イベント [2023.12.01 UP]
【ルノー R.S. ULTIMATE DAY】ルノーのスポーツモデルが愛される理由
文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、ルノー
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ルノーによるファンイベント「R.S.ULTIMATE DAY」が11月25日に開催された。ルノーのスポーツモデルは人気が高く、日本でも多くのファンがいることもあり、会場となった袖ヶ浦フォレスト・レースウェイには色とりどりのR.S.モデルやルノー、アルピーヌが集まった。
ルノースポールにとって最後のファンイベントが開催
パレードランの様子
今回のイベントにはスペシャルゲストとして、RSモデルの開発に20年にわたり携わってきたシャシー開発責任者のフィリップ・メリメと、開発ドライバーでニュルブルクリンク北コースFF車最速の記録を持つロラン・ウルゴンも登場。トークショーのほか、デモランや同乗試乗といったファンサービスを行い、イベントを大いに盛り上げることとなった。
ニュル最速タイムを出した開発ドライバーによるデモラン
ルノースポールのキーマンが語るR.S.モデルと日本の関係
長年にわたりR.S.モデルを鍛え上げてきたシャシー開発責任者のフィリップ・メリメ氏
モータースポーツで培ってきた知見とテクノロジーを市販車に投入し、日常使いのクルマをスポーツカーへと変身させるのがルノースポールの得意技。とくにメガーヌをベースにしたメガーヌRSは、ニュルブルクリンクの市販FF車のコースレコードに挑戦することで、そのポテンシャルを証明してきた。とくにホンダ シビックタイプRとはライバル関係にあり、お互いを強く意識しつつ高め合ってきた。現行モデルとなる4代目メガーヌR.S.では、2019年4月5日にニュルブルクリンク北コースで当時の世界最速タイム7分40秒100を記録し、ナンバーワンFFスポーツの座を勝ち取った。
一方で意外だったのが、開発時にはパフォーマンスだけでなく乗り心地を重視したというエピソードだ。
セッティングの方向性を定めるシャシー開発責任者のフィリップ・メリメ氏によれば、R.S.モデルは高性能なスポーツモデルである一方で、使用時間の7割が公道で移動に使われているため、乗り心地は非常に重要な要素なのだという。
そして、R.S.モデルにとって重要な市場である日本の路上でテスト走行やチェックを行うなかで、日本の道には欧州にはない高速道路の継ぎ目などの独自の要素があることに注目。現行型メガーヌR.S.での「4 HCC(ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)」採用にもつながったという。
開発ドライバーであり、タイムアタックも担当するロラン・ウルゴン氏
また、インタビューのなかで、開発者二人にこれまで携わってきたモデルのなかでとくに思い出深いモデルを挙げてもらうことができた。
フィリップ・メリメ氏が選んだのは、メガーヌR26.R(2008年)。レース用の装備を与えながら徹底した軽量化によって123kgもの軽量化を果たし、世界限定450台で販売された超辛口モデルだ。
メガーヌ R26.R
一方のロラン・ウルゴン氏は、5台ものモデルをチョイス。1台目はフィリップ・メリメ氏が出会いのときに乗ってきた初代メガーヌR.S.。2台目は、メガーヌR.S.にも採用されている後輪操舵技術「4 CONTROL」を初めて採用したラグナGT(日本未導入)。
初代メガーヌR.S.
そして残りの3台は、すべてニュルでコースレーコードを記録したモデル。2011年5月に初めてFF最速を記録した2代目メガーヌR.S.、2014年6月に記録を更新した3代目メガーヌR.S. 275トロフィーR、そして2019年5月に再び市販FF世界最速の座を奪った4代目R.S.トロフィーRだという。
メガーヌR.S. トロフィーR
ルノースポールを手にいれる最後のチャンス
メガーヌR.S. ウルティム
カーボンニュートラルを実現させるべく、ルノーは電動化に邁進しており、純粋なガソリンエンジンを搭載するR.S.モデルは現行型で最後。ルノースポールとしての活動はこれで終了となり、今後その役割はアルピーヌが受け持つことになる。だが、アルピーヌではすでに電気自動車のスポーツモデルの開発がスタートしているというから楽しみだ。
内燃機関スポーツモデル集大成であるメガーヌR.S.については、標準モデルに加えて最後の限定車であるメガーヌR.S. ウルティムが販売中だ。標準モデルの生産はすでに終了しており、在庫がなくなり次第日本での販売も終了する。ルノースポールのモデルは世界中で熱心なファンが多く、将来的にメガーヌR.S.やその限定モデルにはプレミアが付くことも予想される。市販FF世界最速の称号を持ち、日本の道を走って開発されたメガーヌR.S.を手にいれるチャンスはまだ残っているが、迷っている時間はあまりなさそうだ。
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