ロードレースファンのみなさんこんにちは、現役大学生ライター&ライダーのウチノアミです!
2024年もバイクレースの魅力をたっぷりとお伝えしていきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
早速ですが、二輪レースはロードレースだけではありません。土の上を走るオフロード競技も、速さと迫力が魅力のロードレースとは違った魅力を持っています。
そんなオフロード競技の選手権を、二輪の競技ならジャンル問わず大好きなワタシが紹介します!
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今回、紹介するのはAMAスーパークロス選手権です。
スーパークロスは、起伏に富んだ土の上を走って、速さを競うモトクロスから派生した競技です。
そして、スーパークロスは競技であると同時にショー的な要素を多く含んでいることが特徴です。
モトクロスやスーパークロスは、オフロードのためロードレースより速さは劣りますが、ダイナミックなジャンプやテクニックが必要なさまざまな形のセクションでのバトル、ラインが2カ所に分かれているコーナーなど、派手な走りと緻密な戦略での攻防が楽しめます。
また、競馬のように横一列で一斉にスタートすることもロードレースとの大きな違いで、スタートシーンの緊張感と迫力は凄まじいです。
AMAスーパークロス選手権は、アメリカの国内選手権です。略称はAMA SX。AMAプロモトクロス選手権、プレイオフとなるAMAスーパーモトクロス選手権と併せて、アメリカ国内最高峰のオフロードレースとして開催されています。
実はアメリカはモトクロスの本場ということもあり、AMA選手権には多くの国籍のライダーが参戦しています。規模もレベルも盛り上がりも世界選手権さながら、いや、もしかしたら世界選手権以上かもしれない……という、全モトクロスライダー憧れの選手権です。
参戦メーカーはホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキの日本の4メーカーとKTM、ハスクバーナ、GASGAS、Beta。さらに、トライアンフも2024年からAMA選手権に参戦することを発表しています。
各社がモトクロス用のバイクを、サスペンションなどをスーパークロス寄りにセッティングして使います。
AMAスーパークロス選手権の特徴は、まず都市近郊のスタジアムが会場であること。山の中にあるモトクロスコースより格段にアクセスが良く、観客席からコース全体を見渡せるので、レースをより気軽に楽しめます。
スタジアムの中に人工的なコースを特設して競技を行うのですが、会場がモトクロスコースよりかなり狭い分、コースもとてもタイトです。
ジャンプやコーナー、ウォッシュボードと呼ばれる小さなコブが連続したセクションなどがこれでもかとばかりに詰め込まれており、「どのタイミングで休憩できるんだろう」と思うほど激しいレイアウトであることが多いです。
レース時間は15分~20分。モトクロスやスーパークロスは決められた周回数の中で速さを競うロードレースとは少し異なり、決められた時間プラス1~2周(レースによる)の中で最初にゴールした人が優勝、という形式のレースです。
AMAモトクロス選手権の30分よりレース時間が短く、コースもタイトなため、手に汗を握るような激しいバトルが展開されやすいです。
また、レース自体は短いものの、基本的に各クラス1戦2レース開催しているほか、「メインイベント」と呼ばれる本レースに出場する前に、予選タイムアタックと予選レース(モトクロスの予選はタイムアタックではなく短いレースのことが多いです)、そして敗者復活戦であるラストチャンスクオリファイヤーを行なって40台超のエントリーから22台まで絞るため、内容は盛りだくさんで、レース前から熾烈な争いが繰り広げられます。
AMAスーパークロス選手権は、現地時間の土曜日の夜にメインイベントが行われます。レースが夜なため、セッションの開始もお昼頃。
1日で全クラスの全行程を行うので、観戦の負担やハードルも他の選手権と比べて低いのではないでしょうか。そのためか、スタジアムは常に満席。盛り上がりも半端ないです。
シーズンは、通常のレースがオフシーズンである冬。基本的に1月から5月にかけて開催されます。
今年のAMAスーパークロス選手権は1月6日(日本時間では1月7日)にカリフォルニア州のアナハイムで開幕します。
レースは全17戦、アメリカ全土を舞台にほぼ毎週末レースが開催されるため、シーズン中のライダーはものすごく忙しいはずです。
また、スーパークロスのシーズンが終わると2週間ほどでAMAプロモトクロス選手権のシーズンが始まります。AMAスーパークロス選手権に参戦するライダーのほとんどはプロモトクロス選手権にも参戦するので、モトクロスのシーズンが終わるまでは、ほぼ休みなしです。
併催レースを除くと、クラスは450ccのマシンを使う最高峰の450SXクラスと250ccのバイクを駆る250SXクラスのふたつです。
250SXは開催地によってさらにふたつのクラスに分かれており、アメリカ西部が会場の際は250SX WEST、東部の時は250SX EASTで、250SXのライダーは参戦クラスをシーズン前に選ぶことができます。チャンピオンを狙うライダーは、どちらの選手権に参加するか、という段階から駆け引きが始まっていることもあるのです。
2回ほどEAST、WEST混合のレースが開催されますが、基本的に別のクラスとしてシーズンが進むので、チャンピオンやランキングもEASTとWESTで分かれています。■AMAスーパークロス選手権の注目ライダーを紹介
注目ライダーは、ふたりです!
まずは、最高峰450SXクラス#18のオーストラリア人、ジェット・ローレンス(Team Honda HRC)。2003年生まれの20歳ながら、誰もが納得するAMA最強ライダーです。
2020シーズンのスーパークロスでデビューしたのち、2021年と2022年のAMAプロモトクロス選手権250クラス、2022年のAMAスーパークロス選手権250SX EAST、2023年のAMAスーパークロス選手権250SX WESTと250クラスのタイトルを総なめにしたのち、2023シーズンのAMAプロモトクロス選手権より450クラスに昇格。
そこでルーキーながら全戦全勝でチャンピオンを獲得し、2024シーズンは初のAMAスーパークロス選手権450クラスに挑みます。
ここまで聞くと、ロードレースファンならひとりのライダーが思い浮かぶかもしれません。
そう、MotoGPのマルク・マルケスです。ルーキーイヤーから勝ちまくって最年少記録を塗り替えるジェット・ローレンスは、モトクロス界のマルケスだと思えばイメージしやすいでしょう。ちなみに、マルク・マルケスとジェット・ローレンスは共にレッドブルアスリートで、レッドブルの企画で2021年にコラボした過去もあります。
ふたり目のライダーは、なんと日本人。昨年までカワサキのチームから250クラスに参戦し、今シーズンからホンダワークスチームであるTeam Honda HRCに移籍して250クラスにチャンピオンを目指す、250クラクラス#30の下田丈選手です。
下田丈をロードレースのライダーに例えるならば、MotoGPのMoto2クラスに参戦する小椋藍選手でしょうか。
ミドルクラスで優勝やチャンピオン争いの筆頭候補となる日本人ライダーです。
2002年生まれ、三重県鈴鹿市出身の22歳で、鈴鹿サーキットの近くの、お父さんが持つモトクロスコースで練習を重ねたそうです。10歳の頃に渡米してアメリカの選手権に参戦を始め、2019年にプロデビュー。
2021年のAMAスーパークロス選手権250SX EAST第16戦で日本人初優勝の快挙を成し遂げ、長年日本人モトクロスライダーの夢であった「AMA選手権優勝」を叶えました。さらに2022年にはAMAプロモトクロス選手権250クラスで、2023年にはプレイオフのAMAスーパーモトクロス選手権250クラスで優勝しており、日本人初となるAMA3選手権優勝を達成しています。
2023シーズンはAMAスーパークロス選手権の開幕直前に怪我を負い、スーパークロスのシーズンはほとんどのレースを逃したものの、AMAプロモトクロス選手権250クラスでは最終戦での優勝を含む4度の表彰台を獲得しており、ランキング3位でシーズンを終えました。
今シーズンはチャンピオンチームであるTeam Honda HRCに移籍して戦います。すでに昨年11月に開催されたパリのスーパークロスレースで移籍早々に総合優勝を果たしており、今シーズンへの期待値がぐんと高まっています。AMAスーパークロス選手権では、本人のSNSで250SX Westへの参戦が表明されています。
レース情報はAMAスーパークロス選手権公式サイト(https://amasupercross.com)から、レースのライブ映像はsupercross live( https://www.supercrosslive.com/video-pass/)で見ることができるほか(フルシーズンで$159.99)、公式YouTube(https://www.youtube.com/@SupercrossLive)でハイライトを無料視聴することも可能です。
興味がある方は、ぜひ一度YouTubeを覗いてみてください。
余談ですが、2023年に始まったばかりの、AMAスーパークロス/プロモトクロス選手権の上位入賞者だけが参加できるプレイオフ・AMAスーパーモトクロス選手権(AMA SMX)は賞金が公開されていました。
AMAスーパーモトクロス選手権は、会場はスーパークロスと同じスタジアムながらコースレイアウトはモトクロスに近い、モトクロスとスーパークロスを混ぜ合わせたようなレースです。
3戦のみのプレイオフですが、450クラスのチャンピオン賞金はなんと100万ドル(日本円で約1億5000万円)。レースごとの賞金はもちろん別であるようです。これにAMAスーパークロス選手権、AMAプロモトクロス選手権それぞれの賞金も加わり、さらに契約金やチーム、スポンサーからの賞金も……と考えると、まさにアメリカンドリームを体現した世界だと感じます。
そんなこんなでAMAスーパークロス選手権について書いてきましたが、いかがだったでしょうか。今後はAMAプロモトクロス選手権や、その他オフロードの選手権も紹介していく予定です。
私の今の1番の夢は、実はAMAスーパークロス選手権現地観戦。生でこの雰囲気を味わいたくて、今一生懸命貯金中です(笑)。
AMAスーパークロス選手権の開幕は2024年1月6日(土)。まずはYouTubeからでも、日本人が大活躍するこの選手権を気にかけてみてください!
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みんなのコメント
スカパーのESPN(現在はjスポーツに統合)で見れなくなってからかなり経つけれど、
折角下田選手のような期待できる日本人選手が出てきたのだから
jスポーツが放映権取ってくれないかなぁ。