2023年4月22日、トヨタは5人乗りSUV電気自動車「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」のソフトウェア・アップデートを発表した。販売が開始されてちょうど1年が経ち市場からのフィードバックを受けて、今回実施されることになった。これは、すでに納車されているものを含むすべての車両に適用される。
bZ4Xはサブスクリプションサービス「KINTO」専用のBEV
bZ4Xとは、トヨタが2022年5月12日に発売した5人乗りの100%電気自動車(BEV)である。ボディサイズは全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mm。同社のハリアーやRAV4と同じミドルサイズで、日本の道路環境に適している。トヨタではこのbZ4Xを皮切りに今後、2030年までに30車種のBEVをリリースすると発表している。
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bZ4XはそのbZシリーズ第1弾であり、トヨタがスバルと共同開発して作ったBEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を初採用したモデルだ。スバルでは「ソルテラ」の名で兄弟車を販売している。ちなみにこのbZ4Xは、国内の個人向けにはトヨタのサブスクリプションサービス「KINTO」専用車であり、グレードはZのみ。車両価格は600万円(FWD)と650万円(4WD)である。
bZ4Xは世に出てちょうど1年が経ち、トヨタは市場からのフィードバックを反映させるソフトウェアのアップデートを実施する。今後納車される車両はもちろんのこと、すでに納車が完了している車両も含めて無償で実施することになった。また、このアップデートはスバル ソルテラにも展開を予定している。
改良点は主に「急速充電の性能改善」、「航続距離表示の改善」、「バッテリーの%表示」の3点だ。
ユーザーからの声を反映させたアップデート
・急速充電に関する性能の改善
BEVで長距離を一度に運転するときは、途中で急速充電を利用する必要がある。しかし、これまでのbZ4Xはバッテリー保護の観点から1日あたりの急速充電の利用回数が2回程度に制限されていた。そのためbZ4Xを利用して1日で長距離運転をする際には、その制限回数で走行可能な距離以上を移動することができなかったのだ。
今回の改良では、この利用制限の回数を約2倍に変更する。これは、主に長距離移動をすることが多い欧州でbZ4Xを利用しているユーザーの声に応えたものである。
加えてこのソフトウェアのアップデートでは、バッテリーの残量が80%以上の状態から急速充電で満充電までかかる時間が約20~30分ほど短縮される。もちろん外気温によって時間は左右されるが、急速充電を使って充電を満タンにする場面ではこの性能変更は恩恵を受けることだろう。
・メーター上の航続距離の改善
BEVに乗るとメーターに表示される航続可能距離が常に気になる人もいるだろう。そのためbZ4Xでは、メーター上で航続可能距離が0kmと表示されてからも次の充電場所が見つかるまで走行できるように、メーターには表示されない航続可能距離のゆとりが設定されている。他社のBEVもトヨタ同様に設定されているものだが、bZ4Xの場合はその「見えない」航続可能距離が、他社のBEVと比べてもかなり長めに設定されていた。
今回の改良では、この「見えない」航続可能距離を他社と同程度とし、その分メーター表示上での航続可能距離が増えることになる。ただし注意しなくてはならないのが、この改良は「見える」航続可能距離表示が増えるだけで、実際のカタログ上の航続可能距離が増えるというわけではない。やはりBEVに乗るときは、充電残量に余裕を持って移動することが心理的な安定感を生むことは間違いないだろう。
加えてエアコン使用時の航続可能距離の表示を、実態に合わせたものに変更する。これまではエアコンをオンにすると、実際に走ることができる距離よりも短めに表示されていた。これを今回の改良では、より現実的な数値を表示するという。
・バッテリー残量の%表示
スマートフォンと同様に、BEVのバッテリー残量も航続可能距離や目盛りではなく%表示で見たい。そうした市場から出てきた声に応える形で、今回の改良では充電残量を%表示することができるようになる。km表示と同時に%表示ができる点も嬉しい。またこれは走行中に限ったことではなく、充電中も%で確認できる。
今回のアップデートはディーラーへ持ち込む必要がある
この改良は、すでに納車されている車両を含むすべての車種に適用される。では、このアップデートはどのようにして行われるのだろうか。
作業はすべて、ディーラーにおいて無償で行われる。そのため、すでに納車されているユーザーは、近くのトヨタ・ディーラーへ持ち込む必要がある。この点、ボルボやテスラのようにOTA(Over The Air)で各車両のディスプレイ上でアップデートできないことが悔やまれる。このあたりは今後に期待したい。
加えて今回のアップデートは、兄弟車であるスバル ソルテラにも同様に適用される予定である。スバルのアップデート方法や実施スケジュールなどの詳細は今後の発表を待ちたい。
トヨタの広報担当者によると、今回のようなソフトウェアに関するアップデートは今後も市場の声によって行っていくという。実際のユーザーの声が、モデルチェンジを待つことなく直接ユーザーに還元されるこのような改良は、非常に歓迎されるべきことだ。今後ユーザーからのフィードバックは、より作り手へ届きやすくなっていくことだろう。
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