2007年5月、ボルボの主力モデル、XC90に特別仕様車「XC90 3.2 スポーツ」が登場した。2006年のマイナーチェンジで3.2L直6エンジンを搭載する「XC90 3.2」がラインアップされているが、この特別仕様車はこれをベースに専用のスポーツサスペンションや19インチアルミホイール、本革スポーツシートなどを装備したモデルだ。今回はこの登場にあわせて北海道で行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年7月号より)
魅力的な150台限定の特別仕様車
乗用車やSUVの「定番エンジン」ともいえるV6を持っていないメーカーがある。それはBMWとボルボだ。いったい何故なのか。答えは単純明快で、V6よりも直6の方が「ライバルに対して優位に立てる」と彼等は真剣に考えているからだ。
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ご存知のとおりBMWは官能性と効率に優れた直6エンジンの名門。一方ボルボはここしばらくの間は直5エンジン(ターボまたは自然吸気)を主力としてきたが、新世代エンジンとして自然吸気の直6DOHC(3.2L)を新規に開発し、本国では、まずセダンのS80に搭載、そののちマイナーチェンジされた4輪駆動のXC90にも搭載して勝負に出た。XC90の上級グレードにはV8エンジンももちろんラインアップされるが、主力はこの直6モデルといっていい。
さて、5月の連休明けに北海道の北端、稚内でXC90 3.2スポーツの試乗会が開かれた。この「スポーツ」とは標準の3.2(7人乗り)をベースとした限定150台のみのスペシャル版である。
ノーマルとの違いは、エクステリアではサテンシルバー仕上げのフレームにブラックアウトされた格子グリル、シルバーのバンパー、ブラッシュアルミのルーフレールとウインドーフレームなどが装備されていること。クロームメッキでなく、マット(艶消し)仕上げのためとても落ち着いた感じで好ましい。XC90はもともとが威圧的なスタイリングではなく、どこか温和な表情のSUV。なのでこれらのデコレーションとほどよくバランスがとれている。
インテリアでは専用のスポーツシートが出色。たっぷりしたサイズでホールド性、着座感ともに申し分ない。「スポーツ」を標榜するアーキテクチャーとしては、専用のスポーツサスペンションと、これも専用にセッティングされた速度感応式のパワーステアリングを装備し、タイヤは255/50R19(ピレリPゼロロッソ)を履く。
試乗コースは稚内を起点としたサロベツ原野と宗谷岬周辺。走り出すと全幅が1.9mを超えるサイズはさすがに大きさを感じるが、横置きエンジンの恩恵によるフォワードキャビン(客室が前方に伸ばせる)と高い着座位置のため視界のストレスは少ない。またフェンダーに設けられた補助ミラーがバンパー左先端を映し出すので、うっかりゴリゴリということもない。信号がほとんどなく、対向車も少ないなだらかな起伏のある直線路、あるいはゆるいコーナーは、なんだかボルボの生まれ故郷のスウェーデンの道路のようでもある。
スポーツサスペンション、おまけに19インチのファットなタイヤと聞いていたから、街中ではゴツゴツ硬かろうと覚悟していたのだが、それは杞憂だった。昨年スウェーデンの国際試乗会で乗ったノーマル(17インチタイヤ)とほとんど変らない乗り心地で、むしろ不整路での収まりは、この「スポーツ」の方が上で、より快適であるといってさしつかえない。エンジンは直6らしく回るが、BMWのそれとはややニュアンスが異なる。官能性は乏しいが、とても実直に回る、といえばいいか。
XC90は2トンを超える車体重量ながら決して動きは鈍重ではない。それはマニュアルモード付きの6速ATによるところも大きい。ギアをセレクトし、あたかもマニュアルトランスミッションのスポーツセダンのような走らせ方も可能である。
下の俯瞰写真をご覧いただきたい。エンジンはベイの中間に直6が収まっているが、エンジンブロック前側、後ろ側に大きなスペースがあるのがわかる。前方衝突の際、この2つのゾーンで衝撃を吸収するのだ。ゆえに「安全」を謳うボルボはあえて横置きの直6にこだわったわけである。しいて難点をあげれば、そのレイアウトをとったため、前輪の切れ角が大きくとれず、最小回転半径は6.4m。狭い道では切り返しが必要となるシーンが多いことくらいだ。(文:御田昌輝/Motor Magazine 2007年7月号より)
ボルボXC90 3.2スポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4810×1935×1780mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:2150kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:3192cc
●最高出力:238ps/6200rpm
●最大トルク:320Nm/3200rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:698万円(2007年)
[ アルバム : ボルボXC90 3.2スポーツ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
トルクの盛り上がりと馬力出力の盛り上がりが上手くマッチしていますし、それほど加速はめちゃくちゃは早くはないですが、6ATと合わせ必要にして十分、この車のキャラクターに合ってると思います
みなさん仰る通り、外装デザインは今見ても秀逸ですし、全長4.8mに三列シートのパッケージングは重宝してます、都会でスーツ着て走っても、田舎でキャンプやスキーに大勢で行ってもサマになります
ディーラーは新型を勧めてきますが、自分はきっぱり旧型を乗り続けるつもりです、このクルマ大好きです