1966年に発売され、同期の桜であるトヨタ・カローラと激しい販売合戦を繰り広げたニッサンのサニー。2004年の販売終了までにスタンダードなセダンからクーペ、ハッチバック、ステーションワゴン、さらにはトラックやキャブに至るまで、多種多様な派生モデルが登場したことはクルマ好きなら誰もが知るところ。
そのなかには記憶に残るメジャーなモデルがあれば、あまり日の目を見ることがなかった影の薄いモデルもあり……。ここでは今振り返ると粒揃いだった1980年代と1990年代に登場した、サニーの知る人ぞ知る派生モデルを紹介したい。
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文/FK、写真/日産自動車、FavCars.com
【画像ギャラリー】サニーの派生モデルは個性派揃い!
サニー初のNISMO仕様として登場した「サニー305Re NISMO」(1985年9月発売)
NISMOとしては初のサニーをベース車両としたコンプリートモデル。シャープなフォルムを生かしつつ、エアロパーツやスタビライザーを装着するなど、見た目はかなりスパルタンに
さまざまな派生モデルが登場した6代目サニーで、同車初となるNISMO仕様がデビュー。エンジンは1.5リッターのOHCながらマルチポイントインジェクションやエアロダイナミックポートの採用で最高出力97ps&最大トルク13.1kgmを発生したGA15Eを搭載し、シャープなスロットルレスポンスや胸のすくような加速性能を実現。
しかし、それ以上に目を惹いたのは標準モデルと差別化が図るために装備された専用パーツの数々だった。スポーティなホワイトメーターをはじめ、ホールド性の高いスポーツシート、革巻ステアリング、リアアンダースポイラー、ハードサスペンション、15インチアルミホイールなどはスペシャル感を煽るには十分な内容。
1986年8月には1.6リッター 4バルブDOHCのCA16DEエンジンを搭載した306 TWINCAM NISMOもラインナップに追加されたが、ホットハッチが隆盛を極めた1980年代になぜこのクルマが主役を張れなかったのか? 今となっては不思議でならない。
デートカーになりきれなかったハッチバッククーペ「サニーRZ-1」(1986年2月発売)
キャッチコピーには似つかわしくないエッジの効いたフロントマスク。デートカーにするには雄々しすぎた!?
Runabout Zenith No.1(ランアバウトゼニスNo.1)の頭文字から名付けられたRZ-1は、トラッドサニーの名で親しまれた6代目サニーのワイドバリエーションモデルとして登場した3ドアハッチバッククーペ。
そのキャッチコピーは時代を感じさせる“男1。女1。2’coupe”というお洒落なものだったが、そんな謳い文句とは裏腹にエアロダイナミクスの機能性とスタイルの優雅さを追求した先鋭的すぎるスタイリングは大きな話題を呼んだ。
デビュー当時のエンジンラインナップは1.5リッター OHC直列4気筒の自然吸気とターボの2種類だったが、1986年8月に行われたマイナーチェンジで1.6リッターのDOHCエンジンを追加するとともに、DOHCモデルをベースにした特別仕様車のTWINCAM NISMOが登場。前後スポイラー、14×5.5Jのアルミホイール、スポーツシート、革巻ステアリング、アナログのホワイトメーターといったTWINCAM NISMO専用パーツをふんだんに盛り込んだホットな1台だった。
「サニー1600ツインカムVR」の見た目と中身のギャップに萌える(1988年1月発売)
VRとは「バージョン・フォア・ラリー」の略。つまり、ラリーのために作られたクルマということだ。しかし、見た目はかなりおとなしい
1985年6月に発売された6代目サニーのラインナップに追加されたラリー競技向けの1600 ツインカムVRがデビューしたのは1988年1月。一見すると黒い樹脂製バンパーと鉄チンホイールを身にまとった冴えない4ドアセダンといった印象だが、その実はラリー競技向けを謳う1台だけあって、まさしく羊の皮を被った狼たる充実装備が満載されていた。
まず、エンジンは120psの最高出力と14.0kgmの最大トルクを発生する1.6リッター 4バルブDOHC直列4気筒のCA16DEを搭載。駆動系にはダートや雪道走行中に片輪がスリップしても駆動力の配分を自動調節して直進安定性を向上するとともに、コーナリング時のタックインを抑制するビスカスリッターSDも採用されていた。
さらに、ミッションも1速3.063/2速1.955/3速1.538/4速1.286/5速0.810の減速比に設定したラリー専用超クロスレシオ5速ミッションというこだりよう。VR(バージョン・フォア・ラリー)の名はダテじゃなかった!
RZ-1の意志を継いだ「NXクーペ」はタイムマシンだったのか?(1990年1月発売)
セクレタリーカーとして北米では人気だったが……。斬新なフロントマスクが当時は話題になったが、セールス的には期待に応えることはできなかった
“タイムマシンかもしれない。”という謎めいたキャッチコピーのもと、7代目サニーのクーペモデルとして1990年1月に登場したNXクーペ。
先代モデルのRZ-1が放った先鋭的なイメージからは想像がつかないほど愛くるしくてアイコニックなエクステリアが最大の特長だったが、それもそのはず! 実は、NXクーペは北米市場の女性ユーザー向けに企画されたもので、丸みを帯びた曲線的なスタイリングも日産北米スタジオ(NDI)がデザインを担当していたのだ。
そんな影響もあって、北米で絶大な人気を博していたZ32型フェアレディZの面影も見られ、事実、ルーフが脱着可能なTバールーフ仕様も設定されていた。エンジンはユースフルな1.5リッターと1.6リッター、スポーティでパワフルな1.8リッターの3種類で、すべてに4バルブDOHC直列4気筒を採用。1.8リッターのType SグレードにはフロントビスカスリッターSDやハードサスペンションを標準装備するなど、走行性能にも重きが置かれていた。
ロン毛の江口洋介さんが出演したCMが印象に残る「サニールキノ」(1994年5月発売)
ベースとなったサニーのターゲットユーザーより少し若い世代をターゲットにしたクルマだったが、期待に応えることはできなかった
2ドアクーペと3ドア・5ドアのハッチバック2種類が発売されたルキノは、8代目サニーの派生モデル。最初に発売された2ドアクーペは、あきらかに若者がターゲットだったことをうかがわせる江口洋介さん出演のCMがなかなかのインパクトを残した。
いっぽう、クルマのほうはというと……きれいなラインで構成されたクーペスタイル、いつまでも運転したくなるコクピット、1人でもカップルでも快適なインテリアなどで“日産の新しいクーペ”を訴求したものの、今回紹介する他の4モデルに比べるとインパクトが小さかったことは事実。
エンジンも低燃費が自慢だった1.5リッター DOHCのGA15DEとカジュアルなスポーツ性能がウリだった1.8リッター DOHCのSR18DEという2種類で少々おとなしめなラインナップだった。しかし、2ドアクーペの後に登場した3ドアハッチバックではVZ-R・N1なる過激な競技仕様車を発売するなどモデルライフは意外と長く、生産は2000年まで続けられた。
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みんなのコメント
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使ってたくらいデザイン先行型の車だった印象。
男性より女性に似合う車だったとは思う。