クルマ好きといわれる人のなかには、実車のクルマ以外にもいろいろな趣味を楽しんでいる人がいます。例えば、二輪車、自転車、時計、カメラ、お酒、鉄道などなど。そのジャンルは人によってさまざまですが、共通するのは複数の趣味を同時並行することで生活を思いっきり楽しんでいること。今回は、趣味の守備範囲を広げることで、どれほど生活が楽しくなるかを考えてみます。
守備範囲を広げると楽しみの収入源が増える
趣味の守備範囲を広げることは、いわば本業と副業のような関係です。本業のクルマ趣味をメインに活動しながら、同時にほかの趣味も同時並行して、そこからも楽しみを得ようというのが狙いです。このメリットは、本業がうまくいかない場合でも、副業のほうが順調であれば、その分を補填できるということ。例えば、メインの趣味が実車ベースの場合、愛車が故障して動かなくなったり、修理に必要な部品の入手に時間がかかって長期入院になるような場合は、退院するまで趣味の活動ができないことになります。もし趣味を複数持っていれば、その間に別の趣味活動を行い、そちらで楽しみを見つけることができます。
また、副業的に楽しんでいた趣味が本業になることもあります。クルマいじりが大好きで、その延長線上でプラモデルや鉄道模型に手を出してみたら、そっちのほうにハマってしまったという例です。簡単なクルマの修理なら自分で行えるという人は、模型製作においても、これまで蓄積してきたノウハウを活かすことができるはず。新たな趣味に開眼することは楽しい体験のはずなので、大いに楽しむことをお勧めします。
お勧めの趣味カテゴリーを紹介
趣味のカテゴリーは本当に幅広いので、別にクルマに関係したものである必要はありません。むしろ、まったく関係がないものを楽しむことも気分転換としては良い効果があります。具体的な例として、ここでは筆者が行なっている趣味のサブカテゴリーを中心に紹介。それらの活動内容とそれぞれの魅力についてご紹介します。
1.ミニカー
筆者にとって、クルマに興味を持つきっかけとなったアイテムがミニカーであり、具体的にはトミカでした。物心がついたときから手元にあり、今でも毎月新製品を買いに行っています。半世紀ほど続いている趣味なので、台数はもはや数え切れません。おそらく千台は超えているのではないでしょうか。
最近のミニカーは、目を見張るような精密な製品が増えています。標準スケールといえる1/43と1/18スケールに加え、最近ではトミカの大きさに近い1/64スケール製品にも、驚くようなクオリティの製品があります。まずは自分の愛車のミニカーを探してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
2.カタログコレクション
実車のカタログが欲しいと思い始めたのは小学生の頃。当時は週末になると自転車で国産車ディーラーに通い、カタログを貰うのが楽しみでした。現在はディーラーにカタログを貰いに行く機会は減りましたが、気になるモデルのカタログは今でも貰っています。
クルマのカタログの魅力は、特に懐かしいモデルの場合はその時代背景がわかること。スズキのカルタス・タチバージョンやアルト麻美スペシャルのように、当時旬だったタレントが登場するカタログは見応えがあります。また、カタログ内に登場するモデルさんの髪型やメイク、ファッションをチェックしたり、当時の新技術に付けられたキャッチコピーを眺めるのも楽しいものです。
3.模型製作
筆者は小学生から高校生くらいにかけてプラモデル製作にハマっていました。部屋は常にシンナーの香りに満ちていて、母からすれば、息子がシンナー中毒になっているのではと心配したことでしょう。
プラモデルの塗装や工作に自信がないという人には、RCカーのキットがオススメ。説明書通りに組んでいけば誰でも組み上げることができるし、なんといっても完成後に走らせて遊べる楽しみがあります。模型製作にはものづくりの楽しみと感動があるので、手軽に取り組める塗装済みキットなどから始めてみるのもオススメです。
4.レース観戦
中学生の頃からモータースポーツの楽しさに目覚め、現在も2輪と4輪のレースを楽しみにしています。昔は地上波でいろいろな放送が行われていたので気軽に視聴できたものの、最近はCSの有料チャンネルを契約しないと観られない場合が多く、ハードルが上がってしまいました。でも、モータースポーツはやはり現地に観に行くことが一番。コロナ以前のようにサーキットでレース観戦をして盛り上がりたいものです。
5.カート、スロットカー
仲間と気軽にレースを楽しめる環境があるのはとても幸せなこと。特にレンタルカートのサーキットを貸し切って仲間とレースをするときの楽しさは格別です。また、より手軽にレースを楽しみたいという場合には、スロットカーという選択肢もあります。
スロットカーは、モーター付きのカーモデルを専用の周回コースで走らせて速さを競うもの。コースにはモーター駆動用の電気を集電する溝がレーンごとに設けられていて、スロットルのオン/オフ操作だけでマシンを操作するシンプルさが特徴。誰もが簡単に操作できる手軽さと、速さを極めるとチューニングに行き着く奥深さが存在します。
カートもスロットカーもサーキットが近くにないと難しいという要素はありますが、幸運にもそういう環境にある場合は、積極的に楽しみたいものです。
6.二輪車
現在活動休止中ですが、以前は2ストロークのレーサーレプリカに乗っていました。もはや2ストロークエンジン自体が絶滅危惧種になっていますが、パワーバンドに入ったときの弾けるような加速感が病みつきになり、一時はよく乗り回していたものです。
二輪車の魅力は、究極の人馬一体感が体験できること。操作に対してダイレクトに反応してくれる楽しさと直接風を感じて走る爽快感は格別で、クルマと並行して楽しむ趣味としてオススメです。
7.時計
クルマ好きと時計好きは、かなりの確率でリンクしています。どちらもこだわりの設計や独自のフィロソフィーを持ったブランドがあり、強く惹きつけられるものがあります。実際に時計メーカーと自動車メーカーがコラボした作品が数多く存在するほか、タグ・ホイヤーやショパールのようにモータースポーツと深く関わっているブランドも少なくありません。
高級腕時計のコレクションには資金力が必要なため、「クルマと時計」のように趣味を2つに絞ることがオススメです。とはいえ、スポーツカーが軽く買えるような値段の腕時計も多いので、実際には「クルマか時計」となってしまいがち。時計趣味を長く続けていくには、クルマの車検と時計のオーバーホール時期が重ならないようにするなどの対策も必要になります。
高級腕時計は一生モノなので、自分の好きな1本と長く付き合っていくような楽しみかたが理想的。筆者も昔から憧れていたパテックを1本だけ所有しています。
8.鉄道、バス
クルマ好きのなかには鉄道も好きという人が少なくありません。幼い頃にプラレールやNゲージなどの鉄道模型に触れたり、あるいは乗り鉄、撮り鉄などの経験があると、その後も鉄道に興味を持ち続ける場合があります。筆者の場合は小学生時代にブルートレインブームを経験したことがきっかけで、現在も国鉄型車両を中心に、乗り鉄、撮り鉄、そして鉄道模型方面で活動を行なっています。
鉄道趣味の派生系としてはバス趣味があります。こちらも乗る、撮る、ミニカー・模型が主なカテゴリーで、鉄道とバスの両方を趣味にしている人も少なくありません。身近な乗りものでありながら基本的に所有できないという憧れの存在であり、車両自体もバス会社によって仕様が細かく異なるため、研究対象として興味深いものがあります。
筆者の場合はバス会社ごとのカラーリングの違いに惹かれ、20代前半には熱心に写真撮影を行なっていました。現在もバス会社の特注トミカを中心にミニカーコレクションを続けています。
9.カメラ
撮影やカメラを趣味にしている人は少なくないでしょう。愛車をキレイに写したり、イベントで珍しいクルマを記録したりするものから、レース写真のような本格的なものまで、間口が広く、奥が深い世界です。
筆者の場合は、鉄道写真を撮るためにカメラ趣味を始めました。そのきっかけは、国鉄型車両がどんどん数を減らしていること。「今のうちに記録しなくては」という焦燥感に駆られて一眼レフを購入。以来、引退が決まった車両を中心に撮影を行なっています。
撮り鉄の醍醐味は、一期一会の緊張感があること。特にイベント系の列車は撮り直しがきかない一発勝負。1枚の写真を決めるためにいろいろな努力をして、それが報われたときの達成感は格別です。有名撮影地では中学生前後の若い撮り鉄さんと一緒に撮影をすることもあるので、現地で世代間交流をするのもひとつの楽しみだったりします。
10.ゲーム
ひとくちにゲームといっても、手軽なスマホゲームからオンラインゲーム、レトロゲームなど、いろいろなカテゴリーがあります。筆者の場合はPS4の「グランツーリスモSPORT」からファミコンの「F1レース」まで、主にレース系のゲームを中心にプレイしています。高校生時代にセガのアーケードゲーム「アウトラン」や「ハングオン」などにハマっていたので、今でもそれらのデラックス筐体があれば欲しいと思っています。レトロゲームのレストアを趣味にしている人もいるので、この世界も奥が深いです。
11.ミリタリー・サバゲー
エアガンを使ったサバゲー(サバイバルゲーム)で非日常を楽しんだり、軍払い下げ品などをファッションアイテムとして活用するのも一案です。筆者の場合は映画『ダーティハリー』の影響で44マグナムに憧れました。小学生時代にはモデルガンにハマり、大人になってからは海軍払い下げ品のPコートなどを着て楽しんでいました。
ちなみに写真はS&W M629 44マグナムのモデルガンで、奥がタナカ製の6 1/2インチ、手前がコクサイ製の6インチです。手前のコクサイ製品は、個人的に大好きなアメリカのコメディ刑事ドラマ『俺がハマーだ!』に登場する主人公の愛銃「マギー」を再現したもの。主人公のスレッジ・ハマー刑事が事あるごとにブッ放す愛銃「マギー」が突如として欲しくなり、数年前に勢い余ってモデルガンを購入。サードパーティ製のマギーグリップを装着して、自己満足に浸りました。
12.飲み会
クルマをきっかけに知り合った仲間と一緒に飲みにいくことは、決して珍しくありません。そして同じ趣味を持つ仲間との飲み会は、会社の飲み会とは比較にならない楽しさがあります。気がついたら終電の時間になっていたという場合も少なくないでしょう。
コロナによってリアル飲み会は難しい状況であっても、Zoomなどのアプリを使えば自宅でオンライン飲み会を楽しむことができます。自宅であれば手元にあるお宝品を見せ合ったりすることもできるので、クルマ好きにとってオンライン飲み会は十分楽しめるプラットフォームになるはずです。
13.オンナ
世の男性の中には夜な夜なキャバクラなどに通っている人もいますが、マニアックなクルマ好きで夜の街に繰り出す人は少数派といえます。なぜなら、マニアの金銭感覚は、夜のお店で散財するよりも、レアアイテムを買ったほうが幸せと考えるのが一般的だからです。
女性から見た場合、自分以外の複数の女性に分散投資するオトコと、趣味に散財する旦那さん&彼氏のどちらがマシでしょうか?ある意味、究極の選択といえそうです。もちろん、そのどちらにも当てはまらない男性が最適解なのは間違いありませんが。
14.旅行
乗りもの好きにとって、旅は欠かせない趣味といえます。海外旅行ならエアラインごとのサービスを比べたり、マイレージを貯めたり各地のラウンジに行ったりする楽しみがあります。そして船旅のロングクルーズでは、非日常の生活が楽しめます。どちらもコロナの影響で当分難しい状況ですが、以前のように自由に旅を楽しめる日が来ることを願いたいですね。
筆者のように乗りもの系全般を趣味にすると、移動手段のすべてが興味の対象になります。例えばバスに乗車して高速道路を走行しているときには、「何か面白いクルマは来ないかな」とずっと対向車線のクルマをチェックしています。サービスエリアに入った場合にも、周囲のクルマやバス、オートバイなどを細かくチェック。レアな車両を探して、休憩時間中に見に行きます。
乗りものに興味がない人に比べて、少なくとも100倍は旅を楽しんでいる自信があります。趣味の守備範囲が広いと、移動時間でさえ最上級のエンターテインメントに一変するのです。
15.ユーチューバー
クルマ系趣味の多くはピンで活動できますが、仲間が増えると楽しみも倍増します。そして同じ趣味を持つ人たちに向かって発信する立場になれば、今度はファンができます。そう、YouTube配信も楽しい趣味活動のひとつです。自分がこれまでインプットしてきたさまざまな経験や知識を、今度はユーチューバーとしてアウトプットしていくのです。
筆者も今年3月にYouTubeチャンネルを開設。先に紹介したような趣味活動を中心に、さまざまな動画を公開しています。ぜひご覧ください(チャンネル登録もよろしくお願いします!)。
■きたざわコレクション
https://www.youtube.com/channel/UCMYbYJhgSKdTU12OCNA7gGQ
ということで、主に個人的な趣味を中心に紹介しましたが、守備範囲が広いおかげで、良くも悪くも多くの趣味と細く長く付き合っています。そのため、特に飽きるということもありません。複数の趣味を同時並行することは、趣味を長く楽しむ秘訣なのではないでしょうか。
[ライター・画像/北沢剛司]
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