■世界でも人気のベストセラーSUV対決!
トヨタが2019年に発売した新型「RAV4」と、ホンダが2018年に発売した新型「CR-V」は、非常によく似たクルマといえます。どちらも国産ミドルサイズSUVを代表するモデルであり、誕生したのはいずれもまだSUVという名詞がなかった90年代の初頭。
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初代モデルは、ともにコンパクトクラスのクルマでしたが、北米をはじめとした海外をメインの市場としてきたことで、モデルチェンジのたびに大型化。一時は、日本市場での販売が中止されていたことも共通しているライバル車の2台を比較していきます。
今回、比較対象車に選んだのは、両車ともハイブリッドモデルかつ最上級グレード。CR-Vが「ハイブリッドEXマスターピース4WD」(436万1040円)、RAV4が「ハイブリッドG E-Four」(381万7800円)です。
価格を比較すると、その差はなんと50万円強で、比較にならないかもしれませんが、まずは基本的なスペックを比べていきます。
冒頭で記したように、両車ともミドルサイズのいわゆるCセグメントに属するSUVで、ボディサイズはCR-Vが全長4605mm×全幅1855mm×全高1690mm、ホイールベース2660mm。対して、RAV4は全長4600mm×全幅1865mm×全高1685mm、ホイールベース2690mmと、まったく同じといっていいほど似通った数値です。
続いて、パワートレインについて比較してみましょう。今回比較する両モデルについては、RAV4が2.5リッター直列4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムで、システムトータルの出力は222ps、WLTCモードでの燃費は20.6km/Lです。
トヨタとしては、国内初となるDirect Shift-CVTを組み合わせています。これは、従来のCVTに発進用ギヤを追加したもので、発進から高速域まで力強い走りをもたらしつつ、低燃費にも貢献します。
対するCR-Vは、最高出力145psを発揮する2リッター直列4気筒エンジンに加え、最高出力184ps、最大トルク315NmのSPORTS HYBRID i-MMDと呼ばれるハイブリッドシステムを採用し、トランスミッションにはCVTが組み合わされます。
パワートレインの大きな違いは、RAV4はガソリン走行を基本とした上で電気がアシストするというハイブリッドシステムですが、CR-Vの場合はエンジンが発電機としての機能を持ち、エンジンによって発電された電気によってモーターを駆動して走行することです。
したがって、EVのようななめらかなフィーリングとなります。加えて、高速走行時など電気のメリットが活かしづらいシチュエーションではガソリンエンジン車として走行し、市街地での低速走行時などは電気のみで走行するなど、状況に応じて3パターンの走りをすることが特徴です。
燃費については、WLTCモードで20.2km/LとRAV4よりわずかに劣りますが、ドライブフィーリングについては大きな違いがあるといえるでしょう。
こうして2台のスペックを比べるとボディサイズを含めて、同じような数値が並んでいることがわかります。安全運転支援システムもHonda SENSINGをフル搭載したCR-Vに対して、Toyota Safety Senseを標準装備したRAV4ともに、現在の水準からみれば平均以上です。
ここまで見ると、冒頭で述べた約50万円の価格差の分だけRAV4がお買い得に見えますが、実はRAV4とCR-Vではこれ以外の部分で大きな違いがあるのです。
違いのひとつは標準装備です。例えば、CR-Vには条件付きで通信費が無料になる「リンクアップフリー」の純正インターナビシステムおよびETCセットが標準装備されています。
一方のRAV4では、ナビシステムはディーラーオプションとなるため、エントリーモデルであってもETCと合わせて約10万円、高機能モデルだと25万円ほどの追加が必要です。
さらに、内装にも違いがあります。CR-Vにはブラウンの本革電動シートと電動パノラミックサンルーフが標準で備わりますが、RAV4の電動パノラマサンルーフは14万400円の有償オプションとなり、本革シートの設定は用意されていません。一般的に国産車であれば本革シートを設定すれば15万円程度が必要となります。
このように見ると、基本的なスペックの近い両車ではありますが、オプション装備については、CR-Vがほぼフルオプション仕様で販売しているのに対して、RAV4はカスタマイズの余地があります。
一見、かなりの価格差があるように見えますが、もしRAV4にオプション装備を追加してCR-Vと同等の内容まで仕上げると、価格差はほとんどないといえます。
■両車の使い勝手やガソリン車にはどんな違いが存在する?
両車は、米国でベストセラーSUVだけあって、十分な実力を持っているこの2台ですが、どちらがオススメといえるでしょうか。
もちろん、個々の好みや使い方にもよるとは思いますが、あくまでクルマを道具としてアクティブに使い倒すなら、RAV4のほうが良さそうです。
ナビなどのオプション装備を必要最低限のものに絞れば、ハイブリッドの上級グレードでも400万円前後の乗り出し価格となります。さらにいえば、ガソリンモデルのベースグレードであれば、300万円前後の乗り出し価格にすることも可能です。
釣りやキャンプ、スキーやサーフィンなどアウトドアでの趣味に使えるクルマとして、徹底的に使い倒すなら、運動性能や安全性能などのバランスを含めて、RAV4は2019年現在もっともコストパフォーマンスのよいクルマのひとつといえるでしょう。
一方で、クルマに対して一定以上の上質感、高機能性を求める人にはCR-Vをオススメします。前述の電動パノラミックサンルーフや本革電動シート、そしてホンダが誇るインターナビといった装備もさることながら、CR-Vではじめて4WD仕様が設定された、ホンダ独自のハイブリッドシステム「スポーツハイブリッド i-MMD」によるEVのような伸びやかな走りは、非常に上質かつ洗練されています。
もちろん、悪路走破性能もありますが、砂利道や雪道を走るよりは、市街地や都市高速道路などを流すのに向いているクルマです。また、ハイブリッドモデルでは設定がありませんが、ガソリンエンジンモデルには7人乗りの設定があり、多人数乗車が条件であれば、CR-Vがぐっと有力候補に近づくかもしれません。
また、両車のガソリンモデルにはどんな違いがあるのでしょうか。
RAV4のガソリンエンジンモデルの搭載エンジンは、2リッター直列4気筒直噴ガソリンで、最高出力171ps、最大トルク207Nmを発揮。価格は、最も安いXグレードの2WDモデルであれば、260万8200円からとなり、オプション装備によっては300万円前後での乗り出しが可能です。
RAV4にも2WDの設定はありますが、ガソリンエンジンモデル、ハイブリッドモデルどちらも、4WDが主力のグレード構成となっています。
一方で、CR-Vのガソリンエンジンモデルのベースグレード「EX」は、1.5リッター直列4気筒VTECターボを搭載しており、最高出力190ps、最大トルク240Nmを発揮します。
最も安い2WDモデルは323万280円から用意されていますが、こちらにもインターナビなどが標準装備され、そのほかのグレードにも2WDモデルがあることが特徴です。
このように、一見スペックの近い両車ではありますが、その性格はちょっと異なります。RAV4は、オフロード走行まで視野に入れたアクティブな「道具」としての本格派SUVを志向しています。
一方で、CR-Vは積極的に2WDFFモデルを設定していることからもわかるように、都市型SUVとしてのスマートかつ高機能性を重視しているようです。
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