Sクラス譲りの先進的デザイン
メルセデス・ベンツ Cクラスといえば、日本で一番売れているプレミアムセダン。2014年に登場した5世代目モデルは、国内で累計10万台以上が販売されている。そして今年、フルモデルチェンジした6世代目モデルが上陸した。
Cクラスのルーツは1982年に登場した「190」クラスにまでさかのぼる。日本の5ナンバーサイズに収まる、当時のメルセデスのラインナップとしては最小モデルだったが、上位車種にも劣らぬ質感や安全性の高さで日本でも大ヒット作となった。
このとき190クラスに付与された車両型式は「W201」。のち1993年に登場した初代Cクラスは、その型式を受け継ぎ「W202」とされた。その後は、2000年に「W203」、2007年に「W204」、そして2014年に先代の「W205」とCクラスは規則正しくおよそ7年周期でモデルチェンジを重ねている。したがって新型の「W206」は、Cクラスとしては5世代目の、190から数えれば6世代目の“コンパクト”メルセデス・ベンツとなる。
コンパクトといっても、ボディサイズは全長4793mm、全幅1820mm、全高1446mmと、3世代目のEクラスにも匹敵するもの。国内法規で認可されていないが、片側130万画素という高精細さで、路面に映像を描写可能なほどの性能を誇るヘッドライト、「DIGITALライト」を採用。その上下方向に薄くなったヘッドライトや多角形のラジエターグリルによる小顔効果もあって、ボディの大きさをまったく感じさせない。先代モデルと比較すると、全長は80mm、全幅は10mm、ホイールベースも25mm延伸。これによって、後席のレッグルームは21mm伸長、ヘッドルームも13mm拡張されたことで、後席の居住性が向上している。
エクステリアデザインは、最新のメルセデス・ベンツのデザイン哲学“Sensual Purity=官能的純粋”に基づいてデザインされている。「飾り立てるのではなく、削ぎ落とすこと」を意味するこのフィロソフィーにより、ボディのプレスラインやエッジなどを可能な限り減らし、曲線を描く面構成によって陰影を生み出しプロポーションを強調している。
インテリアもSクラス譲りのものだ。ステアリング奥にはメーター類を表示する12.3インチの大型コックピットディスプレイを、センターにはまるでiPadのような縦型の11.9インチメディアディスプレイを配置している。メディアディスプレイは、ドライバーズカー用のものとして、ダッシュボードも含めてドライバー側に傾斜している。
メディアディスプレイの下部には指紋認証ボタンが備わっている。このインフォテイメントシステムには生体認証が搭載されており、指紋以外にも声やPINコードでのロック解除が可能。好みのシートポジションや、保存しているプロフィールデータなどを呼び出せる。スマートフォンと車両の連携が進めば進むほど、こうしたセキュリティ対策はますます重要になってくる。また、音声入力システムのMBUXや、カメラで捉えた実際の映像上に進行方向などを示すAR(拡張現実)ナビゲーションなど、最新のデジタル機能が満載だ。 試乗車は1.5Lの直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載する「C200アバンギャルド AMGライン」。新型Cクラスは全モデルで、スタートや加速時など最大で15kW/200N・mのアシストを行うISG(Integrated Starter Generator)を組み合わせる、いわゆるマイルドハイブリッドシステムを備えている。これまで4気筒にはBSG( Belt-driven Starter Generator)を組み合わせていたが、ISGの採用によって大幅な性能向上を果たしている。
メルセデス・ベンツの特許技術のひとつとして、40年以上にわたって採用されているシート型のパワーシートスイッチがある。先代まではスイッチ自体がシートと同じ方向へ動くものだったが、新型では静電容量式のタッチ操作タイプになっている。スイッチが動かないことに最初は違和感を覚えたけれど、すぐに慣れた。
予備知識なしに走り出すと、これが1.5Lだとはとても思えないほど軽快に走り出す。ISGの効果は絶大で、エンジン停止から再発進時の振動も極限まで抑え込まれている。また、最新の9速ATを組み合わせていることもあって、変速ショックも一切なくエンジンはきれいに吹け上がっていく。
新型のハイライトのひとつはオプションのリア・アクスルステアリング。これは、およそ60km/h以下の速度域で後輪を最大2.5度、前輪と逆位相に操舵することで最小回転半径を縮小。それ以上の速度域では、後輪を最大2.5度、同位相に操舵することで車線変更時や緊急回避時の走行安定性を高めてくれるというもの。
前輪のステアリングレシオも、先代比で約10%クイックに設定されている。ステアリングへのわずかな入力に対して機敏に反応し、ワインディング路などではクイックなハンドリングをみせる。また、最小回転半径は5mとボディサイズ拡大分を補って余りあるほどで、先代比でマイナス0.3mを実現している。
新型Cクラスは、デザイン、デジタル、ハンドリングのすべての面で若々しさを得た。先日発表された2030年までの完全電動化戦略を見据えれば、これが内燃エンジンCクラスのひとつの完成形になるのかもしれない。 新型メルセデス・ベンツ Cクラスのカタログを見る文/藤野太一、写真/柳田由人、メルセデス・ベンツ【試乗車 諸元・スペック表】●C200 アバンギャルド AMGライン (ISG搭載モデル)型式-最小回転半径-m駆動方式FR全長×全幅×全高4.79m×1.82m×1.45mドア数4ホイールベース2.87mミッション9AT前トレッド/後トレッド-m/-mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS△車両重量-kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量-kgミッション位置コラム最低地上高-mマニュアルモード◯標準色ポーラーホワイトオプション色オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド、アンスラサイトブルー、ダイヤモンドホワイト掲載コメント-型式-駆動方式FRドア数4ミッション9ATAI-SHIFT-4WS△標準色ポーラーホワイトオプション色オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド、アンスラサイトブルー、ダイヤモンドホワイトシート列数2乗車定員5名ミッション位置コラムマニュアルモード◯最小回転半径-m全長×全幅×全高4.79m×1.82m×1.45mホイールベース2.87m前トレッド/後トレッド-m/-m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量-kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高-m掲載用コメント-エンジン型式M254環境対策エンジン-種類直列4気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量66リットル可変気筒装置-燃費(10.15モード)-km/L総排気量1496cc燃費(WLTCモード)-燃費基準達成-最高出力204ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm300(30.6)/4000エンジン型式M254種類直列4気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量1496cc最高出力204ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm300(30.6)/4000環境対策エンジン-使用燃料ハイオク燃料タンク容量66リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)-km/L燃費基準達成-
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みんなのコメント
新型Cクラス、欧州では一番下のグレードであるC180でさえ、Sクラスニ迫るほどの質感のインテリアを選べるのに。
高排気量、高価格の価格でなければ上質なインテリアを選べないメルセデスのモデル戦略はもう古い。
BMWのようにインテリアやトリムを選択できるようにしてほしい。
Cクラスの価格じゃないよー…
ラインナップ増えたから格上げ扱いなのかな?