予約注文開始10日で約4000台に
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】ノート・オーラと連携のマーケティング【ノート・オーラ/アリアを比較】 全135枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
日産が満を持して市場導入した、新型EVのアリア。
2021年6月4日に日本専用特別限定車アリア・リミテッドを発表し、同時にグローバルで統一した予約サイトを設けて日本市場向けの予約を開始した。
それから10日経った6月14日、国内の予約注文が約4000台に達したと発表した。
日産はこの約4000台受注について、「高級感ある美しいエクステリア」、「日産ならではの電動化、自動運転化技術と最新コネクテッド技術の搭載」、「日産の電気自動車であるという安心感」などがユーザーからの高い評価を得た結果、多くの台数を実現したと分析している。
この10日間で約4000台という数字、果たして多い数なのか?
また、そもそもなぜ発売開始10日目で区切ったのか、という疑問もある。
一般的に新車が市場導入されると、初期受注の発表は発売(または予約販売開始)の約1か月後する場合が多い。
その際、メーカーが事前に設定した月販目標台数に対して「〇倍の実績を達成」といった表現をして、市場に対する新車効果を強調するものだ。
今回の10日間という区切りの理由として、1つは6月15日にeパワー搭載のノート・オーラの発表を控えていたタイミングであり、日産の電動新モデルとしてアリアとオーラを連携したマーケティング手法であるように思える。
「4000台」果たして多い?
では、予約発売後10日間での約4000台という数字は、多いのか?
それとも、話題性が大きい新型の高級モデルとして無難な数字なのか?
単純計算で10日間で4000台、1か月なら1万2000台相当となり、一般社団法人日本自動車販売協会連合会調べの直近データ(2021年5月:乗用車ブランド通称別順位)に照らし合わせると、第1位のヤリス(1万6600台)に次いで、第2位のルーミー(1万1597台)といいとこ勝負という高実績だ。
むろん、前述のように一般的に予約受注数は、通常販売月の数倍にはね上げることが多い。
例えば、2020年6月17日に国内販売を開始したトヨタ・ハリアーは月販目標台数3100台対して、その14.5倍となる約4万5000台の大ブレークだった。
アリアの場合、ベースモデルが660万円という日本車として「かなりの高級車」に属し、またEV市場が発展途上のなかでは10日間で約4000台は「かなり好調」な数字として捉えるべきであろう。
なお、リーフの2020年度(2020年4月~2021年3月)国内販売総数は9491台であるが、とくに3月は1603台になるなど年度末に向けて販売台数が伸びた。
これは、環境省と経済産業省がそれぞれ、EV普及に対する追加の補助金を設定した効果によるものと推測される。
高級EV 最も売れたのは800万円級
さて、アリアの10日間で約4000台という点でポイントとなるのは、その内訳だ。
アリア・リミテッドは、搭載バッテリー容量が66kWhのB6グレードと91kWhのB9があり、それぞれに2WDとe-4ORCE(4WD)の設定がある。
日産によると、10日間で約4000台(正確には3936台)のうち、最も受注数が多いのは最上級グレードであるB9 e-4ORCE(790万円)で全体の45%となる1781台となった。
次いで、ベースグレードであるB6 2WDが29%となる1139台で、B6 e-4ORCEが583台、B9 2WDが433台と続く。e-4ORCEとしてみれば、全体の60%を占める。
一般的に、新型モデルの初期受注では最上級モデルが人気となる場合が多いが、B9 e-4ORCEは800万円級で日本車としては超高級車の部類に入るだけに、こうした受注実績に驚く人もいるだろう。
近年の日系EVの変遷を振り返ると、2010年代に登場して長年に渡りEV市場を下支えした三菱アイ・ミーブとリーフが主役であり、これら2モデルには高級車というイメージはなく、次世代を担う庶民派EVという認識を持つユーザーが多いはずだ。
一方のアリアは、やはり日本車としては高級EV、さらには超高級EVというプレミアムブランド車であることが今回の販売内訳からもあらためて分かったように思う。
テスラに流れたユーザーを取り返せる?
言わずもがな、プレミアムEVという市場はアメリカのテスラが創出した。
初代リーフが市場導入された2010年頃は、テスラはロードスターのみを販売する小さなベンチャー企業に過ぎなかったが、その後、自社で全面開発したモデルSが大ブレークし、モデルX、モデル3とラインナップを拡充してきた。
日産にとって、アリアのターゲットユーザーは当然、こうしたテスラの既存ユーザーであると同時に、リーフからのアップグレードするユーザーに対しても日産は期待をかけているはずだ。
ある海外メーカーの調査では、日本のリーフ購入者は年収1200万円超の人もかなり多いという。
となれば、リーフというクルマ自体は庶民派イメージでも、リーフユーザーの購買力はさらに上級車に向かい、リーフからテスラに流れた日産顧客も一定数いたと予想される。
そうした層が今回、アリア最上級グレード B9 e-4ORCEの販売予約をしている可能性が十分に考えられる。
なお、アリアの10日間で約4000台の予約受注者を年代別で見ると、多い順に50代(33%)、60代(31%)、40代(24%)、30代(9%)、そして20代(3%)となった。
今後さらに受注数が増えても、日本車として高額なプレミアムEVであるアリアに手が届く人は、懐が豊かなミドル層からシニア層が主流になるだろう。
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みんなのコメント
トヨタに飽きてる人々
本当の販売数は半年後くらいの数字から読み解くのが妥当