現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 生真面目なポルシェ カイエン GTSと官能性を極めたマセラティ レヴァンテ S。最新スーパーSUVの選び方を探る

ここから本文です

生真面目なポルシェ カイエン GTSと官能性を極めたマセラティ レヴァンテ S。最新スーパーSUVの選び方を探る

掲載 更新 5
生真面目なポルシェ カイエン GTSと官能性を極めたマセラティ レヴァンテ S。最新スーパーSUVの選び方を探る

Porsche Cayenne GTS × Maserati Levante S

ポルシェ カイエン GTS × マセラティ レヴァンテ S

ケータハム セブン スプリント、英国で生まれ日本の心臓を得たユニークな「自動車界の奇跡」 【Playback GENROQ 2017】

雅やかなライバル

ポルシェ カイエンとマセラティ レヴァンテ。ともにスーパーSUVを標榜するライバル関係にある2モデルだ。新たに導入されたカイエン GTSに挑むのはレヴァンテ S。ドイツメーカーとイタリアメーカーのバトルの結果はいかに。

両車とも生半可な高級SUVではない。スポーツカーメーカーが造った逸品だ

スポーツカーブランドがクロスオーバーSUVを造る。20世紀には考えもしなかったことが21世紀のスタンダードになりつつある。この新しい価値観を提唱したのはポルシェだった。彼らが2002年に世に問うたカイエンが常識を覆したのだ。

当のポルシェはカイエンをSUVとは呼ばず、新しいスタイルのスポーツカーと呼んでいる。そんな前例に倣えば、レヴァンテもまた、一貫してマセラティが追求してきたGTスポーツカーの末裔なのだということができる。

ポルシェ対マセラティといえば往年のタルガフローリオのようなレースを想像する人もいるだろう。だが今どきのカードはカイエンとレヴァンテによるクロスオーバーSUV対決ということになる。

ちょっとしたSUVの未来を見ているようなカイエンの佇まい

18年にデビューした3代目のポルシェ カイエン。そのラインナップに昨年加わったグレードが4.0リッターV8エンジンを搭載したGTSだ。このカイエン GTSの対抗馬として用意したモデルは3.0リッターV6エンジン搭載のマセラティ レヴァンテ Sである。

レヴァンテにもV8エンジン搭載のGTSというグレードが存在しているが、今回は試乗可能な個体が見つからなかった。だが4.0リッターツインターボで460psを提示するポルシェと、3.0リッターツインターボから430psを絞り出すマセラティという構図は、各々のブランドフィロソフィーを反映しているとは言えないだろうか? 今回の2台は、個人的にはガチンコ対決に思えたのである。

アルピナの3シリーズを試乗する時はいつも「自分は今セダンの規範をドライブしているんだ」といった改まった気持ちになる。3代目カイエンの試乗もそれに似ていて、ちょっとしたSUVの未来を見ているような気にさせられる。

カイエン GTSは、いつもと同じようにどこにも弱点のない塊としてあった

今回最初にステアリングを握ったカイエン GTSは、いつもと同じようにどこにも弱点のない塊としてあった。街中をゆっくりと走らせても、首都高でペースを上げても、車体全体のぶ厚さだけがひしひしと伝わってくる。そこにあるのはエンジンの吹け上がりとかダンピングの落ち着きといった各々のギミックではなく、ひとつの生命体のような一体感だ。

カイエン GTSは走りに振ったグレードではあるが、今回の個体はそれに輪をかけてドライブコンシャスなスペックを与えられていた。80km/hで位相が切り替わるリヤアクスルステアリングやロールを制御するポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)、3チャンバーのエアサスを含むポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)という走りに効くオプションが装備されていたのである。

パワートレインの選択肢としてはさらなる上級グレードが控えているカイエンだが、ことシャシー性能に関してはオプションを追加したGTSでも「偉大なる到達点」と言えるはずだ。実際の試乗でも、クロスオーバーSUVらしい視界の良さはそのままに、スーパースポーツのように路面を掴んで離さない走りにクラスレスの印象を抱いた。

期待値をはるかに上回るクロスオーバーSUV、レヴァンテ S

レヴァンテに乗るのは久しぶりだった。デビューしたての頃にベーシックグレードに乗り、その後は18年に追加された最強モデル、トロフェオに数回試乗している。

初期モデルはシャシーの煮詰めが甘い感じがして、AWDシステムの捌きにもちぐはぐなところが散見された。このためフェラーリ謹製のF160エンジンの気持ちよさに触れる領域まで到達できなかった記憶がある。

一方のレヴァンテ トロフェオは、ハイオクガスよりもはるかに過激な液体が爆ぜているようなフェラーリV8ユニットの個性がクルマ全体の印象を覆っていた感があり、シャシー側の記憶がない。

今回はどうか? これが期待値をはるかに上回るクロスオーバーSUVだったのである。印象の8割を支配するのはやはりエンジンだった。回せば回すほど音色が高く澄んでいき、7000rpmのレブリミットに当てた瞬間にサチュレートする。「官能的なクロスオーバーSUV」という表現があるとすれば、それはレヴァンテのためのものだ。

「レヴァンテ Sはちょうどいい塩梅。乗り心地とスポーツ性能を両立させている」

しかもレヴァンテ Sはちょうどいい塩梅なのだ。というのも、V6ターボエンジンの刺激はトロフェオのそれよりも2気筒分ほど控えめなのだが、その穴を埋めるように年次改良が進んだシャシーが主張する。スロットルと後輪が直結しているような感覚で、ステアリングフィールもすっきりとしている。またストローク感が豊かで路面とのタッチがしっとりしているエアサスが、乗り心地とスポーツ性能を両立させている。

黄色いボディカラーがよく似合い、丸みを帯びたインテリアの意匠も艶めかしいレヴァンテ S。それと比べると、カイエン GTSは生真面目で男性的で少しも笑わない衛兵のように思えてくる。堅実なファミリーカーとして買うのであれば損はないが、クルマ好きの琴線に触れるようなチャームもあまり多くないのである。

王道を行くカイエン GTSとドライバーを夢中にさせるレヴァンテ S

今回は都心での試乗だったが、レヴァンテ Sはぜひともワインディングで吠えさせたい1台だと感じた。一方カイエン GTSで遊び尽くそうと思うなら、サーキットに持ち込んで真剣にラップライムを追求する方が手っ取り早い。何しろシャシーに余裕があり過ぎて、ハンパなスピードでは無表情なままなのである。

王道を行くカイエン GTSとドライバーを夢中にさせるレヴァンテ S。スポーツカーブランドの本気がSUVシーンを熱くしているのだ。

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/田村 翔(Sho TAMURA)

掲載誌/GENROQ 2021年 6月号

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ カイエン GTS

ボディサイズ:全長4929 全幅1983 全高1676mm
ホイールベース:2895mm
車両重量:2145kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:338kW(460ps)/6000-6500rpm
最大トルク:620Nm(63.2kgm)/1800-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前285/40ZR21 後315/35ZR21
燃料消費率:15.3~14.7L/100km
車両本体価格:1682万円

マセラティ レヴァンテ S

ボディサイズ:全長5000 全幅1985 全高1680mm
ホイールベース:3005mm
車両重量:2109kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2979cc
最高出力:316kW(430ps)/5750rpm
最大トルク:580Nm(54.0kgm)/2000-4750rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前265/50ZR19 後295/45ZR19
燃料消費率:11.8~12.2L/100km
車両本体価格:1360万円

【問い合わせ】
ポルシェ コンタクト
TEL 0120-846-911

マセラティコールセンター
TEL 0120-965-120

こんな記事も読まれています

日産“新型”「高級ノート」初公開! 迫力顔&上質内装の「小さな高級車」! オシャグリーンも超カッコイイ「オーラ」に販売店でも反響集まる
日産“新型”「高級ノート」初公開! 迫力顔&上質内装の「小さな高級車」! オシャグリーンも超カッコイイ「オーラ」に販売店でも反響集まる
くるまのニュース
知っていると自慢できるカーエアコンの上手な使い方
知っていると自慢できるカーエアコンの上手な使い方
ベストカーWeb
往年のライトウエイト・スポーツらしさを再現したマツダ MX-5 ミアータ[driver 1989年3-20号より]
往年のライトウエイト・スポーツらしさを再現したマツダ MX-5 ミアータ[driver 1989年3-20号より]
driver@web
マクラーレン代表、フェルスタッペン&ノリス接触の原因は“3年前”にあると指摘「マックスを厳しく罰して来なかったから」
マクラーレン代表、フェルスタッペン&ノリス接触の原因は“3年前”にあると指摘「マックスを厳しく罰して来なかったから」
motorsport.com 日本版
ポーランド過去最大のポルシェ・パーティー! 200台超の空冷ポルシェと3,500人のファンがルフトカルトに集結
ポーランド過去最大のポルシェ・パーティー! 200台超の空冷ポルシェと3,500人のファンがルフトカルトに集結
LE VOLANT CARSMEET WEB
型式指定認証不正で新車販売現場は混乱する……と思ったらそうでもない! コロナ禍以降の「長納期慣れ」で消費者は意外にも冷静だった
型式指定認証不正で新車販売現場は混乱する……と思ったらそうでもない! コロナ禍以降の「長納期慣れ」で消費者は意外にも冷静だった
WEB CARTOP
なんならクルマを買ってから1度も見てないなんて人も! 使ってなくてもスペアタイヤは「交換」する必要あり
なんならクルマを買ってから1度も見てないなんて人も! 使ってなくてもスペアタイヤは「交換」する必要あり
WEB CARTOP
フェラーリの新型ハイパーカー出現! モコモコ膨らむ偽装の下にあるのは「なめらかボディ」?
フェラーリの新型ハイパーカー出現! モコモコ膨らむ偽装の下にあるのは「なめらかボディ」?
レスポンス
ポルシェ、80歳を迎えた伝説の元ワークスドライバー、ルディ・リンスを祝福!
ポルシェ、80歳を迎えた伝説の元ワークスドライバー、ルディ・リンスを祝福!
LE VOLANT CARSMEET WEB
小松礼雄代表率いるハースF1、レッドブルのペレスを抑えるなど大量12ポイント獲得「抑え込める自信はなかったけど、戦う価値はあった」
小松礼雄代表率いるハースF1、レッドブルのペレスを抑えるなど大量12ポイント獲得「抑え込める自信はなかったけど、戦う価値はあった」
motorsport.com 日本版
【ロングセラーモデルが新型に】 ホンダ・フリード 「エアー」/「クロスター」 福祉車両も同時発表
【ロングセラーモデルが新型に】 ホンダ・フリード 「エアー」/「クロスター」 福祉車両も同時発表
AUTOCAR JAPAN
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、ノリスとの接触は”攻撃的すぎたわけじゃない”と釈明「ブレーキング中に動いたわけじゃない。だって……」
フェルスタッペン、ノリスとの接触は”攻撃的すぎたわけじゃない”と釈明「ブレーキング中に動いたわけじゃない。だって……」
motorsport.com 日本版
現代における「世界一価値の高いファミリーカー」を追求した新型ホンダ・フリードが発売
現代における「世界一価値の高いファミリーカー」を追求した新型ホンダ・フリードが発売
カー・アンド・ドライバー
レッドブルF1重鎮、フェルスタッペンとノリスのトップ2激突は「完全に不必要」チーム自ら招いたピンチとも示唆
レッドブルF1重鎮、フェルスタッペンとノリスのトップ2激突は「完全に不必要」チーム自ら招いたピンチとも示唆
motorsport.com 日本版
“昼の高速バス”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
“昼の高速バス”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
Merkmal
”接触エンド”は回避できたかも? レッドブルF1、ノリスへのペナルティ付与の可能性をフェルスタッペンに伝えず「我々にも落ち度がある」
”接触エンド”は回避できたかも? レッドブルF1、ノリスへのペナルティ付与の可能性をフェルスタッペンに伝えず「我々にも落ち度がある」
motorsport.com 日本版
新東名の開通遅れの原因「最難関トンネル」どこまで進んだ? 「見るからにヤバイ山」 準備中の巻き返し策とは?
新東名の開通遅れの原因「最難関トンネル」どこまで進んだ? 「見るからにヤバイ山」 準備中の巻き返し策とは?
乗りものニュース

みんなのコメント

5件
  • マセラティ レヴァンテ S 以前乗っていたけど、お金に余裕あるなら、V8 購入を進める。 V6なら初期型は進めない。 今現在は、カイエンクーペ に 乗ってる。
  • おやおや、環境に悪そうな車ですねぇ
    そんな馬力どこで使うんですかぁ
    暴走して事故しないか心配です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1198.01561.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.01948.0万円

中古車を検索
カイエンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1198.01561.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.01948.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村