内外装フルコーデされたドレスアップカーの極みといえる1台
乗用車タイプからトラック、ノーマルからカスタマイズカーまでバラエティ豊かな車種が、岡山国際サーキット臨時駐車場を彩った2022年のKING OF K-CAR MEETING。全国各地から集結した280台のなかから、これまで厳選した参加車両を紹介してきたが、最後に「これぞドレスアップカーの極み」というマシンをピックアップしよう。
純白の室内が眩しい! ポップなカスタムを極めたムーブキャンバスに拍手【KING OF K-CAR MEETING】
「雑誌の表紙を飾りたい!」それがカスタマイズの原動力
取材班が選んだのは、徳島県からやってきたNさんの3代目のワゴンRスティングレー(以下スティングレー。ワゴンRとしては5代目)。「雑誌の表紙を飾りたい」というのがカスタマイズの原動力で、すでにドレスアップカーコンテストでは上位となり、雑誌デビューはもちろん、念願だった表紙も飾るなど本気で取り組んだ上級コーデマシンだ。
機動戦士ガンダムのモビルアーマー「ザクレロ」をイメージさせるような開口部を持つ大胆なフロントバンパーは、バタフライシステムのスティングレー用とSADカスタムジャパンのハイエース用を短縮加工したニコイチ。その中央部には大型インタークーラーをセットし、独特のパイピングレイアウトでフェイスにさらなるインパクトを加えている。軽自動車には大きすぎるサイズのため、ダミーですか? とNさんに問うと「効果はともかく活かしています」との返事。
フロント60mm&リヤ100mm拡大で限界インセットの9Jをインストール
マフラーも、フロントのイメージに合わせた取り回しで魅せるワンオフデザインだ。まずバタフライシステムのバンパー中央を大きくカットし、前からきたパイプを左右に振り分けて両側にサイレンサーをマウント。エンド部は大口径の4本出しで、中央部下にはワンオフのアンダーディフューザー&バックフォグを組み、スポーティさとボリューム感を上手にミックスさせている。
迫力ある前後バンパーデザインに合わせて、左右にグッと張り出したフェンダーはフロント60mm、リヤ100mm拡大し、フロント8J、リヤ9Jのスーパースター・ライゼをインストールする。センターフェイスがカッパークリアで、深さのあるリムはアウターがブラッシュド(ブラシ掛けしたような流れるような研磨痕を付ける加工)、インナーがブラックと細かくカラーを指定。カスタム上級者ならではこだわりを満載している。
ハイライトはラゲッジ内のエアロ風味なオーディオボックス
見せ技満載のエクステリア以上に力が入っているのが、オレンジとブラックカラーをベースにフルコーディネイトしたインテリア。ダッシュボード/ドア/天井などはすべてアルカンターラで張り替えており、とくにフロントドアはアクリルとLEDを駆使したイルミネーションで煌びやかさを演出する処理は、まさにショーアップカーという印象だ。ドアを開けっぱなしでも様になる。
フロントに2脚装着された本革のレカロシートはフェラーリF430もモチーフにデザイン。中央部から左右に降ろすようなステッチはまさにそれで、フェラーリオーナーが見てもうらやむ上質感溢れる仕上がりだ。
このクルマのハイライトとなるのが、リヤシート&ラゲッジの高さと奥行きを埋め尽くす、インパクトのあるエアロ風味なオーディオボックスだ。箱型のボックス形状でサブウーハー/トゥイーター/コアキシャルなどを重ねていくのが一般的である。だが、Nさんはイベントで目立つためにサウンドだけでなく、デザイン性にもこだわり「立体的なデザインにしてほしい」と、香川県のピットハウスコスギにオーダー。完成したのがこれまでの常識を覆す、このスポーティなボックスというわけだ。
カスタムの情熱なくして雑誌掲載やイベント上位は成らず!
特徴的なのは、ラゲッジ上部の左右に2本ずつ振り分けられた筒形のトゥイーター。やや外側を向くようにマウントされたデザインは、マフラーとの連動性を感じさせ、Vの字にデザインされたラックはリヤウイングを彷彿とさせる。リヤハッチからだけでなく、運転席側から見たときのビジュアルも考えられており、全方位手抜きなし。迫力あるエクステリアの雰囲気と見事に調和させたそのセンスに脱帽である。
また、4本出しのトゥイーターの中央にあるホルダーにiPad miniをビルトインして、音源の再生コントロール。さらにリヤハッチにプロセッサーを組み込むことで、リヤゲートにいながら操作できるイベント仕様ならではのシステム環境も整えている。
そのほか、内外装ともに詳細を書ききれないほど手が入っており、手数ではなくクオリティまでとことん追求したスティングレー。その総額は800万円オーバーというから、やはり雑誌の表紙を飾ったり、イベントで上位に入ることはカスタムへの情熱なくして成し遂げられないし、始めないとその楽しさも分からないというわけだ。「ビジュアルもサウンドもやりつくした感があり、次のリメイクに踏み出せないのが悩み」と語るNさん。次なる作品にも期待したい!
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