2020年2月、ほぼ同じタイミングで登場した、トヨタ「ヤリス」と、ホンダ「フィット」。売れ筋であるコンパクトカーのガチンコ勝負は、今のところ、ヤリスがフィットを大きく突き放す、という結果となっている。
発売当時、フィットは、同時に4つのスタイリングで登場したことで、世間を驚かせた。中でもSUVの雰囲気をまとった「フィットクロスター」には、注目が集まったが、一方のヤリスも4月に「ヤリスクロス」が発表され、秋にも国内での発売開始が予定されているなど、期待が高まっている。
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そして、この2台と競合する「日産ノート」も、年内に次期型が登場する、とされており、この次期型ノートにも、なにかしらの派生車があるのでは、と噂されている。
日産といえば先日、コンパクトSUVの「キックス」が登場したばかりではあるが、コンパクトSUV全盛の時代であることから、ヤリス、そしてフィットと同じく、次期型ノートと同じプラットフォームでSUVを出してくる可能性もなくはない。
そこで、ちょっと気が早いが、「ノートクロスを出したら、ヒットするか? 」を妄想してみた。
文:吉川賢一/写真:NISSAN、TOYOYA、HONDA
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ノート+SUVのクロスオーバー=キックス?
先日、国内発売開始となったばかりの「キックス」は、ボディサイズやホイールベース、そして1.2リッター3気筒の発電用エンジン+駆動用モーターのe-POWERなど、まさに現行ノートe-POWERのSUV版、となってしまうのだが、本記事では、キックスとは異なる「ノートクロス」を想定する。
2020年6月24日に発表した新型SUVのキックス。中身はノートe-POWERのSUV版だ
現行ノートとキックスは、オーバーハングのデザインの分で全長195ミリの差があるが、ホイールベースは10ミリ差で、サイズ感はかなり近い
新規デザインの採用がマスト!
このような派生車を開発する際、デザインのやり方には大きく2通りある。
ひとつは、ヤリスクロスのように、ベースとなるクルマの雰囲気を持たせながら、全く別のエクステリアを作る「新車開発パターン」と、ホンダのフィットクロスターのように、ベースとするボディへSUVクロスオーバーに見えるフロントバンパーやフェンダーアーチ、アンダーカバー、車高変更、タイヤ外径拡大をする「化粧直しパターン」だ。
前者のパターンの場合、ルーフの高さを変更したり、Aピラーを立てたりして、上屋の骨格変更までもしてしまうと、ベース車両で作り上げたバランスを、再び取り直す必要もでてくる。骨格の一部を変更しただけなのに、ハンドリングや乗り心地、音振性能が、大きく悪化してしまうこともあるのだ。そのため、後者と比較して、コストも時間も大幅に必要となってくる。
ヤリスクロスはデザインを新規に起こしている
後者のパターンであっても、タイヤの外径を変更したことで車両重心の変化や、タイヤの違いによる影響は、バランス取り直す必要も出てくるが、前者に比べれば、さして問題ではない。
フィットクロスターはエクステリアへの加飾でSUVテイストを出している
しかし「化粧直しパターン」のようなちょっとした違いでは、これらの派生車をもとめるユーザーに目新しさや、所有する満足感を与えることはできないように思う。
実は現行ノートにも、「C-Gear」や「C-Gear Limited」というSUVの雰囲気をまとった派生車は存在する。しかし、控えめすぎるアレンジのためか、その存在は埋もれてしまっている。
前者のように、新たなエクステリアのデザインを採用した方が、圧倒的に新鮮で、相当な商品アピールとなる。化粧違いとしてではなく、別物のクルマとしてみなされるのは、販売面でもやはり強いだろう。「ノートクロス」には、新たなエクステリアデザインを求めたい。
2019年のジュネーブモーターショーで初披露された「IMQコンセプト」は「e-POWER」のクロスオーバー車だ このコンセプトカーのようなエクステリアで登場すれば、大いに話題になるだろう
第2世代e-POWERを期待!
e-POWERシステムが世界初登場したのは、2016年のノートマイナーチェンジのときだった。その後、日産の屋台骨の一台であるセレナへも採用し、販売拡大の原動力となった。「ノート」は購入者の70%以上、「セレナ」は約半数が、「e-POWER」搭載車を選んでいる。そのe-POWERも5年目となり、次世代型が求められる時期だ。
ノートはe-POWERの方が売れている。次期型ノートには新世代のe-POWERが搭載されるという情報も
日産では、将来的に、e-POWERの発電用エンジンに、先進技術を搭載することで熱効率50%を目指しているという。
さらには、次世代e-POWERでは知能化が図られ、発電機用エンジンの始動タイミングを、実用燃費と静粛性を考慮して、徹底的に最適化し、ドライバーの運転特性に合わせて進化させる、という。これらは、2019年10月に行われた、ニッサンインテリジェントモビリティテクノロジーツアーでの日産の発表内容だ。
キックスのように、コンパクトSUVに既存のe-POWERを載せるのは、技術的には容易いことだろう。しかし、第2世代e-POWERのような、テクノロジーの進歩を見せられるかどうかが、ノートクロスの勝算のカギを握っている、と筆者は考える。
初代e-POWERがヒットした理由は、その時点で「他車がやっていなかったから」だ。上記のような、次世代e-POWER開発と共に、新車開発をしていくとなると、ハードルは相当高まるが、苦労なくして成功は掴めない。ノートクロスには、次世代e-POWERの搭載も、期待したい。
ノートクロスは売れるのか?
今、国内市場で日産を襲っている不幸は、新たな商品がない(あっても古い)ことにある。新車を出さないことには、売れるはずもない。しかし、ノートクロスを、上述したような内容で出したとしても、大成功を収めるようなことは、残念ながら期待できない。ノートクロスだけをやっても、ダメなのだ。
ライズ、ヤリスクロス、C-HR、RAV4、ハリアーなど、息つく暇もなく出し続ける、トヨタの怒涛のSUVラッシュを、日産ももちろん見ているだろう。ラインアップを揃えることの強さは、どのクルマにしようかと、「迷う余地がある」ことだ。
キックスとエクストレイルのほかに、このノートクロスなど、サイズやデザインの異なる魅力的なSUVがずらっと並んでいるなかから、好きな1台を選ぶ。選択肢をたくさん用意することで、ユーザーは選ぶ楽しさを味わえる。そして悩みに悩んで選んだ一台は、そのユーザーにとって「愛車」となり、よりクルマを楽しんでくれることにもつながるのではないだろうか。
日産にとっても、日産の内部、そして販売現場に血を通わせることが、今最も求められていることだ。そのための血液となる、こうした新型車の派生モデルは多く作るべきだと筆者は考える。「キックスがあるから十分」と考えるのは甘いと思う。
こうした元気な日産の姿を望んでいる日産ファンは多いはず。そうした日が、一日も早くやってくるのを心待ちにしている。がんばれ日産。
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みんなのコメント
まぁ、途上国向けのキックスを日本導入した時点で、日産が日本を軽視していることは分かっているので、期待はしません。