自動車ディーラーに行くと、かわいらしいミニカーが飾ってあることが多い。その大部分はカラーサンプルとして使用されていて、ディーラーの商売道具の一つだ。クルマ好きにとっては、ちょっと欲しくなってしまうカラーサンプルのミニカーたち。彼らはいったいどこからきて、どこへ行くのか。そして、今後も残り続ける文化なのかを考える。
文/佐々木 亘、写真/佐々木 亘、Adobe Stock
マジ欲しい!! ミニカーマニア大興奮!! ディーラーに並んでいるカラーサンプルは購入できるのか!?
■意外と大きいカラーサンプルの効果
筆者が所有するトヨタラクティスのカラーサンプル
新車の商談時に、決めなければならないことは様々ある。クルマのグレードに始まり、オプションにも悩むことがあるだろう。その中で、家族会議が開かれるほど決定に苦労するのがボディカラーだ。
クルマの色に関しては、クルマのことに無頓着だった家族も前のめりになって話を切り出す。筆者の体験では、価格も仕様も決まっているのに、ボディカラーだけが決まらず、商談が2度、3度とクルマの色の話だけで終わることもあった。
お店にあるクルマ以外の色を見たいといって、本社の新車センターまで顧客を連れていき、希望の色が塗られたクルマを見てもらうということも数多くしている。
こうしたボディカラーが決まらないというときに役立つのが、カラーサンプルだ。
今では営業スタッフが使用する端末の中で、選んだオプションを付けたクルマをCGで作り出し、画面上でボディカラーを切り替えることができるのだが、どうにも昔から平面図ではイメージが沸かないというユーザーが多い。
そこへ、立体として認知できるカラーサンプルのミニカーを持っていくと、「イメージしやすい」といって、すんなり色が決まるケースもある。
ただし注意しなければならないのは、カラーサンプルの塗装と、実際に注文したクルマの塗装は若干異なるということ。ミニカーのボディはプラスチックでできており、実際のクルマは金属だ。塗料ののり方が異なり、プラスチックに塗った方が深みは出にくい。光の当たり具合による陰影もミニカーでは出にくくなる。
とはいえ、カタログでもパソコンのCGを使ってもイメージが膨らまないというユーザーに対しては、ミニカーのカラーサンプルが威力を発揮する。
ただ、ディーラーにとっては置き場所の確保や、掃除の手間がかかるなど、ちょっとした仕事が増える厄介者の一面も持っているのだ。
■ディーラーはどうやって仕入れる?不要になったミニカーはどこへ行く?
ディーラーに並ぶミニカーは自動車メーカーが製造・販売したもの(kai@adobeStock)※画像はイメージ
その時々の新型車が並ぶカラーサンプルミニカー。その製造元は、クルマやカタログと同じく、それぞれの自動車メーカーである。カラーサンプルは、ディーラーがメーカーから購入して、お店に飾られていることが多い。
車種や塗色、大きさによっても金額はまちまちだが、仕入れ価格は1台1,000円から3,000円程度になるだろう。ただし、希少車種や特別塗色のミニカーは5,000円~1万円程度するものもある。ディーラー全店に各色のミニカーを勢ぞろいさせると、結構なコストになるのがわかっていただけると思う。
そしてミニカーは、モデルが切り替わるタイミングや、次の新型車が登場するタイミングでお役御免となる。お店の中でも飾るスペースが限られているから、売れ筋の新しいクルマに変わるのは、展示車両も試乗車も、そしてカラーサンプルも同じだ。
用済みとなったカラーサンプルミニカーは、ディーラー本部へ返却される。その後、本部で保管されるか、はたまた処分されるかどちらかだ。
最近でも、まれに納車プレゼントとしてカラーサンプルミニカーをユーザーへ贈呈するケースはあるようだ。しかし、多くのディーラーでは公平性の確保から、非売品であるカラーサンプルミニカーをユーザーに渡すケースは少ない。
カラーサンプルミニカーは、半年から1年程度お店で飾られ、その後はディーラー本部の暗い倉庫の中で、静かに眠り続けている。
■カラーサンプルを購入できる場所も! 今後は消えていく文化なのか
ヒットした3代目のプリウスのG’sのカラーサンプル
愛車のミニカーは、ちょっと欲しくなるもの。基本的には非売品のカラーサンプルミニカーだが、購入できる機会もある。
トヨタの場合、販売店に置いてある1/30のカラーサンプルミニカーはトヨタ会館(愛知県豊田市)、プルバックカーはトヨタ博物館(愛知県長久手市)で購入することができる。(※在庫限り)
また、トヨタに限らず各ディーラーの独自イベントなどで、カラーサンプルミニカーを限定販売する機会がある。ただし、基本的には非売品であり、販売機会を作ってトラブルを生むことを嫌う販社が多いことから、イベント時に入手するというのは非常に難しい。
あとは、筆者にも流通経路が分からないが、カラーサンプルミニカーがネットオークションやフリマアプリに流れていることも。正規品かどうかも分からないものが多く、入手経路もグレーなため、できるだけ手は出さない方が良いだろう。
カラーサンプルは、電子化が進む自動車販売業の中で不要だという見方も多い。しかし、サンプルの良さがあることも事実だ。紙や画面ではわからない塗装の雰囲気を、手に取って感じられるのは大きな利点。ただ、必ずしもクルマの形をしている必要はないと思う。
ミニカー以外の形で、カラーサンプルを店舗に配置し、うまく使っているのがレクサスだ。ボディカラーサンプルはミニカーよりも実車の塗装に近く、シート表皮やオーナメントなども実際に手で触って感じることができる。
効率化という名のもので、カラーサンプルも淘汰されていくだろう。しかし、販売現場の側から見ると希望の色の実車を探して、店に行くため他店舗へ向かうより、お店のカラーサンプルで事足りるなら、カラーサンプルを使った方が商談効率は高まる。
カラーサンプルを消滅させると、逆に非効率な営業活動をしなければならないことを、多くの自動車関係者にはわかってもらいたい。
CG技術が発達し、ディスプレイが高画質になっても、やはり本物の質感を表現するのは難しい。カラーサンプルミニカーという文化は、今後廃れていくと思うが、本来の意味でのカラーサンプル(色見本)は、対面販売が続く以上、ディーラーに残してほしいと筆者は思う。
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みんなのコメント
記念にもらった展示ミニカーは購入した色じゃなかったから、わざわざカースプレーの番号調べて塗装し直して飾ってた。