現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日産が旗振り役「ブルースイッチ」ってどんなスイッチ? 同社新型SUVがカギとなる訳とは

ここから本文です

日産が旗振り役「ブルースイッチ」ってどんなスイッチ? 同社新型SUVがカギとなる訳とは

掲載 更新 4
日産が旗振り役「ブルースイッチ」ってどんなスイッチ? 同社新型SUVがカギとなる訳とは

■近年多発する自然災害対策にも有効な「ブルースイッチ」

 山形県酒田市、三重県桑名市、宮崎県都城市 、富山県富山市、広島県府中市、福井県福井市、島根県美郷町、滋賀県大津市、千葉県市原市…。

なぜホンダの技術はマネされない? 他社が採用しない理由

 これらの市町には、ある共通点があります。それは、日産の日本電動化アクション「ブルースイッチ」による災害対策連携です。

 当初、日産は2019年度末までに30を超える企業や自治体との連携を目指していたのですが、直近では2020年6月が6件、7月は20日までに4件とその数が一気に増えてきました。

 背景にあるのが、全国各地で増加している大規模な豪雨災害です。つい先日も、熊本県内など九州各地で豪雨災害に見舞われました。河川の氾濫により住宅や店舗が浸水し、復興に向けて皆さんが懸命に努力をされています。

 2019年9月には、千葉県房総半島での豪雨災害で数週間に渡り停電する事例が多く発生。

 その際、関東周辺の日産ディーラーが「リーフ」を緊急電力源として無償提供しました。トヨタも「プリウスPHV」によるボランティア活動を実施しています。

 こうした災害など有事に対して、平時にしっかりと準備しておくことを、防災レジリエンス(強靭化)といいます。この観点から、日産「ブルースイッチ」の活動が広がっているのです。

「ブルースイッチ」には、防災レジリエンスとは別の側面もあります。が、そのひとつは、卒FIT対策です。

 FIT(固定価格買取制度)は、「再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電)で発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度」(経済産業省・資源エネルギー庁ホームページより抜粋)です。

 FITが始まったのが2009年なので、一定期間となる10年契約が2019年に満了し、その後の2009年以降に開始した契約も順次満了していきます。これをメディアでは、卒FITと呼びます。
 
 卒FIT後の選択肢として、国はふたつの方法を提案しています。

 ひとつは、相対・自由契約。つまり、新たに電力会社に電気を買い取ってもらう新規契約をすることです。ただし、価格はFITよりも安くなる場合がほとんどです。

 もうひとつは、自家消費です。FITでは、自家消費で余った電気を売電していましたが、今後は余った電気を自費で蓄えるという考え方です。

 方法としては、定置用蓄電池、またはプラグインハイブリッド車やEVを購入して使います。

 こうした、クルマと家の間で充電や放電をおこなうことを、V2H(ブイツゥーエイチ)といいます。

 V2Hは、2011年3月11日の東日本大震災の後、国が自動車メーカー各社に対して機器の開発を強く要請したことで普及が始まりました。

 リーフの場合、搭載する電池容量が初代は24kWhから30kWhへ拡大。2代目となり40kWh、さらにハイグレードの「e+」では62kWhへと拡大していますので、V2H用の蓄電池としての価値も向上しています。

■日産が「ブルースイッチ」を推進するほかの理由とは?

 もうひとつ、日産が「ブルースイッチ」を推進する理由に、ESG投資への対応があります。

 ESG投資とは、「従来の財務情報だけではなく、環境(エンバイロメント)、社会(ソーシャル)、ガバナンス要素も考慮した投資」を指します(経済産業省ホームページより抜粋)。

 例えば、ガバナンスについては、この数年で多発した排ガス規制に対する不正行為や、車両検査に対する法令違反など、その対応に自動車メーカー側はメディアや株主に対して極めて慎重かつ丁寧な説明してきたことが、記憶に新しいと思います。

 環境についても、単に地球環境にやさしいという大義名分だけではなく、前述の防災レジリエンスを含めた社会への貢献を、具体的な活動として進める必要があるのです。

 このように、EVなど電動車は、ガソリン車やディーゼル車では実現できなかった、新たなる社会とのつながり方を、日産をはじめとした自動車メーカー各社が模索しているところです。

 日産の新型電動SUV「アリア」のオンライン発表会で、同社の内田誠CEOは「日産の新たなる扉を開くモデルだ」と表現しています。

 新型アリアの上級モデルの電池容量は、日産として過去最大となる90kWh。また急速充電には、130kWを想定しています。

 大容量電池が新型アリアに搭載されたということは、日産「ブルースイッチ」の観点でも、新たなる挑戦を意味するのだと思います。

こんな記事も読まれています

エアロ重視で航続距離750km DSが新型ファストバック「DS 8」のプロトタイプ初公開
エアロ重視で航続距離750km DSが新型ファストバック「DS 8」のプロトタイプ初公開
AUTOCAR JAPAN
ゼネラルモーターズ、11番目のF1チームに。キャデラックブランドで2026年からの参戦で基本合意
ゼネラルモーターズ、11番目のF1チームに。キャデラックブランドで2026年からの参戦で基本合意
motorsport.com 日本版
トヨタ新型「ランクルオープン」初公開に大反響! FJ風な“旧車デザイン”&斬新「スケスケドア」採用! “TOYOTA”ロゴの「ROX」米国で披露!
トヨタ新型「ランクルオープン」初公開に大反響! FJ風な“旧車デザイン”&斬新「スケスケドア」採用! “TOYOTA”ロゴの「ROX」米国で披露!
くるまのニュース
どんな役割を持っているか知ってる? 最近のバイクに必須の「三元触媒」を徹底解説
どんな役割を持っているか知ってる? 最近のバイクに必須の「三元触媒」を徹底解説
バイクのニュース
ロータスがEV化計画を修正、ハイブリッド車導入へ 消費者需要や関税に対応
ロータスがEV化計画を修正、ハイブリッド車導入へ 消費者需要や関税に対応
AUTOCAR JAPAN
義父から受け継いだ日産「バイオレット」はオリジナルをキープ!「当時の状態で後世に残すこと」に共感して20年…現状維持が課題です
義父から受け継いだ日産「バイオレット」はオリジナルをキープ!「当時の状態で後世に残すこと」に共感して20年…現状維持が課題です
Auto Messe Web
ブリヂストン、国内3工場に投資し能力増強 高インチタイヤ生産強化 2028年までに日産3000本増
ブリヂストン、国内3工場に投資し能力増強 高インチタイヤ生産強化 2028年までに日産3000本増
日刊自動車新聞
ホンダ 新型「アドベンチャーモデル」発表に反響多数! 「デイキャン余裕です」「ロボット顔が好き」の声!鮮烈レッドボディに高性能「eSP+エンジン」搭載の「ADV160」どんなモデル?
ホンダ 新型「アドベンチャーモデル」発表に反響多数! 「デイキャン余裕です」「ロボット顔が好き」の声!鮮烈レッドボディに高性能「eSP+エンジン」搭載の「ADV160」どんなモデル?
くるまのニュース
独ボッシュでも最大5500人削減、欧州車メーカーの業績悪化が影響[新聞ウォッチ]
独ボッシュでも最大5500人削減、欧州車メーカーの業績悪化が影響[新聞ウォッチ]
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定【CES2025予習&復習セミナー】前回CESのトレンドを踏まえて次回の見どころをチェックする
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定【CES2025予習&復習セミナー】前回CESのトレンドを踏まえて次回の見どころをチェックする
レスポンス
クルマのメーター内に「光るカメ」出現! 「青いイカ」や「コーヒーカップ」も!? 点灯したらマズい? 新種の「警告灯」どんな意味?
クルマのメーター内に「光るカメ」出現! 「青いイカ」や「コーヒーカップ」も!? 点灯したらマズい? 新種の「警告灯」どんな意味?
くるまのニュース
新基準原付で125ccも原付扱いに!? 125ccのバイクには一体何がある?
新基準原付で125ccも原付扱いに!? 125ccのバイクには一体何がある?
バイクのニュース
トヨタがマニュファクチャラーズタイトル獲得! 地元で歓喜の戴冠!!
トヨタがマニュファクチャラーズタイトル獲得! 地元で歓喜の戴冠!!
ベストカーWeb
【ラリージャパン 2024】波乱続きの劇的大団円…ヒョンデのヌービルが悲願のドライバーズタイトル初戴冠
【ラリージャパン 2024】波乱続きの劇的大団円…ヒョンデのヌービルが悲願のドライバーズタイトル初戴冠
レスポンス
日産『エルグランド』、15年目の大変身へ! 燃費倍増も、BEV化はおあずけ?
日産『エルグランド』、15年目の大変身へ! 燃費倍増も、BEV化はおあずけ?
レスポンス
ラリージャパンはヒョンデを駆る首位のタナクがクラッシュでトヨタのエバンスが優勝! 日本の勝田は惜しくも表彰台を逃す4位で終幕
ラリージャパンはヒョンデを駆る首位のタナクがクラッシュでトヨタのエバンスが優勝! 日本の勝田は惜しくも表彰台を逃す4位で終幕
WEB CARTOP
スズキが新型「カタナ」発売! めちゃ“レトロ感”あふれる「旧車風デザイン」に反響殺到! “鮮烈ブルー”採用した「レジェンドバイク」最新モデルが凄い人気!
スズキが新型「カタナ」発売! めちゃ“レトロ感”あふれる「旧車風デザイン」に反響殺到! “鮮烈ブルー”採用した「レジェンドバイク」最新モデルが凄い人気!
くるまのニュース
F1シート喪失ボッタスのメルセデスリザーブ復帰は「時間の問題」トト・ウルフ代表認める
F1シート喪失ボッタスのメルセデスリザーブ復帰は「時間の問題」トト・ウルフ代表認める
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

4件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村