本格派サーキット仕様を軸にしながらUSテイストも注入!
DIYで仕上げた剛強ボディにB16A改1.8Lを搭載
鮮やかなレッドが眩しいEG6シビックの登場だ。このチューンドの何が凄いって、オールペンはもちろん、エアロのデザインや造形、ボディ補強に至るまで、全てオーナー自らの手で行なっていること。そう、究極のプライベーターチューンドなのだ。
まず塗装は、大工の知人が作ってくれた塗装ブースでDIYオールペンを敢行。カラーはフェラーリレッド(ロッソコルサ)をチョイス。サフェーサーの上にグレーを塗り、レッドを5コートも重ね、クリアも2コートにすることで、独特の深みと鮮やかさを手に入れている。
フロントバンパーは、ラジエターの冷却効率を優先してデザインされている。エアロパーツは事前にイラストを描き、それに合わせてイチから型を作って製作した完全オリジナル。フロントはラジエターの冷却効率を優先して最大限の開口面積を確保。ブレーキを冷やすためのサブダクトまで備えた高機能デザインだ。
リヤバンパーはパラシュート効果の低減を狙ってベンチレーションを設けている。リヤはメーカーの市販品を装着していた時期もあったが、パラシュート効果でバンパーの取り付け部に負担がかかり、破損することが多かった。そこで、取り付け部の強度アップを図りつつ大型のアウトレットダクトを配置。ディフューザーもデザインに取り入れ、抵抗軽減と整流効果を意識したエアロとしている。
純正メーターを撤去してデフィのメーターをフード内に導入している。コクピット周りは、雰囲気と視認性を高めるためにメーター周辺を刷新。カーボンパネルを自作し、デフィの追加メーターを(タコ/水温/油温/油圧)を美しくインストールする。
スポット溶接はやり始めたらどんどんエスカレートしていき、丸二日を費やしてパネルの継ぎ目という継ぎ目に打ちまくった。アンダーコートと塗装の剥離作業で、特に大変だったのはフロア下だったという。ボディメイクも凄まじい。無駄なハーネスや配管を全て取り払った上で駄肉を削る軽量化も実行。計測したことはないが「800kgは切っているはず」とのこと。塗装前に業務用の剥離剤でアンダーコートと塗装を剥がしていったそうだが、仕事が終わってから毎晩作業を行っても1ヵ月以上を費やしたという。
ワンオフのロールケージはボディに溶接で固定される。ロールケージは懇意にしているショップ(テクノスポーツ)に協力を仰ぎながら製作。セーフティ21の6点式をベースに、クロスバーやサイドバーを追加した17点式を構築。フロア直付けのフル溶接固定とされ、徹底したスポット増しと併せてレーシングカーレベルの剛強ボディに仕上がっている。
ATLのレース用タンクを設置。燃料ラインも引き直され、スマートな仕上がりだ。燃料タンクは、軽量化のためにATLの小型タンクへと変更。かなり小さいが、国際サーキット10周程度ならギリギリ走り切れるサイズだという。もちろん、安全タンクを固定するためのマウントも自作のスペシャルだ。
ツチノコチャンバーが目をひくエンジンルーム。そうして手間ひまかけて製作したボディに、B18Cからコンロッドとクランクを流用したB16A改1.8Lユニットを搭載。ピストンはEK9オーバーサイズ、ヘッドはスプーンのB18Cコンプリートだ。テクノスポーツのECUによって制御し、低中回転域のトルクアップと高回転域での伸び感の強調を狙う。
エンジン作業もできないわけではないが「エンジンまで自分で組むと、他のことをする時間が無くなってしまう」と、割りきったそうだ。
「軽量なアルミも良いけど、丈夫で安くて冷えもいいから」とのことで真鍮製のラジエターを選択。ラジエターは真鍮の3層を選択。サーキットでは全開での連続周回が可能だが「ドライバーが先にオーバーヒートしてしまいます」とオーナーは語る。
センター出しのマフラーはお世話になっているショップに依頼したワンオフ品だ。エキゾースト環境は、昔からお世話になっているショップ(ラビットハウス)に頼んでワンオフ製作。高回転域の伸びを意識し、サイレンサーはやや後方にマウント。メインパイプは60φの薄肉ステンレスで、テールエンドのみチタンを使って「軽く、カッコ良く」を追求した。
車高調はかれこれ10年以上使い続けているというクラックス製だ。プレス機を使ってナックルアームを曲げ、フロントキャンバーを4度に設定する。鬼キャン仕様も作ったが、トライ&エラーを重ねた結果、4度以上のネガキャンにするとブレーキングでロックしてしまうという。足回りはクラックス車高調を軸に構築。スプリングレートはフロント18kg/mm、リヤ14kg/mmで、サーキット仕様のシビックとしてはややマイルドな設定。低車高でも十分にストロークできる仕様にアレンジされている。
足元を飾るボルクレーシングTE37は、独自のアルマイト仕上げによって独特の存在感を醸す。ホイールはボルクレーシングTE37で、購入時はホワイト仕様だったが「塗装だと普通だし剥がれてくるとヤレ感が大きい」との理由から、硬質アルマイト処理でマットブラックにアレンジしている。
仕事の合間を縫ってコツコツ製作していったそうだが、その仕上がりはプロ顔負けのもの。サーキットユースに割り切った仕様でありながら、見た目の美しさにも配慮した細部フィニッシュには脱帽だ。
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年のせいかなぁ