ジープ初のEVモデルが日本上陸
2022年から欧州で販売が始まり、高い人気を集めているコンパクトSUVのジープ「アベンジャー」がいよいよ日本にも導入されました。登場したのは、1充電あたり500km弱の走行距離(WLTCモード)を実現したBEV(電気自動車)です。コンパクトで扱いやすいボディと、実用的なインテリアデザインを採用したアベンジャーの魅力に迫ります。
フィアット「600e」とジープ「アベンジャー」が同時期に日本上陸! 実は兄弟車だったBEVは、価格もほぼ同じ585万円と580万円から
コンパクトなボディでジープらしい遊び心と存在感を発揮
2024年の6月以降、ティザーサイトを展開するなど日本市場への導入を盛り上げてきたのが、ジープブランド初となるBEVの「アベンジャー」。その正式発表が2024年9月26日に行われた。
2022年のパリ・モーターショーで発表されたアベンジャーは、同年のうちに欧州で発売され、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー2023を受賞するなど、人気、実力ともに高く評価されている。エンジン搭載モデルもラインアップしているが、日本に登場したのはBEVのみとなる。なお、ジープブランドにとって日本市場へのニューモデル導入は、2020年のコマンダー以来、約4年ぶりのこと。それだけにジープとしては期待の1台といえる。
さて、そんな4年ぶりの新型車であるアベンジャーだが、特徴のひとつにコンパクトボディであることが挙げられる。全長4105mm×全幅1775mm×全高1595mm、ホイールベース2560mmというボディサイズは、ジープブランドでこれまで最もコンパクトだった「レネゲード」と比べても全長は150mm短く、全幅は30mm狭く、全高は100mm低い。とくに全幅が1800mm以下ということもあり、路地や狭い駐車場で苦労することは少ないはずだ。
一方、デザイン面ではフロントフェイスにはジープブランドの象徴といえる7スロットグリルを採用するなど、ジープらしい存在感を発揮するデザインを取り入れている。前後フェンダーも盛り上がりのある造形とすることで力強さをアピール。さらに、ジェリ缶(ガソリン携行缶)の強度を上げるために側面に刻まれた凹みからインスパイアされた「X」のシグネチャーライトをリアに装備している。
また「Design to function(機能性を考慮したデザイン)」を意識したというインテリアには、ダッシュボード下部や大型センターコンソール、ドアポケットなど、計約26Lもの収納スペースを用意しており、日本人ユーザーにも好まれる、利便性に優れた作りとなっている。
日常の足としても、オフの頼れる相棒としても期待できる1台
ところで、やはり気になるのはBEVとしてのパフォーマンス。プラットフォームは、フィアット「600e」と基本設計を共通とする「eCMP2」を採用し、そこに容量54kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。1充電あたりの航続距離(WLTCモード)は486kmで、バッテリーの充電方法は、普通充電と急速充電に対応している。モーターの最高出力は156psで、最大トルクは270Nmとしており、日常の移動手段として乗るには十分な性能を備えている。
なお、車両下部に設置されたバッテリーは約200万km以上にわたってテストされており、オフロード走行時は下からの衝撃をアンダーボディのスキッドプレートによって保護するというから悪路でも安心。ジープの前輪駆動車として初めて「Selec-Terrain(セレクテレイン)」を備えているのも特徴で、日常的なドライビングに適した「ノーマル」のほか、エコ/スポーツ/スノー/マッド/サンドの5つの走行モードを備えるなど本格派。急な下り坂でも一定速度で走行できるようアシストする「ヒルディセントコントロール」も標準装備となっている。
運転支援機能としては、STOP&GO機能付きのアダプティブクルーズコントロールやレーンポジショニングアシスト、レーンキーピングアシストを備えることでドライバーの負荷を減らし、衝突被害軽減ブレーキやブラインドスポットモニター、トラフィックサインレコグニション、ドライバーアテンションアラートなどで安全性を高めている。
なお、このアベンジャーの導入開始に合わせて、ベースモデルにパワーサンルーフ、18インチアルミホイール、ブラックペイントルーフおよびイエローダッシュボードを備えた「Avenger Launch Edition(アベンジャー ローンチエディション)」を150台限定で発売。さらに、このローンチエディションの購入者には本物を忠実に再現した1/43サイズのダイキャストもプレゼントされる。
ベースモデルの車両価格は580万円(消費税込)、ローンチエディションは595万円(消費税込)。街乗りから悪路まで、走行シーンを問わず不安なく乗りこなせるアベンジャーは、拡大しつつある電気自動車において、新たな選択肢を増やす存在といえる。
AMWノミカタ
いわゆる兄弟車である600eと、車両価格/航続可能距離を比べてみよう。いずれも駆動方式はFFである。
アベンジャー:580万円/486km 600e:585万円/493km
日本への導入時期もほぼ同時。両者ともにマイルドハイブリッドモデルの導入が予定されている。それはアベンジャーと600eのマーケットがまったく異なっているからこそできる戦略であろう。なぜなら、同じグループでカスタマーを取り合うことになるからだ。こうした一見すると大胆にも思える戦略も、ステランティスの各ブランドがそれぞれしっかりしたブランディングがなされており、グループ内で競合しないようになっているということである。
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日本でEVは売れんぞ。