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ステファン・ヴィンケルマンCEOに直撃インタビュー! 大谷達也がランボルギーニの未来を訊く

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ステファン・ヴィンケルマンCEOに直撃インタビュー! 大谷達也がランボルギーニの未来を訊く

ランボルギーニが電動化を急速に押し進める理由

モデルラインナップの電動化・・・。

カウンタックをオマージュした「ランボルギーニ ウラカン スーパートロフェオ EVO2」発表! 【動画】

それは2020年12月1日にランボルギーニの会長兼CEOに復帰したステファン・ヴィンケルマンにとって、緊急にしてもっとも重要な課題のひとつだった。そのことは、今年3月の単独インタビューで語ってくれたヴィンケルマンの次の言葉からも理解できる。

「昨年12月にサンタアガタ・ボロネーゼに戻ってきて以来、私はチームのメンバーと電動化戦略に関する今後10年間の戦略について議論を交わしてきました。私たちのチームには信じられないほどプロフェッショナルなメンバーが揃っています。現在、ランボルギーニがかつてないほど高い水準の製品を世に送り出していられるのも、彼らがいるおかげです。したがって、私は将来に関して楽観的に捉えています。おそらく今年の4月中旬には、この戦略に関してより詳しくご説明できると思います」

2025年までにCO2排出量を50%削減

このインタビューの際に、2021年中にウラカン・スーパートロフェオ・オモロガータに続いて2台のV12モデルが登場するとヴィンケルマンは予告。うち1台はシアンと同じスーパーキャパシタを用いたハイブリッドカーのハイパフォーマンス版であることも教えてくれた。なお、もう1台のV12モデルは“カウンタック誕生50周年”を記念する限定モデルであることがその後の取材で判明した。

もっとも、ここで紹介したのはいずれも限定モデル。メーカーにとって大黒柱にあたるカタログモデルの電動化については、5月10日のリモートインタビューでようやく明かしてくれたので、ここで当日の模様を再現してみよう。

「2020年は新型コロナウイルス感染症の影響があったにも関わらず、ランボルギーニは史上最高の営業利益を記録しました。ここからさらに成長するために、将来に向けた投資をする準備が整いました」

ヴィンケルマンはこう切り出したあとで、ついに電動化計画の詳細について語ってくれた。「2023年から24年にかけて、私たちはすべてのモデルラインナップを電動化します。つまり、ウルス、アヴェンタドール、ウラカンをいずれもプラグインハイブリッドとし、ランボルギーニの製品が排出するCO2を2025年までに現在の50%まで削減します」

PHVとなるウルスはV8、アヴェンタドールはV12搭載を名言

ここでひとつ注意が必要なのは、ヴィンケルマンが「ウルス」「アヴェンタドール」「ウラカン」と呼んでいるのはあくまでも便宜上であって、このなかには2024年までに次世代型に切り替わるモデルが含まれている点にある。というのも、私がアヴェンタドールとウラカンについて「2025年までに次世代モデルに切り替わっている可能性はないのか?」と訊ねたところ、ヴィンケルマンはひとこと「イエス」と答えたからである。

さらに彼は「(PHVに生まれ変わった)ウルスはV8エンジン、アヴェンタドールはV12エンジンを搭載するが、ウラカンのパワートレインに関しては追って発表します」と語って明言を避けた。

ウルスPHVのパワートレインはポルシェと同システムか!?

ここまでの情報を総合すると、おおよそ次のような路線が浮かび上がってくる。

ウルスPHVに搭載されるパワートレインは、おそらくポルシェ カイエン ターボS E-ハイブリッドをベースとしたものだろう。そのシステム出力は680psで、0-100km/h加速は3.8秒、最高速度は295km/hと途方もないパフォーマンスを発揮する。もちろん、ウルスへの搭載に際しては独自のチューニングが施されるはずだが、基本的なポテンシャルとしては申し分ないだろう。

一方のアヴェンタドールは、フルモデルチェンジを受けてPHV化されるのではないか。なぜなら、現行アヴェンタドールにV12エンジンを搭載したままPHV化するには、かなりの大手術が必要となるからだ。しかも、アヴェンタドールのデビューは2011年で、すでに10年が経過。次世代型に切り替わっても不思議ではないタイミングなので、ここではフルモデルチェンジを受けるのはアヴェンタドールであると仮定する。

「第4のモデル」は日常性に適したモデルを計画

では、ウラカンはどうか? こちらは2014年のデビューなので、アヴェンタドールより3年ほど新しい。また、ヴィンケルマンがエンジンについて敢えて語らなかったこともひとつのヒントだと考えられる。そこで私は、ウラカンはフルモデルチェンジを受けることなく、エンジンをV8もしくはV6とすることでPHVシステム搭載のスペースを稼ぎ出すものと推測する。

ただし、ランボルギーニの電動化計画はこれだけでは終わらない。なんと、ウルス、アヴェンタドール、ウラカンに続く「第4のモデル」が登場するというのだ。

「3台のPHV化だけでは十分ではありません」とヴィンケルマン。「私たちが持続的な成長を果たすためには第4のモデルが必要なのです。これはフルEVで、アヴェンタドールやウラカンのようなシェイプを持つスーパースポーツカーではなく、より日常的な使い方に適したモデルとなります。現時点で想定されるシートアレンジは少なくとも2+2で、ドアの数はまだ確定していないものの2ドアとなる可能性があります」

ランボルギーニをなにひとつ変えないため、ランボルギーニのすべてを変える

ヴィンケルマンによれば、第4のモデルが登場するのは2020年代後半の予定。そして3モデルのPHV化や“第4のモデル”を開発し、生産に必要な態勢を整えるために、15億ユーロ(約2000億円)を超す投資を2024年の終わりまでに実施するという。

なぜ、ランボルギーニは電動化の道を突き進むのか? この質問に対して、ヴィンケルマンは次のように答えた。

「CO2削減は私たちが絶対に達成しなければいけないミッションです。これは社会的受容性の問題であり、顧客や私たちの意識の問題でもあります。つまり社会的な責任なのです。社会のルールに従っていなければゲームに参加できません。これは議論すべき問題ではなく、すでに決まっていることなのです」

ただし「電動化されてもランボルギーニの価値は変わらない」とヴィンケルマンは力説する。「ランボルギーニにとって重要なのはパワーであり、デザインです。さらにいえばパワーウェイトレシオであり、ハンドリングであり、エアロダイナミクスであり、ブレーキであり、加速感です。それらをすべて完璧なバランスで実現したのがランボルギーニなのです。私は電動化に際して『ランボルギーニをなにひとつ変えないために、ランボルギーニのすべてを変える』と申し上げています。お客様は今後も最高の製品、夢のクルマを手に入れることでしょう。これこそ私たちにとって最大のチャレンジであり、コミットメントなのです」

スーパーキャパシタの採用は終了。PHVシステムは各モデルに固有のものへ

また、ウルス、アヴェンタドール、ウラカンのPHVシステムは3台に共通なものではなく、それぞれに固有なシステムになるとヴィンケルマンは明かした。

「同じシステムを3台に搭載できれば、そのほうがコストは安くて済みます。ただし、3台はそれぞれ異なるバッテリー、それぞれ異なるエンジンを搭載します。いずれもユニークなシステムです」

ランボルギーニが初のハイブリッドモデルであるシアンを世界限定63台で発売したのは2019年のこと。ちなみにシアンはハイブリッドシステムの蓄電装置としてスーパーキャパシタを用いた初のロードゴーイングカーでもあったが、今後登場するランボルギーニにスーパーキャパシタが用いられることはないという。

「スーパーキャパシタはいわば橋渡し的な技術でした。今後、使われることはないでしょう」

ランボルギーニはひときわ明るい「牡牛座の心臓」へ向かう

一方で、「第4のモデル」となるEVにはフォルクスワーゲン・グループ内のシナジー効果を活用する可能性があることもヴィンケルマンは認めた。

今回、発表された長期戦略をランボルギーニは「ディレッツィオーネ・コル・タウリ(コル・タウリへの道)」と名付けた。コル・タウリはラテン語で「牡牛の心臓」を意味し、牡牛座のなかで最も明るいアルデバランという名の恒星を指している。ちなみに、F1チームのアルファ・タウリも意味するところはアルデバランで同じらしい。

ひときわ明るい「牡牛座の心臓」が今後、どんな輝きを見せてくれるのか。いまから楽しみだ。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTAI)

PHOTO/Automobili Lamborghini S.p.A.

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