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SUVだってカタチで選んでイイ! そんな流れを生み出したイヴォークも遂に第2世代に

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SUVだってカタチで選んでイイ! そんな流れを生み出したイヴォークも遂に第2世代に

およそ8年前。イヴォーク、デビュー。かなり衝撃的だった。レンジローバーのコンパクト版、という範疇には収まりきらないコンセプトカーさながらのデザインで、コンパクトSUVブームの頂点にいきなり立った。それくらい、格好よく見えた。

日本でも当然のように人気を博した。登場以来、1万台以上を販売。多い年には2000台以上を売った。グローバルでは80万台以上のセールスを記録したという。

「小型車=安っぽい」はもう古い。万能型に仕上げられた新型Bクラス

グレード構成は少々複雑でエンジンは2つの出力が設定されたガソリン、ディーゼル、マイルドハイブリッドがあり、装備を差別化してベースシリーズ(461万円~)、Rダイナミックシリーズ(624万円~)のほかにファーストエディション(821万円)が用意される。カッコいい。ただそれだけの理由でイヴォークを選んだユーザー、およそ7割。デザインだけで買うという選択行動は、SUVジャンルにおいてはマレ(たいていは居住性や積載性の充実という機能を担保したうえでスタイルの好みを加味して選んでいる)。デザインで選ばれていると思しきメルセデスベンツGクラスやランドローバーデイフェンダーにしたところで、プリミティブな無骨さがブランド物へと昇華しただけであって、誰もがカッコいいと思うカタチじゃなかった。

イヴォークは違う。どちらかといえばスポーツカーに典型的なパターンで購入の意思決定がなされた。デザインコンシャスなSUVという新ジャンルを確立したと言っていい。

ワイド化されたボディサイズが日本の駐車場事情のなかでどう評価されるのかにも注目が集まる。ユーザー目線で嬉しいインテリアの質感向上そんな人気モデルのフルモデルチェンジだ。ひとめでそれと分かるクーペライクなスタイリングイメージを進化させての2代目登場となった。

最大の見どころは、パフォーマンスの向上と、内外装デザインの見映え質感の向上だ。

後者に関しては、もう写真を見ていただければ一目瞭然だろう。後端に向かって傾斜するユニークなルーフラインはそのままに、大きな塊から削り出したかのようにシンプルでグラマラスな体躯とした。前後のフェンダーラインやリアピラーまわりの肉感的な表情には、デザイナーの強い意思が感じられる。

エクステリア以上に、旧型に比べてクオリティをあげてきたのがインテリアだ。エンジンをかける前の室内は、まるで夜明け前の湖のように凛と静まりかえっていて、かえって“シーン”という音が聴こえてきそうなくらいだ。兄貴分のレンジローバーたちを古くさく思わせてしまうほどの出来映えだと思う。

ディテールまで気を抜くことなく“デザイン”されており、小さなパーツひとつとっても、「これにお金を払って良かった」、と思わせるだけのクオリティがある。その積み重ねこそがラグジュアリィブランドのモノ造り、というわけだろう。

200psと249psの2ℓガソリンエンジン、180psの2ℓディーゼルエンジンに加え、300psのマイルドハイブリッド「P300」も用意されている。内外装の出来映えをはっきりと良くすること、は、イヴォークというクルマの性格上、当たり前のことだった。クルマ運転好きライターとしての個人的な関心ごとは、それよりもむしろ、ナカミの向上にあった。

正直に言って、前作はそのスタイルにこそ衝撃を受けたけれども、乗ってみれば“まぁそこそこ”というパフォーマンスだった。乗り心地が良いとはとてもじゃないが言えなかったし、得意のオフ性能(レンジローバーと名乗るのだから当然だ)以外、これと言って褒めたくなるようなパフォーマンスのクルマではなかったのだ。

操作系を集約し、シンプルに仕上げられたインテリア。インフォテインメントシステムの「Touch Pro」やヘッドアップディスプレイなどの近代的な装備も豊富。大きくなったボディは評価が分かれるか今回のモデルチェンジで、ランドローバーは将来の電動化を見越したPTAと呼ばれる新型プラットフォームを採用した。それゆえ、1.9mもの横幅になってしまい、一部のユーザーには“使えない”クルマになってしまったが、その甲斐あってドライバビリティは格段に向上している。

マイルドハイブリッドを搭載したP300はもとより、ガソリンエンジンのP250、そしてチョイ乗りだったけれどもディーゼルのD180、いずれも動力性能に不足はなく、乗り心地も格段に向上しており、上級モデルのヴェラールのお株を奪う仕上がりであった。もし、大人4人フル乗車で使う場面などほとんどない方なら、何もヴェラールを買わなくてもイヴォークで十分だ。

メインモニターの下には走行モードの切り替えを行うサブモニターを配置。またエアコンなどの快適機能もこちらのタッチパネルで操作する。長い距離を試乗できたわけではないので断言はまだできないが、オススメはわずか1750回転から400Nmものトルクを発揮するD180だ。SUVだからディーゼル、というわけではなく、オールマイティに使える“コンパクトカー”として、扱い易さ、ここ一発の加速、そして燃費を考えあわせると、ディーゼルエンジン搭載モデルの方がイヴォークに似合っていると思う。

ありがたい装備なのが「クリアサイトインテリアリアビューミラー」。荷物をフルに積みこんでも後方確認ができるよう、後方のカメラが写した映像をルームミラーに表示する。画期的な機能なのが「クリアサイトグラウンドビュー」。通常は見ることができない角度であるフロア下の様子を擬似的に確認することができる。ちょっと大きくなってしまったのは残念だけれども、そのぶんパフォーマンスが大いに向上した。ガレーヂ事情が許すのであれば、この新型コンパクトSUVを購入リストに挙げて損はないだろう。

文・西川 淳 写真・柳田由人 編集・iconic

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