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まさに弱り目に祟り目か!? 福島原発処理水の放出により中国で日本車はますます売れなくなる?

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まさに弱り目に祟り目か!? 福島原発処理水の放出により中国で日本車はますます売れなくなる?

 福島原発の処理水海洋放出に関する中国側の抗議がいまだにやまないが、2023年10月5日から2度目の放出が開始される。折しも日本でBYDドルフィンが9月20日から発売されたが、日本車の中国での販売はどうなるのか?

文/国沢光宏、写真/ベストカーWeb編集部、国沢光宏

まさに弱り目に祟り目か!? 福島原発処理水の放出により中国で日本車はますます売れなくなる?

■2回目の処理水海洋放出が始まったが……

中国国内では日本車の売れゆきが激減するなか、今回の処理水海洋放出でどのようなダメージを受けるのか?

 2023年10月5日から中国が言う『核汚染水』の第2回目の海洋放出を始める。「科学的な根拠のない言いがかりだ!」などと憤る声もあるけれど、ビジネス面では顧客に文句を言ってもしかたない。ただでさえ日本車の売れゆきが激減しているなか、少なからぬダメージを与えると思う。

 いい機会なので中国における日本車の状況を紹介してみたい。深刻な事態になっていることを理解していただけるかと。

 まず直近の日本車の売れゆきだけれど、トヨタのみ対前年比で5%程度の落ち込みで済んでいるものの、ホンダや日産などそれ以外のメーカーは軒並みマイナス25%前後という激しい状況。

 2022年の4分の3しか売れていないワケ。なんで激しい落ち込みを見せているかとなれば、最大の要因になっているのが電気自動車の投入遅れにある。日本勢、開発の速度感で完全に負けた。

[articlelink]

■中国では補助金がなくても150万円以上安くEVが買える

中国では補助金がなくてもEVは安く買える(写真は北京市内でのショッピングセンターにある北汽集団ARCFOXのショップで)

 こう書くと「中国も電気自動車の補助金をやめた。売れゆきは落ちる」みたいな知ったかぶり一等賞の人もいる。北京や上海などの大都市部は環境汚染防止の観点からエンジン車の登録に強いブレーキをかけてます。

 北京だと倍率の高い抽選。上海などは150万円以上を出して権利を買うしかない(抽選の北京だってお金で解決するケース多い)。電気自動車なら大幅にハードルは低くなる。

吉利汽車のEV、ZEEKR01

 そんなこんなで補助金がなくなっても電気自動車は事実上150万円以上安く買えてしまう。エンジン車の登録規制がかかっている都市部は皆さん、BYDやZEEKR(ジーカー)に代表される高性能の中国製電気自動車を購入する流れになってきた。

 都市部に住む高収入の中国人は世界での動きもわかっているため、中国が言う”核汚染水”についての反発は少なく、日本車排斥に動いてないが、電気自動車なし。

2023年春から中国で販売がスタートしたマツダのミドルSUV、CX-50

 農村部はどうか? 2022年に投入したアウトランダーがまったく売れず、中国撤退まで秒読みになっている三菱自動車やCX-50を投入して起死回生を狙うマツダは「農村部に行けばハイブリッドに代表されるエンジン車のニーズがまだ多い」と考えているようだ。

 実際、都市部での販売より農村部をターゲットにした販売戦略に変えつつある。しかし、これまた狙いどおりになってません。

■大幅に完成度が高まった中国ブランドのクルマ

2023年4月に開催された上海モーターショー。中国車の実力はすさまじいものがある

 なぜかといえば中国車の完成度が大幅に向上しているためだ。この10年くらいで中国勢は日米欧のクルマ作りを完全に取り入れた。今や日米欧車に近い品質や性能を持っている中国車を日米欧車より安価なプライスで販売している。

 しかも中国人は日本人と同じような強い国産品愛好精神を持っているため(中国は世界の中心にあるというのが中華思想です)、中国車を買う。

 先日、TEINの工場取材で北京と上海の真ん中くらいにある「宿遷市」(劉邦とともに秦を滅ぼし、覇権を握った項羽の出生地)へ行った。日本で言えば東京と大阪の中間にある浜松をイメージしていただければいい。鰻の養殖池が延々と続いてました(笑)。

 驚いたことに新しい世代の日本車はほとんど見かけず。調べてみたら宿遷市にかぎらず中国の地方都市はすべてそんな傾向だという。

 中国人からすれば今や日本車を買う理由なし。そこへ中国が言う核汚染水騒ぎだ。前述のとおり、地方に行くと中華思想が一段と濃くなる。世界の状況になんか関心を持ってない。

■処理水の放出で日本の悪いイメージが増幅され、日本車は売れなくなる?

2023年4月開催の上海モーターショープレスデーでの日産ブースの様子

 ましてや日本ってかつては「倭」と呼ばれる国。中国語での倭は「いやしい」という意味合いを持つ。いわゆる蛮族扱い。中国からすれば第2次世界大戦では攻められたし(中国人からすれば迷惑な話)、そもそもいいイメージなし。

 とはいえTEINの工場を取材した時に感じたのだけれど、多くの中国人はそういった過去の記憶を思い出すことなく生活している。日本が中国に悪いことさえしなければ平和に過ごしています。

筆者が2023年7月に取材した中国でのTEINの工場

 けれど中国が言う核汚染水を海に流したと報じられたら、やはり面白くないと思うに違いない。日本に対する悪いイメージがドンドン出てきてしまう。処理水を海に流し始めてからそんな空気感が漂う。

 今後、中国政府がどういった対応をしてくるのかわからないけれど、2023年10月5日から始まる海洋放出に対し、何らかのアクションを起こしてくるなら地方部における日本車の売れゆきに大きな影響を与えると考えるべきかと。

 暴動や打ち壊しこそないだろうが、長期的に続く「日本車への無関心」をもたらす。2023年10~12月の中国での日本車の販売台数がどうなるか? 私は不安しか感じない。

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みんなのコメント

126件
  • mat********
    中国寄りに必死な記事。左翼雑誌はいらん。
  • kmm********
    『中国に悪いことをしなければ』?
    知ったかぶり1等賞はまさに記事を書いたあんただよ。
    只の中国親派だよ貴方は。
    中国国内のEVにしても上っ面しか知らない人の内容だなコレ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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