■ライズ人気は落ち着いた?
近年、国内のSUV市場ではコンパクトなサイズのモデルが人気を博しています。
なかでも、2019年11月5日にトヨタが発売した「ライズ」は2020年を通して販売上位を維持するなどスマッシュヒットとなっていますが、2021年1月の販売台数はやや落ち込み気味です。ライズ人気は落ち着いたのでしょうか。
完璧なSUV!? トヨタ「ヤリスクロス」 オーナーが感じる「良し悪し」とは
ライズは、ダイハツがトヨタ、ダイハツ両ブランドの商品展開を見据え、新世代に向けたクルマづくり「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」をコンパクトカーに取り入れた初の商品として登場。ダイハツからは「ロッキー」として販売されています。
近年の新車購入層は「SUVに乗りたい、荷物をたくさん積みたい、でも運転しやすいコンパクトなサイズがいい」といったニーズを持っているといいます。
そのニーズに応えるモデルとして登場したライズは、全長4m以下の5ナンバーサイズコンパクトSUVとなり、週末のレジャーから普段使いでも扱いやすく、さまざまなシーンで使えるモデルを目指して開発されました。
ライズの受注台数は、11月5日の発売から1か月にあたる12月4日時点で約3万2000台となる月販目標4100台の約8倍を記録。
トヨタは好評な部分として、「全長4m以下の5ナンバーサイズでありながら、SUVらしい力強いスタイル」、「クラストップレベルの広々とした荷室、室内空間と多彩なユーティリティ収納スペース」、「スマートパノラマパーキングアシスト(駐車支援システム)を含む最新の『スマートアシスト』による安全技術」という3つを挙げています。
実際の登録台数では11月に4位7484台、12月に2位9117台となり2020年の年間では2位の12万6038台を記録しました(1月、2月、6月は全体1位)。
ライズの販売動向について、首都圏のトヨタ系販売店は次のように説明しています。
「ライズは扱いやすいサイズ感と100万円台の価格帯という部分で若年層から年配層まで幅広いお客さまから支持されています。
また、先日は昨今のキャンプブームやコロナ禍ということもあり、子供が成人された年配夫婦がキャンプなどに行くためにと、アリオンから乗り換えられていました。
このように、運転に慣れていない若年層やセダンからの乗り換える年配層が多いのがライズの特徴かもしれません」
また、発売初期では「Zグレード」が7割、「Gグレード」が2割となり、中級グレード以上が好まれていましたが、前述の販売店によると現在も同様の傾向が強いといいます。
※ ※ ※
このように、2020年は年間を通して好調だったライズですが、2021年1月では7位6985台(前年比68.3%)と急激に落ち込んでおり、前月となる2020年12月では2位8912台(前年比97.8)と比べるとその差は大きいです。
なぜ、突如としてライズの登録販売台数が落ち込んできたのでしょうか。
■ライズのライバルは同じトヨタ? 今後はホンダからも強敵登場?
2020年はライズ人気が続いていたなかで、2021年1月は突如として順位かつ販売台数を落とした要因とは、どのようなものなのでしょうか。
落ち込んだ要因について、関西圏のトヨタ系販売会社の担当者は次のように話します。
「ライズは全長4m以下のコンパクトなSUVというのがウリのモデルですが、2020年8月31日には同等サイズのヤリスクロスが登場しました。
若干ヤリスクロスのほうが大きいことや、荷室の使い勝手、ハイブリッド車の設定があるため燃費性能が良いなどライズよりもアピールポイントが多いです。
そのうえ、価格帯も同等の100万円台後半からと似ていることなども影響して、ライズからヤリスクロスへと徐々にお客さまは流れている傾向はあります」
コンパクトSUV「ヤリスクロス」は、2020年2月に登場したコンパクトカー「ヤリス」と同じTNGA(GA-B)プラットフォームを用いた新型モデルです。
トヨタによると、「ヤリスクロスはヤリスシリーズならではの『軽快な走り』『先進の安全・安心技術』『低燃費』を受け継ぎつつ、これからの新しい時代に求められる利便性にとどまらないコンパクトSUVの新たな価値を追求することを目指し開発を進めました」と説明しています。
また走行性能においては、街乗りからレジャーまで幅広く活躍する4WDシステムも採用。
ガソリン車には、路面状況に応じた走行支援を、3つのモードから選択できるマルチテレインセレクトなど、SUVの走りを堪能できる機能を搭載。
ハイブリッド車には、E-Four(電気式4WDシステム)を設定しています。さらに、ハイブリッド車は、SUVの常識を超えたクラス世界トップレベルの低燃費(2WDでWLTCモード燃費30.8km/L)も実現するなど、さまざまな部分で魅力が詰まったモデルです。
しかし、あまりにも人気がありすぎるため2021年2月時点の納車予定時期はガソリン車が4か月以上、ハイブリッド車で6か月以上となるなど、現在でも勢いが止まりません。
そのため、2020年年末から2021年年明けにかけての登録台数がライズの1月と重なったことも落ち込んだ要因のひとつといえそうです。
また、首都圏のトヨタ系販売会社の担当者は次のように説明しています。
「最近では、2020年9月のマイナーチェンジでルーミー/タンクが一本化されたことで、ルーミーとしての販売台数は大きく伸びました。
コンパクトなサイズながら室内空間の広さとスライドドアの使い勝手の良さが継続して評価されています。
そのほか、ライズは人気のコンパクトSUVですが、日常で使うならルーミーが良いという声も聞きます。
ライズは同じブランド内でヤリス、ヤリスクロス、ルーミー、シエンタといった他ジャンルとも比較されますので、そういう意味ではライズを好まれていたお客さまにひと通り行き渡った感じはあるかもしれません」
※ ※ ※
2020年にもっとも売れたSUVのライズですが、同じトヨタ内のライバル以外にもホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」が2021年2月18日にワールドプレミアされます。
日本での正式発表・発売は春頃といわれていますが、現行ヴェゼルはかつての4度のSUVNo.1に輝いた実績を持っていることから、新型ヴェゼルの登場によってライズの動向にも影響がありそうです。
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