■国内外で販売されたおもしろいOEM車を振り返る
現在、軽トラックを製造しているメーカーはスズキとダイハツだけで、スズキ「キャリイ」は三菱やマツダ、ダイハツ「ハイゼット」はトヨタやスバルのブランドでも販売されています。
このように、他社で開発・生産した製品を供給する取り組みを、“OEM(Original Equipment Manufacturing)”といい、自動車メーカーでは古くからおこなわれてきました。
OEMはアパレルや家電などでも珍しくなく、供給する側は製品が自社の販路以外でも売れ、供給される側にとって粗利は少なくなるものの、開発費がかからず生産設備に投資する必要もないと、双方にメリットがあるといえるでしょう。
とくに、クルマの場合は莫大な開発費を削減しつつ、ラインナップを増やすことができるとあって、今では盛んにおこなわれています。
しかし、OEM車というとエンブレムやフロントグリルの変更に留まっているケースが多く、個性が出しづらい難点もありますが、なかにはユニークなOEM車も存在します。
そこで、一風変わったOEM車を、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「ヤリス」
1999年に誕生したトヨタのコンパクトカーで世界戦略車でもあった「ヴィッツ」は、海外で「ヤリス」の名で販売され、国内外で大ヒットを記録しました。2020年に日本でもヤリスの車名に統一されたのは記憶に新しいところでしょう。
このヤリスは仕向地によって同じ車名ながら異なるモデルとして販売されています。なかでもユニークだったのが北米仕様のヤリスで、マツダ「マツダ2」のOEM車となっていました。
もともと北米版の初代ヤリスは、2008年に2代目ヴィッツをベースにしたモデルが発売されましたが、2014年に4ドアセダンの「ヤリス iA」が追加され、セダンのベースは日本で販売していなかったマツダ「デミオセダン」でした。
その後、3代目ヴィッツベースのヤリス(ハッチバック)と、デミオセダンベースのヤリス iAは併売され、2019年には5ドアハッチバックモデル(カナダ専用)もマツダ2ベースとなりました。
セダン、ハッチバックとも外観は、リアまわりと全体のシルエットはマツダ2と共通ですが、フロントフェイスにトヨタのデザインコンセプトである「キーンルック」を採用する大きな改修がおこなわれ、大きな開口部のフロントグリルが特徴的でした。
エンジンは全グレード共通で最高出力106馬力の1.5リッター直列4気筒ガソリンを搭載。トランスミッションはセダンには6速MTが設定されましたがハッチバックは全グレードとも6速ATのみとなっており、ハッチバックはセクレタリーカー(働く女性が通勤用に使うことを想定したコンパクトカー)としての需要を考慮していたと思われます。
しかし、販売が低迷したことから2019年にヤリスセダン、2020年にはカナダ向けハッチバックも販売は終了し、後継車はありませんでした。
●アキュラ「SLX」
1990年代初頭に日本の自動車市場では、「RVブーム」が巻き起こりました。このRVブームでもっとも販売台数を伸ばしたのがクロスカントリー4WD車でしたが、ホンダは自社でクロカン車を生産していなかったため、英国のランドローバー「ディスカバリー」を、いすゞからは2代目「ビッグホーン」と初代「ミュー」をOEM供給してもらい、ホンダディーラーで販売しました。
こうした取り組みはとくに珍しくはありませんでしたが、ホンダはビッグホーンのOEM車である「ホライゾン」を高級車ブランドのアキュラでも展開していたことは、あまり知られていません。
ホンダは1996年に、アキュラ初のSUVという記念すべきモデルとしてホライゾンベースの「SLX」を発売。
外観はホライゾンから大きく変わらず、アキュラのエンブレムが装着される程度で、プレミアムSUVという触れ込みながらデザイン的にも高級感はあまりありませんでした。
エンジンは最高出力215馬力を発揮する3.2リッターV型6気筒ガソリンエンジンが搭載され、1998年には3.5リッターエンジンにアップデートされましたが、販売的には振るわず、発売からわずか3年後の1999年に販売を終了。
2001年に自社開発した大型SUVの初代「MDX」を発売し現在も販売されていますが、SLXはこの一代限りで消滅してしまい、今では幻のモデルとなってしまいました。
●アストンマーティン「シグネット」
イギリスは数多くの高級車メーカーを輩出していますが、なかでも高性能な高級スポーツカーメーカーとして長い歴史を刻んでいるのがアストンマーティンです。
アストンマーティンというと美しいスタイルの2ドアクーペをイメージしますが、それとは大きく異なるモデルが2011年に登場した「シグネット」です。
シグネットはトヨタのマイクロカー「iQ」1.3リッター車をベースに、アストンマーティンが専用のパーツを手作業で組み付ける方式で生産されたモデルです。
全体のフォルムはiQに準じていますが、アストンマーティンのモデルに共通する伝統的なデザインのフロントグリルや、ボンネットのエアインテーク、フロントフェンダーのエアアウトレットなど、特徴的なデザインが採用されています。
また、室内もシートやインパネ、ドアトリムなどに上質な本革がふんだんに使用され、さらに各部に遮音材の追加やエンジンとトランスミッションのマウントを最適化することで車内の静粛性向上が図られ、高級感のある走りが演出されました。
アストンマーティンがシグネットを販売した理由は、企業別平均燃費基準=通称“CAFE”をクリアする目的があったためでしたが、販売は芳しくなく2013年に生産を終了。
なお、シグネットは日本市場にも正規輸入され、当時の新車価格は475万円(消費税8%込)から490万円とiQの3倍近く、価格的には紛れもなく高級車でした。
※ ※ ※
前述にあるランドローバー・ディスカバリーは1993年にホンダ「クロスロード」として販売されましたが、これがかなりの曲者(くせもの)でした。
というのも、当時のイギリス車は各部の寸法がインチで作られており、そのためボルト・ナット類もインチサイズを使っていたことから、トラブルが起こってもホンダディーラーの多くはインチ工具がなく、対応できなかったといいます。
ちょっとした部品の交換作業でも他所から工具を借りていたケースもあって、なかなか作業が進まないという状態でした。
そうした準備をすることなく輸入してしまったのも、ホンダはRVブームの最中に販売するクルマがないという相当な危機感があったのかもしれません。
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いつものことだが、くるまのフェイクニュース。