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マセラティ レヴァンテ、フェラーリ製V8ツインターボを得てスーパーSUVの覇権に挑む! 【Playback GENROQ 2019】

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マセラティ レヴァンテ、フェラーリ製V8ツインターボを得てスーパーSUVの覇権に挑む! 【Playback GENROQ 2019】

Maserati Levante Trofeo & GTS

マセラティ レヴァンテ トロフェオ & GTS

「黙って俺についてこい」──クルマがそう言っている。メルセデスGクラス&ジープ ラングラーの到達点【Playback GENROQ 2019】

史上最強のトライデント

マセラティ初のSUVとして人気を集めているレヴァンテに、ついにV8エンジンが搭載された。フェラーリ製の3.8リッターV8ツインターボを積むトロフェオは590ps、最高速度はなんと304km/hに達する。もはやマセラティ史上でも最強の1台といっても過言ではない。

「マセラティのV8エンジン史上最高峰のパワーというプレミアム」

マセラティというブランドを冠しながら、レヴァンテに今までV6エンジンしか搭載されていなかったことは、よく考えれば不思議な話だ。プレミアムブランドからSUVが登場するのはもはやお約束だが、そのいずれもが驚くほどのパワーと速さを持つグレードをラインナップしている。それを考えると430ps、580Nmが最高峰であったレヴァンテには、少々物足りなさを感じていたファンも多かったことだろう。

しかし、もうそんな思いをすることはない。ついにレヴァンテにV8エンジンが搭載されることになったのだ。しかもマセラティのV8エンジン史上最高峰のパワーというプレミアムをつけて。搭載されるのはクアトロポルテ GTSに採用されている3.8リッターV8ツインターボだが、初めてAWD化されるにあたり新型クランクケースやクランクシャフトアセンブリーの改良、さらにはクランクシャフトのバランス取りも施されている。これらの改良はフェラーリと共同で行われ、生産も従来通りマラネッロで行われる。

「レヴァンテは一気にSUVスピードレースのトップグループに躍り出た」

結果としてトップグレード「トロフェオ」のパワーは590ps、734Nm、トップスピードは実に304km/hという速さを実現した。SUVで公称300km/hをオーバーするのは他にランボルギーニ・ウルスとベントレー・ベンテイガのみ。レヴァンテは一気にSUVスピードレースのトップグループに躍り出たことになる。何しろこのパワーはクアトロポルテGTSを60ps、20‌Nmも上回るもの。フラッグシップサルーンを抜いてしまっていいの? と思わなくもないが、いいのだろう。何しろ今やレヴァンテはマセラティの稼ぎ頭なのだから。

V8エンジンを搭載するグレードにはもうひとつ「GTS」があり、こちらは550ps、733Nmをマークする。これでレヴァンテはディーゼルも含めて5種類のエンジン・ラインナップを持つようになったわけだ。

「もはやそのままサーキットを攻められるSUVと言ってもいいだろう」

トロフェオに搭載されるドライビングモードには、新たにCorsa(コルサ)モードを用意。アクセルレスポンスが敏感になり、ギヤチェンジの速度が上がり、また車高が下がって減衰力が硬めになるなど、より走りを楽しむためのセッティングとなる。またローンチ・コントロールも備わるなど、もはやそのままサーキットを攻められるSUVと言ってもいいだろう。

と言ってもトロフェオのエクステリアには派手なアピールポイントがあるわけではない。カーボン製のフロント・ロアスプリッターやサイドスカートなどが与えられているが、基本的な形状はレヴァンテSとあまり変わらないので、一瞥しただけで気づく人は少ないかもしれない。最もわかりやすいのはヘッドライトだ。マネッティ・マレリと共同開発したフルマトリクスLEDヘッドライトは、ハイビームのままでも対向車を4台まで照らさない影を作り出せるという最新のシステム。ユニットの中にスクエアな発光体を収めたこのヘッドライトは、他のグレードとはまた異なるシャープな表情をトロフェオに与えている。

「艶やかな感触はさすがマラネッロ生まれ。SUVでこれを楽しめるのは幸せだ」

エンジンを始動すると、トロフェオは意外なほど静かに目覚めた。紳士的な振る舞いに590psということを忘れてしまいそうになりながら走り出すと、エンジンは低回転から実にスムーズで扱いやすい。8速ATのつながりも実にジェントルで、渋滞する街中もまったく苦にならない。足まわりはやや路面のギャップを正直に伝えてくるところがあるが、試乗車が22インチという大径タイヤであることを考えれば、十分に及第点だ。

それよりも、トロフェオの真骨頂はやはり山道のワインディングロードに入ってからだった。エンジンはモーターのようにストレスなく高回転まで回り、際限がないのかと思えるほどのパワーとトルクで2.3トンのボディを引っ張る。恐ろしい速さだ。回転が上がって行く時の艶やかな感触とパワーの盛り上がり、そして官能的なサウンドはさすがマラネッロ生まれ。パワーやトルクなどの数字以上に、このフィーリングの方が魅力的だ。SUVでこんなエンジンが楽しめるなんて、幸せとしか言いようがない。

AWDは通常はFRで、必要に応じて50対50までトルクを配分するシステムだが、メーターの表示を見ると完全にFRになるのはストレートでアクセルを抜き気味にした時のみ。それ以外は常に若干のトルクがフロントに回されていて、普通にコーナーを曲がるだけでも10~30%ほどのトルクがフロントに配分されている。車高が高い重量級のボディでありながら、安心してステアリングを握っていられるのは、この繊細なトルク配分の恩恵もありそうだ。とにかく、多少のオーバースピードでも軽くアクセルを踏んでやるだけでグイグイと曲がっていくのには驚くばかり。質感の高い金属製パドルを駆使して積極的にシフトチェンジをしながら走ると、まるでスポーツカーで走り回っているかのような気分になる。

「GTSのパワー感はトロフェオに一歩讓るが、そのパフォーマンスに不満など一切出ない」

GTSの方も、基本的な性格はトロフェオと同じだ。パーシャルスロットルからアクセルを開けていった時のパワー感は、さすがにトロフェオに一歩讓るが、それもこの2台を続けて試乗したからそう感じるわけで、最初からGTSに乗っていたらそのパフォーマンスには不満など一切出ないはずだ。

レヴァンテが登場してから早くも2年半が経過し、すでにマセラティの販売台数の約50%はレヴァンテが占めているという。今回のトロフェオとGTSの登場で、その比率がさらに高まるのは確実だ。そしてパワーでも価格でもクアトロポルテ GTSを上回るトロフェオは、レヴァンテだけでなくマセラティというブランド全体のフラッグシップとしての役割を担うことになるのだろう。もちろん、その実力は十分に備わっている。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/Maserati S.p.A.

【SPECIFICATIONS】

マセラティ レヴァンテ トロフェオ

ボディサイズ:全長5020 全幅1985 全高1700mm
ホイールベース:3005mm
車両重量:2340kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3798cc
最高出力:434kW(590ps)/6250rpm
最大トルク:734Nm(74.8kgm)/2500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前265/40R21 後295/35R21
最高速度:304km/h
車両本体価格:1990万円

マセラティ レヴァンテ GTS

ボディサイズ:全長5020 全幅1985 全高1700mm
ホイールベース:3005mm
車両重量:2300kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3798cc
最高出力:404kW(550ps)/6250rpm
最大トルク:733Nm(74.7kgm)/3000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前265/40R20 後295/40R20
最高速度:292km/h
車両本体価格:1800万円

※GENROQ 2019年 1月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

3件
  • 結局自社製エンジンだと魅力が半減って事かな。
  • 外車のSUVはカッコいいけどデカ過ぎるよね…。
    市街地で走るには気使い過ぎちゃうよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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