現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 重要なのに知られてない「交通研」って一体なに? 新型車発売に欠かせない、日本の車社会を支える存在とは?

ここから本文です

重要なのに知られてない「交通研」って一体なに? 新型車発売に欠かせない、日本の車社会を支える存在とは?

掲載 4
重要なのに知られてない「交通研」って一体なに? 新型車発売に欠かせない、日本の車社会を支える存在とは?

■重要なのにあまり知られていない「交通研」

 一般ドライバーはもとより、販売店の関係者、自動車メディア関係者、そして自動車メーカーや自動車部品メーカーの関係者でも「交通研」のことを知っている人は少ない印象があります。

知らない人多すぎ! 運転免許証の隠れた「秘密」とは!? 「ガソリン安くなるし最高!」

 ただし、交通研は日本の自動車産業にとって大きな存在であり、ユーザーにとっても実は深い関係があるのです。

 交通研の正式名称は、「交通安全環境研究所」といいます。

 1950年に旧運輸省(現在の国土交通省)の研究所として発足。2016年4月1日には旧自動車検査独立行政法人と統合され、独立行政法人 自動車技術総合機構の交通安全環境研究所となりました。

 自動車業界や官公庁関係者は、以前から「交通研」という略称で呼ぶことが多いのが実状です。

 交通研の具体的な業務は、大きく3つあります。

 1つ目は、自動車に関する総合的な取り組みで、安全・環境に関わる基準案の作成、型式指定による基準不適合車の未然防止、リコール制度による基準不適合車の排除などです。

 2つ目は、国際的な連携確保の取り組みです。国際標準化の推進や自動車メーカーなどの海外展開を支援します。

 3つ目は、地域交通などに関する取り組みです。自動車だけではなく、鉄道などの安全・安定輸送を確保や、LRT(低床型次世代路面電車)など新しいシステムの導入促進により地域交通の活性化を図ります。

 こうしたなかで、自動車ユーザーが注目するべきは、型式(かたしき)指定と燃費計測だと思います。

 自動車には型式指定制度があり、車検証や自動車メーカーのウェブサイトに掲載されている諸元表には「型式」という項目があります。

 例えば、日産新型「フェアレディZ」の型式は「3BA-RZ34」です。クルマ好きは、そのモデルがどの世代なのかを示すときに型式で呼ぶことが多くありますし、自動車関連メディでも「R35(日産 GT-R)」とか「FD(マツダ RX-7)」といった表現を使います。

 国土交通省によると、自動車の型式指定制度とは「自動車製作者等が新型の自動車等の生産又は販売を行う場合に、予め国土交通省大臣に申請又は届け出を行い、保安基準への適合等について審査を受ける制度である」と説明しています。

 この審査とは、基準適合性審査として、ブレーキ試験や排出ガス試験、灯火器試験などがあり、そのほかには品質管理 均一性の審査もあります。

 こうした型式指定制度に基づいた認証審査をおこなう、日本で唯一の機関が交通研なのです。いうなれば、自動車メーカーにとって交通研は新車販売へ向けた関所のような存在だといえます。

■燃費の基準も交通研が深く関わっている

 こうした認証審査のなかで、ユーザーとしては燃費測定についても気になるところでしょう。

 交通研ではシャーシダイナモ装置を使い、車両を移動させずに駆動力をかけて燃費を計測しますが、さまざまな試験のすべてをこなすことは施設の設備体制や人員体制が限定的であることから、一部の試験は自動車メーカーがおこない、そのデータを交通研に提出する形をとっています。

 そうしたなかで、例えば2016年に発覚した三菱自動車の軽自動車に関する燃費不正問題の際、メーカー側がおこなって交通研に提出したデータが改ざんされていたことが社会問題となりました。

 また、直近では日野自動車が数十年間にわたり、トラックやバスの多様な車種で燃費測定などについて不正があったことが大きく報じられたばかりです。

 国としても、こうした不正防止に向けて交通研の業務のあり方も含めた対策を進めているところです。

 燃費でいえば、以前は「10・15モード」また「JC08モード」、そして現在は「WLTCモード」と試験測定する際の走行速度や走行時間の規定が変わってきました。

 こうした燃費の基準で、基本的な手法案の策定や、国連などの場での国際連携についても、交通研が果たす役割が極めて大きいといえます。

 また、自動運転技術や高度運転支援システム(ADAS)に関しても、国連・欧州経済委員会の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の各種会議体で、日本からは国土交通省と交通研の担当者が出席し、議長や副議長など重要なポジションを占め、世界に向けて日本の考え方を主張しているのです。

 一般ドライバーにとって馴染みの薄い交通研ですが、日本のクルマ社会を支える縁の下の力持ちだといえるでしょう。

こんな記事も読まれています

[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
レスポンス
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
くるまのニュース
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
LE VOLANT CARSMEET WEB
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
motorsport.com 日本版
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
THE EV TIMES
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
Webモーターマガジン
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
AUTOSPORT web
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
レスポンス
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
くるくら
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
くるまのニュース
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
motorsport.com 日本版
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
くるまのニュース
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
VAGUE
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バイクブロス
総長のビュイックで練習し、運転免許を取得!?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第30回
総長のビュイックで練習し、運転免許を取得!?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第30回
くるくら
コンパクトバッテリーで小型軽量化!「18V XR ブラシレス・インパクトドライバー」がデウォルトから12月上旬発売
コンパクトバッテリーで小型軽量化!「18V XR ブラシレス・インパクトドライバー」がデウォルトから12月上旬発売
バイクブロス
2024年新型イプシロン登場で高らかに復活したランチア!! 10年前は消滅の噂が絶えない大ピンチだった[復刻・2013年の話題]
2024年新型イプシロン登場で高らかに復活したランチア!! 10年前は消滅の噂が絶えない大ピンチだった[復刻・2013年の話題]
ベストカーWeb
ポルシェがサーキットで最高のパフォーマンスを発揮する、モータースポーツテクノロジー
ポルシェがサーキットで最高のパフォーマンスを発揮する、モータースポーツテクノロジー
LE VOLANT CARSMEET WEB

みんなのコメント

4件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索
フェアレディZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村