自動車業界にはいろいろな記録がある。モデルの継続年数、バリエーションの多さ、販売台数などなど掘り起こせばきりがないほど存在する。
しかし、単発の好記録はいろいろあるが、長いスパンでの日本一、世界一の記録はありそうでない。逆に言えば、短期的、単発の記録はいつでも破られる可能性を持っているということだ。
祝「世界一美しいクルマ」マツダ3受賞 なぜマツダ3は勝てたのか?
そう、記録というのは元来、破られるためにある、または破られる運命にあるものだ。
元プロ野球選手の王貞治さんのホームラン記録のように、自動車業界にも今後破られないであろう記録、いうなれば金字塔があり、当記事ではその偉業と過程を振り返る。
文:永田恵一/写真:TOYOTA、MAZDA、VW
【画像ギャラリー】トヨタを世界の自動車メーカーに押し上げたカローラの歴史的名場面
トヨタカローラシリーズ
金字塔1:日本国内における販売台数33年連続1位(1969年から2001年)
金字塔2:世界累計販売台数1位
1966年にデビューし、1969年に初めて日本車の年間販売台数でトップに立ってから、一度もトップを譲ることなく33年間死守(写真は初代カローラ)
現行モデルのセダン、ハッチバックのスポーツ、ステーションワゴンのツーリングワゴンは若々しい印象となっているが、日本国内においてカローラは「普通のクルマ」というイメージが非常に強いのも事実だ。
しかしその「普通のクルマ」は1966年に初代モデルが登場して以来50周年となった2016年9月時点の世界累計販売台数は世界一の約4410万台に達し、未だ通年の世界販売台数1位となることも当たり前だ。
そんなクルマだけにカローラは、日本国内の登録車販売台数では1969年から2001年まで33年連続1位という今後破られないであろう記録を樹立している。
カローラが売れる理由は豊富なボディタイプに代表されるユーザーニーズへのきめ細かい対応、ズバ抜けた信頼性と耐久性に代表されるクオリティの高さにある。
それでいてかつてあったスポーツモデルではクルマ好きでも満足できる趣味性も備えていた点(現在ならつい最近500台限定で販売されることになったツーリングの2LガソリンNA搭載車も該当するだろうか)など、いくらでも浮かぶ。
2001年にロゴの後継モデルとしてデビューしたフィットは、2002年に年間販売台数ランキングでトップを奪い、カローラの連続日本一記録を33年でストップ
2000年代に入り販売台数ランキング1位は2002年と2008年のホンダフィット、2009年以降はトヨタ社内のプリウス、アクア、e-POWER効果で躍進した日産ノートといったハイブリッドカー人気により、カローラが年間販売台数1位になることは近年なくなった。
しかし昨年秋にセダンとステーションワゴンがフルモデルチェンジされて以来好評で、カローラは先代モデルを継続販売する5ナンバーのセダンとなるアクシオとステーションワゴンのフィールダーを継続販売することも後押ししている。
さらに5月からはトヨタの全ディーラーでカローラも買えるようになるという追い風もあり、今年久しぶりにカローラが年間販売台数1位に返り咲く可能性は十分ありそうだ。
今後破られないであろう2つの金字塔を持つカローラは一時は消滅説が流れるほどだったが、復活傾向にあるのはすばらしい。
現行カローラ&ツーリングは販売好調。ツーリングには、2Lエンジンを搭載した2000リミテッド設定され、500台限定で2020年5月13日から販売開始
マツダロードスター
金字塔:世界で最も生産、販売されたオープンスポーツ
1989年に初代のユーノスロードスターがデビュー。2019年には初代が歴史遺産車に認定された。マツダは初代のレストアプログラムを展開中
元号が昭和から平成に変わった1989年登場のユーノスロードスターは、当時強化された衝突安全性に代表される法規などにより絶滅状態となっていたライトウエイトオープンスポーツを「平成の時代に蘇らせよう」というコンセプトで誕生した、実に単純明快なモデルである。
実用車ではないだけに普遍性は薄いものの、この単純明快なモデルを待っていた人は世界中に山のようにおり、1997年まで8年間生産された初代モデルだけで約43万台生産された。
車名がマツダロードスターになった2代目モデルが生産されていた2000年にはロードスターの累計生産台数は約53万台に達し、この時点で2人乗り小型オープンスポーツカーの累計生産台数のギネス記録に認定された。
2代目でギネス記録を樹立し、3代目でさらに更新。現行の4代目では累計生産100万台を突破し、この先まだまだ記録を更新し続けていく
それ以降2005年登場の3代目モデル、2015年登場の現行4代目モデルと歴史を重ねたロードスターは2016年4月に累計生産台数100万台を突破し、その記録を更新し続けている。
ロードスターが世界中で愛されている理由は運転する、オープンでの走行、クルマを触る、オーナー同士の交流などなど、1台のクルマから様々な楽しみ方ができることに尽きる。
現行モデルは「価格が高くなった」など文句もあるものの、冷静に考えたらそれ以前にこういったクルマが30年以上継続されているだけでも偉大なであり、ロードスターが日本の宝として永久に続くことを心から願う。
2019年に発売した30周年記念車はあっという間に完売。中古マーケットでもプレ値で取引されている。40周年記念モデルがどんな仕様で出てくるのか今から楽しみ
VWビートル
金字塔:1941年から2003年の62年間生産された長寿記録
何種類かのプロトタイプを経て誕生した1938年モデルが市販のビートルの原型となっている。第二次世界大戦のため発売開始が遅れてしまった
1941年登場でタイプIなどとよばれることもあるVWビートルは、ドイツの国民車構想により産まれたモデルである。
その条件は耐久性の高さと維持費の安さ、大人4人が乗れるスペース、100km/hでの巡航、リッター約14kmの燃費を実現しながら1000マルク以下の安価な価格という厳しいものだった。
それをものともせず、設計を担当したフェルディナンド・ポルシェ博士はそれを克服し、市販化にこぎ着けた。
ビートルはスペース確保のためもあり空冷フラット4エンジンをリアに搭載するRRで、実用性の高さと当時としては高い性能を主な理由にドイツだけでなく世界中で愛された。
ドイツ本国では1978年にビートルの生産が中止された。フロントフェンダー上部にウィンカーが装着されているモデルは今でも人気が高い
ドイツだけでなくブラジルやメキシコでも生産され、日本でもヤナセが販売したこともあり代表的な輸入車に成長した。
しかしビートルは見方によっては基本設計がよすぎたのが原因だったのか、1960年代になると古さが目立つようになったのに加え、ビートルが偉大すぎたゆえにVWはなかなか後継車を出せなかった。
そのためVWを大きくしたビートルが1970年代初めにVWがピンチに陥った原因となってしまったのは実に皮肉だった(VWはビートルの後継となる1974年登場の初代ゴルフの成功でピンチを脱する)。
ビートルは初代ゴルフの登場後1978年にドイツでの生産は終了。
しかしメキシコやブラジルでは基本設計はそのままに排気量の拡大やキャブレターからインジェクションへの変更といった改良を施しながら生産が継続され、その歴史は62年間、累計生産台数も約2153万台に及んだ。
なおメキシコ製ビートルは1990年代終盤から並行輸入業者の手により日本でも販売された。
2003年に唯一ビートルを生産していたメキシコでも生産が終了。メキシコ産のビートルは日本でも販売され、現在でも中古車として人気が高い(写真は最終モデル)
このモデルはメキビーと呼ばれ、空冷エンジンのフィーリングをはじめとした「遅いけど刺激のあるプリミティブな運転する楽しさ」というクラッシックカーらしさを持っていた。
同時にインジェクションとなったのに加え部品の耐久性向上などによりクラシックカーの不便はないという大変魅力的なクルマだった。
1990年代終盤にはポルシェ911のエンジンが空冷から水冷に移行したことでメキビーは「世界最後の空冷エンジン搭載車」となり、中古車価格は上がるいっぽうという人気振りである。
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