バブル景気に沸く日本で巻き起こったオープンカーブームも今は昔。長らくオープンカーには逆風が吹き続けている。実際、新車で買える国産オープンカーは、数車種のみというお寒い状況……。
しかし! 中古車市場ではオープンカーは意外なほど人気となっている。程度や年式によって大きな差はあるものの、他の車種と比較すると新車時価格よりも値落ち率が少ないものが多い傾向にある。
トヨタ1強の今となっては……だが、「あのトヨタに勝ったクルマたち!!」
今回は、一度乗ったら病みつきになること間違いなし!? の新旧のオープンカーをピックアップ。オープンスポーツの楽しさを味わいたいという人はぜひチェックしてみてほしい。
文/藤原鉄二、写真/スズキ、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、光岡、FavCars.com
[gallink]
ダイハツ・コペン(2002年6月~)
2014年6月のフルモデルチェンジにデビューしたコペン ローブ。「感動の走行性能」「自分らしさを表現できるクルマ」というコンセプトどおりの、個性あふれるクルマに仕上げられている
オープンカー不況のなか孤軍奮闘中のオーブカーといえばコペンだろう。軽自動車初の電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」を搭載したオープンスポーツカーとして2002年6月のデビュー以来、19年の長きに渡り現役モデルとして頑張っている。
2014年に発売された現行の2代目モデルでは外観が脱着可能な「Dress-Formation」を採用することで、外装パーツを手軽に交換することで、個性を表現できるように。このシステムは没個性を嫌うユーザーに高い支持を受けている。
搭載エンジンは、新開発ターボチャージャー付きツインカムエンジン。パワー感のある走りを楽しめる。
他にも、高い剛性を確保する新骨格構造「D-Frame」の採用、サスペンションやパワートレーンにも専用チューニングを施すなど、スポーツカーに求められる操縦安定性と乗り心地を実現している。
オープンカーの楽しさを倍増させてくれる装備が満載の個性派オープンカー。今後も、逆境に負けずに頑張ってほしい名車だ。
マツダ・ロードスター(1989年9月~)
安全装備「i-ACTIVSENSE」も装備するなど、至れり尽くせりで249万4800円~314万2800円という価格レンジはお買い得!
90年代にオープンカー旋風を巻き起こしたクルマといえば、ロードスター。正確には、初代はユーノス ロードスター。マツダ ロードスターという名称になったのは、1998年1月のデビューした2代目からだ。初代の爆売れには届かないものの、現行モデルとなる4代目まで、安定したセールスを誇っている。
現行モデルは、新開発の直噴1.5リッターガソリン「スカイアクティブ-G 1.5」をフロントミッドシップに搭載。先代よりパワーダウンしたものの、ボディへのアルミや高張力鋼板、超高張力鋼板の使用比率を前モデルの58%から71%にアップすることで大幅な軽量化を実現。これにより、パワーダウンを感じさせない軽快な走りを可能としている。
新開発のFR用の6速マニュアルトランスミッション「SKYACTIV-MT」が与える滑らかなシフトフィールも魅力だ。
ソフトトップは、座ったまま片手での開閉操作ができるうえ、ソフトトップを閉じた時の課題である静粛性も向上。また、Bose社と共同開発した専用オーディオシステム「Boseサウンドシステム(AUDIOPILOT2)+9スピーカー」を設定(S Special Packageにメーカーオプション、S Leather Packageに標準装備)することでオープン時にも質の高いサウンドが楽しめることも推しポイントだ。
電動格納式ルーフを採用したハードトップモデル、「ロードスターRF」も生産されていたが、こちらは生産終了してしまった。
ホンダ S660(2015年4月~2022年3月)
S660を新車で手に入れられるチャンスはあと少し。ホンダSシリーズの中古車人気は高いため、買っておいても損はないはずだ
ホンダが誇る、Sシリーズの血統を受け継ぐマイクロスポーツカー。1996年に姿を消したビートから約19年ぶりに復活した軽自動車規格のオープンスポーツカーということで、一部からは熱狂的な支持を集めていたものの、残念ながら2022年3月の生産終了が発表された。
ミドシップエンジン・リアドライブ(MR)レイアウトを採用することで回頭性が良く、キビキビと動く印象のクルマに仕上げられている。また、専用の660ccターボエンジン、マニュアルトランスミッションには新開発の6速MTが搭載されている。
また、ロールが抑えられ、コーナーを思い通りにトレースできるようなドライビングを可能とする電子制御システム「アジャイルハンドリングアシスト」が搭載されるなど、スポーツカーとしての走りを極めるための機能がふんだんに盛り込まれている。
現在、数量限定ながら追加発売されているため、新車で手に入れたいなら今がラストチャンスだ。
ホンダ・ビート(1991年5月~1996年12月)
シートの柄ひとつとっても、お洒落感が漂っていたビート。発売当時のインパクトはハンパなかった!
かなり古めのモデルになってしまうが、やはり軽自動車初のミドシップ、ビートを外すわけにはいかない!
エンジンは新開発された3気筒SOHCのMTREC(エムトレック)を搭載し、軽自動車自主規制上限の64ps/8100rpmを発生した。
軽乗用車として初めてエンジンを座席後部に搭載し、後輪を駆動する ミッドシップエンジン・リアドライブ方式(M・R)と2シーター・フルオープンボディを採用。量産車として世界初となるミッドシップ車のフルオープンモノコックボディを採用することで、高い剛性も確保することに成功。
他にも、4輪ディスクブレーキ、SRSエアバッグなど、軽自動車としては初採用となる装備も多数。ホンダのビートにかける想いを感じさせた。
ライバルのカプチーノと比較しても10万円前後は安い138万8000円(税抜き)という価格設定は、お買い得と感じずにはいられない。
現在の中古車市場の平均価格は100万円前後。新車価格を考えると、値落ち率は低いものの、それだけ「欲しい!」という人が多いということ。デビューからすでに30年も経っているクルマということを考えると、天晴! というほかないだろう。
スズキ・X-90(1995年10月~1999年1月)
開放感という意味ではイマイチだったが、風の巻き込みは少なく、オープンにして走行しても快適性が確保できた
スズキのオープンカーといえば、カプチーノをイメージする人が多いかもしれないが、ここで紹介したいのは、X-90。
X-90は、カプチーノとほぼ同時期に発売されていた。注目すべきは、小型クロスオーバーSUVであるという点。オフロードSUVでは、スズキ・ジムニーなどにキャンバストップが設定されていたものの、国産クロスオーバーSUVのオープンカーというカテゴリーでは、他には日産・ムラーノ クロスカブリオレのみ。ただし、こちらは北米仕様なので日本では逆輸入というかたちでしか手に入らない。
ベースは、初代エスクードの3ドアモデル。ルーフはワンタッチで脱着できるグラスルーフ&Tバーという構造となっていた。ただし、リアウインドウは固定式なので、開放感抜群とまではいかなかったのが残念なところ。
走行性能も侮れずで、1.6リッターSOHCエンジンは、最高出力100ps、最大トルク14.0kgmと、なかなかの強心臓。パートタイム式4WDを採用することで高い悪路走破性を発揮するなど、可愛らしい外観からは想像できないほどの力強い走りを見せてくれた。
約2年の生産期間の販売台数は約1300台と、セールス的には惨敗だったものの、独創性に満ちた一台だった。
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みんなのコメント
今はコペンエクスプレイに乗っています。
樹脂製の電動ルーフは開閉が軽快で、トランクも結構広い。
シートヒーターもあるから、冬でもオープンにしてますよ。
来年辺りにロードスターはフルモデルチェンジなのかな。