックが手がけた“新生ブガッティ”のハイパーカー「トゥールビヨン」ってどんなクルマ?
VAGUE
ゴツい見た目に圧倒! スポーツバイク顔負けの高性能でどこへでもラクに行ける 大型「大パワーアドベンチャー」3選
ゴツい見た目に圧倒! スポーツバイク顔負けの高性能でどこへでもラクに行ける 大型「大パワーアドベンチャー」3選
VAGUE
ホンダの新SUV「CR-V」にはエンジンがない!? “燃料電池で発電”モーターで駆動! 欠点さえ許容できれば「全方位的に魅力的」
ホンダの新SUV「CR-V」にはエンジンがない!? “燃料電池で発電”モーターで駆動! 欠点さえ許容できれば「全方位的に魅力的」
VAGUE
次期型スバル「フォレスター」は“省燃費の水平対向エンジン”搭載!? 北米仕様は2025年に“ストロングハイブリッド”設定へ! 日本仕様にも期待大
次期型スバル「フォレスター」は“省燃費の水平対向エンジン”搭載!? 北米仕様は2025年に“ストロングハイブリッド”設定へ! 日本仕様にも期待大
VAGUE
力強く、しなやかに進化したGクラス、メルセデスAMG「G63 Launch Edition」
力強く、しなやかに進化したGクラス、メルセデスAMG「G63 Launch Edition」
@DIME
初代NSXに存在した「やりすぎ」モデル! たった14台しか売れなかった「タイプS Zero」のストイックさに脱帽
初代NSXに存在した「やりすぎ」モデル! たった14台しか売れなかった「タイプS Zero」のストイックさに脱帽
WEB CARTOP
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
Webモーターマガジン
40年前の日産「フェアレディZ」を海外オークションで発見 走行距離21万キロ超え 年代相応にヤレた「Z32」の価値とは
40年前の日産「フェアレディZ」を海外オークションで発見 走行距離21万キロ超え 年代相応にヤレた「Z32」の価値とは
VAGUE
【魔改造?】メルセデスAMG SLをシューティングブレークに フルカーボンボディの1,000馬力2ドアクーペ ブラバス ロケットGTSとは?
【魔改造?】メルセデスAMG SLをシューティングブレークに フルカーボンボディの1,000馬力2ドアクーペ ブラバス ロケットGTSとは?
AutoBild Japan
100万円以下で「クラウン」に乗りたい! めちゃ安い“高級セダン”は買っても大丈夫? 古くても「やっぱりクラウン」だけど格安中古はやめたほうがいい?
100万円以下で「クラウン」に乗りたい! めちゃ安い“高級セダン”は買っても大丈夫? 古くても「やっぱりクラウン」だけど格安中古はやめたほうがいい?
くるまのニュース
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
VAGUE
「日産 GT-R  プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
「日産 GT-R プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
Webモーターマガジン
FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(1) タイプR誕生前夜
FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(1) タイプR誕生前夜
AUTOCAR JAPAN
軽快なハンドリングで人気急上昇! ミドルクラスの国内メーカー「ネイキッドバイク」3選
軽快なハンドリングで人気急上昇! ミドルクラスの国内メーカー「ネイキッドバイク」3選
VAGUE
日本上陸を果たした「メルセデス G 580 with EQ Technology」は究極のオフローダーなのか?
日本上陸を果たした「メルセデス G 580 with EQ Technology」は究極のオフローダーなのか?
AutoBild Japan
【羨望のSUV】メルセデスAMG・G63全方位試乗。「最新のG」は「最良のG」なのか?!
【羨望のSUV】メルセデスAMG・G63全方位試乗。「最新のG」は「最良のG」なのか?!
カー・アンド・ドライバー
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
カー・アンド・ドライバー

みんなのコメント

2件
  • tondemo310
    300馬力で良いから、トヨタにV12搭載のソアラを作ってもらいたい。初代のシンプルで重厚な意匠で。買えないが、日本人が誇れるクルマが欲しい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3458.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1150.02550.0万円

中古車を検索
ヴァンキッシュの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3458.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1150.02550.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村