新車を買うのにディーラーで試乗をしない、というケースは限定車など試乗車がない場合を除いてあまりないだろう。
ただ、いざ試乗といっても気分は舞い上がっているし、欲しいクルマなら欠点を見つけるのは至難の業だ。
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そこで年間何台も試乗しているジャーナリストは、いかにして試乗をしているのか聞いてみました。高い買い物で損をしないために、いかに試乗をすべきでしょうか?
文:国沢光宏/写真:Adobe Stock
ベストカー2018年9月10日号
■どうしても我慢できない部分は徹底的にチェック
多くの人にとって「自動車」は失敗したからと簡単に買い換えるワケにもいかない。私のように試乗もしないで買う変わり者もいるだろうが、皆さん購入前にディーラーなどで試乗することだろう。
しかし! 短い試乗時間で欠点を見つけることなど難しい。基本的には「欲しい」と思っているため、大雑把になりがち。
買った後で「気にくわない」が出てこないようにするのはどうしたらいいか? 最近「なるほど~」と思ったのは新型ジムニーのギア鳴り音。
旧来から使っているチェーン式副変速機、走り出すと「にゃ~ん」という音を出す。先代も出ているのだけれど、静粛性増した新型に乗ると案外大きく聞こえる。
しかしオーディオかけたらわからなくなってしまう程度だ。
タイヤをデコボコしたヤツに交換した新型ジムニーに乗ったらまったく聞こえない。でも知人は「新型ジムニーを買おうと思ったけれどあの音がどうしても許せないので止めた」という。
この気持ち、理解できる。かくいう私も、金属と金属がこすれる音を超苦手としてます。クルマの場合、内装材のスレる音やアクセル踏んだ時のチリチリ鳴るノッキング音はガマンできない。
はたまた、アクセル踏んだ時の「ぼ~」という吸気系のコモり音もまったくアカン。恥ずかしながら「見ず転(実車すら見ないでという意味)」で買ったクルマの半分くらいが、辛抱できなくなり短い期間で手放している。
一番イヤだったビートなんか半年も乗ってない。同じクルマを楽しく乗っている人も多くいるから、私の感覚が極端なんだと思う。
またその時の気分によっても違う。普段なら郵便物をポストに入れた時にすぐその場を立ち去れるけれど、大切な手紙だと「キチンと下に落ちたかな?」と疑い、何度か受け口を揺らしてみたりするのと同じだ。
どんな音質がダメなのか、はたまたどんな使い勝手だと辛抱できないのか、自分のクセを知っておく必要あります。そのうえで、試乗した時に、充分注意してチェックすることをすすめたい。
■試乗記事ではそのクルマの弱点をしっかり見ること
ここからが本題。試乗前に雑誌やウェブなどの試乗レポートを見ることもあるだろう。
しかし最近新車の試乗レポートを見ても、基本的によいブブンしか紹介しない傾向。もちろん魅力を引き出すことは大切だ。
されどそいつぁカタログや宣伝のお仕事だと思う。試乗レポートって魅力を伝えながら、キッチリと弱点や難点を指摘しなくちゃならんと考えます。
例えばN-VANは楽しいクルマだけれど、助手席の居住性と、リアシートの追突された時の安全性についちゃ非常に厳しい。
新型ジムニーの変速機からの音もしかり。そいつを伝えられるか、です。
当然ながら書き手の感性による差は大きい。私の場合、インテリアはあまり気にならないが、エクステリアデザインにゃ拘る。
クルマ全体の挙動も、気になる点あればキッチリ紹介しているつもりだ。弱点を書いている書き手の記事を数本読むことで、大雑把な課題が見えてくる。
そいつを試乗時にチェックすればOK。引っかかったらジックリ時間をかけ吟味することです。
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