国内メーカーのミッドサイズ以下のSUVランキングTOP10
先日、後席の広さで選ぶ国内メーカーのコンパクトカーランキングTOP10をお伝えしたが、今回は国内メーカーのコンパクト、ミッドサイズのSUVの後席の広さについて報告したい。というのも、ホンダから登場したばかりのWR-Vの後席の圧巻の広さ(ラゲッジルームも!!)が今、話題になっているからだ。
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まず、ひとつの基準としてホンダWR-Vの後席の広さを、身長172cmの筆者のドライビングポジションを基準に紹介すると、頭上に160mm、膝周りに240mmものスペースがある。実際、これぐらいあると、大人でもかなりゆったり座ることができ、なおかつフロアからシート座面前端までに高さ=ヒール段差が370mmと十分にあり、筆者の体形だと太腿裏がシート座面に密着し、椅子に腰かけているような自然な着座姿勢が取れ(太腿裏が浮くようだと体育座り的になり、お尻だけで体重を支えることになる)、結果、着座しやすく、立ち上がるのも楽になるというわけだ。このクラス、209.88万円からの車両本体価格にして後席のシートそのものがたっぷりとしたサイズで(とくに座面長は500mmと中大型車の前席に匹敵)、後席エアコン吹き出し口の装備もあり、かなり快適かつゆったりと着座することができるのである。
さて、国内メーカーのミッドサイズ以下のSUVの後席の広さのランキングに移ろう。
1位 スズキ・クロスビー
なんと全長3760全幅1670×全高1705mm、ホイールベース2435mmの5ナンバーサイズのナローな車幅のクロスオーバーモデルにして、最大級の後席の広さを誇るのが、先日、タレントの鈴木奈々さんが購入して話題になったスズキ・クロスビーだ。何しろ頭上に190mm、膝周りに最大320mm(165mmスライドする後席最後端位置)の下剋上的なゆとり、広さを誇る。フロアもフラットで3名乗車でも中央の乗員の足元は広々していて、足の置き場に困らない。撥水シート生地だけにペットを乗せても安心だ。ただし、後席を最後端位置にしてしまうと、ラゲッジスペースの奥行が最大値の約525mmから約360mmまで減少してしてしまうのは、コンパクトなボディサイズだから致し方ないところ。
2位 日産アリア
コンパクトクロスオーバーSUVのクロスビーに続く後席の広さを誇るのが、BEV(電気自動車)の日産アリア。ボンネット下にエンジンを積まず、エアコンユニットをかなり前に配置できたことで、室内空間はクラスを超えた広さが確保され、後席は頭上に120mmはともかく、膝周りスペースは300mmと広々。リクライニングも1段可能で、好みの着座姿勢をとることができる。フロアも完全フラットで、足の置き場にもまったく困らない。シートヒーターとともに後席エアコン吹き出し口も完備するから快適だ。ただし、ヒール段差は330mmとやや低め。
3位 ホンダ・ヴェゼル
手前は純正アクセサリー装着車(MC前)
3位につけたのは、ホンダ・ヴェゼル。フィットがベースのコンパクトクロスオーバーSUVであり、センタータンクレイアウトの採用で後席下にガソリンタンクがなく、パッケージ的に優位なこともあり、後席は低全高パッケージによって頭上には115mm(ガラスルーフなし)とギリギリなものの、膝周り空間は290mmと広大。フロアはほぼフラットで、Zグレードには後席エアコン吹き出し口も完備する。
4位 スバル・ソルテラ、トヨタbz4X
ヴェゼルに次ぐのは、アリアと同様にBEVのスバル・ソルテラ、トヨタbz4X。頭上に120mm、膝周りに280mmというスペースがあり、リクライニングも1段可能で、フロアもほぼフラット。後席エアコン吹き出し口も完備している。BEVならではの静かでスムーズな走りをゆったりと満喫できるに違いない。
5位 トヨタ・クラウン・クロスオーバー
5位につけたのは、16代目クラウンのクロスオーバーである。クラウンがクロスオーバーモデルに!!と、発売当初、大きな話題になったが、そのゆったりとしながらも力強い走り、もてなし感に満ちた装備などはまさにクラウンそのもの。後席は頭上に130mmはともかく、膝周りには270mmのスペースがある。ただし、フロア中央に凸があり、着座、立ち上がり性にかかわるヒール段差は310mmと低めになる。エアコン吹き出し口はもちろん完備している。
6位 三菱アウトランダー
クラウン・クロスオーバーに次ぐのは、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーのテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した、最新型では全車PHEVとなった三菱アウトランダーだ。その後席(2列目席)は頭上に170mm、膝周りに250mmというスペースが確保される。エアコンは3ゾーン、つまり前席と後席でそれぞれ温度調整ができるタイプが用意されるから、後席の空調環境も文句なし。ただし、3列シート仕様の3列目席は緊急席的である(頭上に20mm、膝周りに0~110mm。2列目席スライド位置による)。
7位 ホンダZR-V
純正アクセサリー装着車
国内向けホンダSUVの最大サイズ、最上級モデルとなるのがZR-V。頭上に130mm、膝周りに245mmというスペースが確保され、フロアもフラット。が、ヒール段差は295mmと低く、身長172cmの筆者だと、膝が浮くような着座姿勢になるのが惜しまれる。
8位 ホンダWR-V
いよいよ8位にホンダ最新のクロスオーバーSUVであるWR-Vがランキング。その後席スペースはすでに説明したように、頭上に160mm、膝周りに240mmもの広さを誇る。頭上方向では格上のZR-Vをしのぎ、膝周り空間はZR-V同等。着座、立ち上がり性を決定づけるヒール段差が370mmもあるのだから自然にゆったりと座れ、着座性、立ち上がり性も文句なし。その上で、このクラスにして後席エアコン吹き出し口を完備し、ラゲッジルームもクラス最大級の広さが確保されているのだから、まさに下克上パッケージと言っていい。
9位 日産エクストレイル
9位となったのは、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーのテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した日産エクストレイルだ。その第二世代e-POWERによる電動駆動の走行性能、電動駆動4輪制御技術のe-4ORCEがもたらす走破性の高さは定評あるものだが、後席頭上に150mm(ガラスルーフ装着車)、膝周りに235mmという広さも立派。さらにフロアに少し凸があるものの、ヒール段差は340mmと十分な高さがあり、シートヒーター、3ゾーンによる独立温度調整可能な後席エアコン吹き出し口、後席用サンシェードも用意。後席で誰もが1年中、快適に過ごせるオールラウンダーである。
10位 スバル・レイバック/フォレスター/アウトバック
後席膝周り空間で10位となったのが、スバルのSUV軍団。レイバック、フォレスター、アウトバックともに220mm~230mmの後席足元スペースを確保。最新のレイバックの場合、頭上に135mm(サンルーフ装着車)というスペースだ。フロアに凸があるものの、後席エアコン吹き出し口を完備。最低地上高200mmのAWDとなるクロスオーバーモデル×オールシーズンタイヤ装着車にして驚異的な車内の静かさを実現しているため、後席でも標準装備されるハーマンガードンサウンドシステムによる音楽を堪能できるに違いない。
以上のランキングは、あくまで、身長172cmの筆者の実測値、印象ではあるのだが、後席に着座した際、膝周り空間が200mm以上あると、かなりゆったりとした姿勢が取れるということは間違いない。SUV、クロスオーバーモデルで後席の居住性、快適性にもこだわるのであれば、ぜひ、参考にしていただきたい。それにしても、ホンダWR-Vの、ラゲッジスペースを犠牲にしない後席の広さは、こうして各車のスペースを比較してみると、改めて驚かざるを得ない。
文/青山尚暉
写真/雪岡直樹 青山尚暉
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