「フォレスターはスバルの最量販車種です」と、試乗前に聞いた。たしかに日本の路上で見かける機会は多い。広い室内に大きなラゲッジルーム、それなりに力強い走り、クリーンなスタイリングと、あらゆる部分がよく出来ているから人気を集めるのも納得だ。新型も販売開始から日が浅いものの、東京都内ではよく見かける。
ただし、新型フォレスターを見て、「従来型とあまり変わっていないのでは?」といった声を多く聞くのも事実。まあ、スバルデザインのイディオムからして、従来型は完成形であったと思う。もちろん新型はそれなりに変わっていて、リアクオーターパネルやリアコンビネーションランプなどのデザインは一新している。
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新型の大きな特徴は、高い走りのクオリティだ。ハンドリングが落ち着いており、安全のマージングが高くなっている。より多くのひとがフォレスターで運転を楽しめるような設定だ。
新型は、車体の横曲げ剛性を従来の2倍に、ねじれ剛性を1.4倍に引き上げた。同時にリアのスタビライザーを車体じか付けにし、車体のねじれを50パーセント低減した。さらに前後サスペンションの動きの自由度も向上したそうだ。
結果、タイトコーナーなどでの挙動を比べると、新旧ではあきらかに違う。従来型では後内輪が浮きそうな場面でも、新型ではしっかりとタイヤが接地している。
同時に乗り心地もよりフラットライド化した。路面の凹凸に大きく影響されないため、走りのクオリティは従来型を凌駕する。
2.5リッター水平対向4気筒エンジンも、走りのクオリティアップに貢献している。このエンジンは、184psの最高出力と239Nmの最大トルクを発揮、最大トルクの発生回転数こそ4000rpmと、やや高回転型であるが、太めのトルクなので、低回転域で力不足を感じる場面はないし、加速感も気持ちいい。
アクセルペダルを意識して強く踏み込まなくとも、交通の流れをリード出来る。その気になれば速いし、コーナリング能力も高いので、運転好きのひとにも向いている。
トランスミッションは「リニアトロニック」と、スバルが呼ぶ無段変速タイプ。マニュアルモード付きだ。2.5リッターエンジンは、トルクの“谷”を感じなかったため、マニュアルモードを使う気にはならなかった。このあたりに“大人っぽさ”を感じた。
2.5リッターエンジンは3つのグレードをラインナップする。いちばん個性が強いのは、スポーツギアのようなディテールを採り入れた「X-BREAK」(291万6000円)。インテリアも個性的で、シート地は撥水性の強い合成繊維を使っている。
いっぽう「ツーリング」(280万8000円)は、実用性を重視する向きのベーシック仕様だ。ベーシックといっても4WD性能は上級仕様と変わらない。しかも快適装備は豊富で、サイドビューモニター、ステアリングホイールヒーター、フロントシートヒーターまで標準だ。
その上に位置する「プレミアム」(302万4000円)は、スバル独自の先進安全装備群「アイサイト」の機能が充実。オプションでレザーシートも選べる。なお、「e-boxer」に用意されるブラウンのシートカラー(シルバーステッチ付き)が選べるといいが、残念ながら2.5リッターのガソリン仕様には設定がない。
すべてのグレードで、ボディカラーが豊富な点も見逃せない。ぼくは「ジャスパーグリーンメタリック」という淡いグリーンが好きだ。
新型フォレスターはライバルが多い。ホンダの新型「CR-V」や、2.5リッター直列4気筒ガソリンターボエンジンを追加したマツダ「CX-5」など、いずれも商品力は高い。これら手ごわい競合がひしめくなか、新型フォレスターが今後、どのように進化していくか? 大いに気になるところである。
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