現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 中国でしか販売していないトヨタ車「bZ3」誕生の背景とは[トヨタ・bZ3試乗記]

ここから本文です

中国でしか販売していないトヨタ車「bZ3」誕生の背景とは[トヨタ・bZ3試乗記]

掲載 34
中国でしか販売していないトヨタ車「bZ3」誕生の背景とは[トヨタ・bZ3試乗記]

「2022年に、中国新車販売に占めるBEV(バッテリー電気自動車)のシェアは20%に達し、その販売台数は500万台を超え、世界最大のBEV市場になった」中国でのBEV関連のニュースを見るたびにその普及の勢いに圧倒される。そんな中国で販売されているBEVはどんなクルマに仕上がっているのだろうか。今回は昨年発売された「トヨタbZ3」について、中国自動車業界に精通する加藤博人氏よりレポートを寄せてもらった。

拡大するトヨタのBEV政策

「bZ4X」で世界に挑むトヨタ [トヨタbZ4X試乗記:その1]

トヨタは2021年4月、上海モーターショー2021にてBEVサブブランド「bZ」と、初のモデルである「bZ4X」を発表した。よく勘違いされるが、これはトヨタにとって初めての電気自動車(BEV)ではない。

1990年代には少量ながらも「タウンエース バン EV」や「クラウンマジェスタ EV」、そして「RAV4 EV」などを世に送り出してきた。世界に「ハイブリッド」というものを知らしめた初代プリウスが1997年に登場してからしばらくはハイブリッド車(HEV)の普及に向けて尽力するかたわら、燃料電池車(FCEV)の研究開発にも勤しむようになる。

2019年には久々のBEVである「C-HR EV」「イゾア EV」を発表、中国現地で製造・販売をおこなっている。乗用車以外にも、歩行領域や超小型モビリティにおけるトヨタの取り組みは目立っており、ひとつの選択肢に拘らない、幅広いゾーンをカバーすることに注力している。

ここ数年は中国市場を特に見据えたBEV展開に積極的だ。2022年にはbZシリーズ第二弾の「bZ3」を発売した。ついこの間開催された上海モーターショー2023ではbZシリーズから2台のコンセプトカー「bZ Sport Crossover Concept」「bZ FlexSpace Concept」を発表、中国市場において2024年中の販売開始を目標にしている。

これ以外にも多くのBEVを中国に導入するとしており、多くの新ブランド・新車種が日々誕生する中国市場でトヨタがいかにプレゼンスを発揮し続けるかが焦点だ。

世界のトヨタ、創立28年のBYDと組む

今回試乗したbZ3は、2019年に発表されたBYDとのパートナーシップによる初の市販商品である。

BYDは1995年に広東省深圳市で設立されたバッテリーメーカーで、現在はそのバッテリー技術を活かしたBEVが世界的に有名だ。BEVに加えてプラグインハイブリッド車(PHEV)にも取り組んでおり、2022年の販売台数はBEVが91万1141台、PHEVが94万6238台、合計して185万7379台を記録した。前年の販売台数が59万3745台であったことを考えると、2022年はBYDにとって大躍進の一年だったと言える。

2023年1月には日本でも初の乗用車「ATTO 3」の販売を開始しており9月には「DOLPHIN」(ドルフィン)、そして年内には「SEAL」(シール)の発売も予定している。日本でもますます目にする機会が増えることだろう。

bZ3の開発は2020年設立の「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY」が中心的役割を担い、そこへ実際の製造と販売をおこなう「一汽トヨタ」も大きく関わる形だ。ちなみに「一汽トヨタ」はトヨタが中国に設ける合弁会社のひとつで、第一汽車との出資で誕生した会社だ。もう一方は広州汽車との「広汽トヨタ」で、この二つの会社が中国におけるトヨタ車の製造と販売を担っている。

もう少し詳しく説明しよう。大前提として中国は輸入車に高い関税(15%)をかけており、それを回避するためには外国メーカーは中国現地での生産を目指す。だが、中国で自動車を生産するためには、中国の自動車メーカーとの合弁設立が不可欠であり、トヨタの場合はそのパートナーが第一汽車と広州汽車になるわけだ。現地生産のための合弁を設けるというルールは2018年から2年ごとにBEV、商用車、そして乗用車と段階的に撤廃されたが、ほとんどの中国国外メーカーは依然として合弁会社を持ち続けている状況である。

トヨタの場合、ひとつのモデルを車名とデザインの異なる姉妹車として、一汽トヨタと広汽トヨタそれぞれからリリースしている。だが、その例外となったのがbZ4Xだ。2022年に中国で発売された同車は、初めて一汽トヨタと広汽トヨタがまったく同じデザインと車名で製造・販売するモデルになった。理由は明かされていないが、おそらくひとつのモデルとしての統一感を重視して売り出したいということだろう。

一方、それに続くbZ3は一汽トヨタのみが製造・販売しており、広汽トヨタからの姉妹車は2023年8月時点でリリースされていない。つまり、一汽トヨタの方が一車種多いBEVラインナップを持つ状況だ。

トヨタbZ3

全長:4,725mm 全幅:1,835mm 全高:1,480mm ホイールベース:2,880mm 車両重量:1,710/1,835kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:110Wh/km(CLTCモード) 一充電走行距離:517/616km(CLTCモード) 最高出力:135/180kW(184/245ps) 最大トルク:303Nm(30.89kgm) バッテリー総電力量:49.92/65.28kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ディスク タイヤサイズ:前後225/50R18 荷室容量:439L 車両本体価格(現地):約3,498,000円~3,991,000円

 <次回へ続く>

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
AUTOSPORT web
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
乗りものニュース
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
くるまのニュース
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
motorsport.com 日本版
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
レスポンス
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
Auto Messe Web
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
motorsport.com 日本版
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
AutoBild Japan
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
AUTOCAR JAPAN
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
くるくら
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
くるまのニュース
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
バイクブロス
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
バイクブロス
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
くるまのニュース
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
バイクのニュース
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ベストカーWeb
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
Auto Messe Web

みんなのコメント

34件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村