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1960年代の英国へ衝撃 ローバーP6 英国版クラシック・ガイド 上級サルーンをリード 前編

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1960年代の英国へ衝撃 ローバーP6 英国版クラシック・ガイド 上級サルーンをリード 前編

当時の英国へ大きな衝撃を与えたP6

1960年代の英国へ大きな衝撃を与えたのが、ローバーP6だ。先進的なボディ構造に四輪ディスクブレーキ、オールシンクロのMT、高度なサスペンション、オーバーヘッドカム(OHC)・エンジンなどが採用され、同社の成長を力強く後押しした。

【画像】1960年代の英国へ衝撃 ローバーP6 トライアンフ2.5と後継のSD1 ランドローバーも 全104枚

その頃、ランドローバーがヒットしていたことで、P6も釣られるように支持を伸ばした。グレートブリテン島の中部、ソリハルの工場には1000万ポンド以上が投資され、生産能力は2倍に拡大された。

次期モデルへ向けた、新しいボディ構造の開発が始まったのは1953年。強固なバルクヘッドを採用し、重量物を車体の中央へ集めるレイアウトが検討された。

リア・サスペンションはド・ディオン式。リジッドアクスルの一種だが、独立懸架式よりバネ下重量を軽く抑えることができた。

フロント・サスペンションは、トランスバース・リンクを採用した独立懸架式。珍しい形式といえたが、これは当時のローバーが開発していた、ガスタービン・エンジンの搭載を視野に入れたものだった。結果的に、量産には至らなかったが。

ボディは、静電気を用いた粉体塗装で仕上げられた。従来の単純なスプレー式では約60%の塗料が無駄になっていたのに対し、約2%へと大幅な減少を実現した。

当初設定された2.0L 4気筒エンジンのシリンダーは、ボアとストロークがほぼ等しいスクエア比率。ビストンの上部には、半球状の燃焼室が設けられていた。オーバーヘッドのカムは、2本のダブルチェーンが駆動した。

メディアも高く評価した操縦性と乗り心地

モダンな印象を強めるフロントグリルには、押出成形されたアルミ材を使用。ダッシュボードは、レザー調の加工が施されたプラスティックによる一体成型で、フェイクウッドのトリムが雰囲気を高めた。

シートは座り心地が良く、位置の調整域も広かった。ステアリングホイールもチルトが可能で、体型に応じた運転姿勢を提供した。ヒーターやベンチレーションは機能的で、快適な車内空間を保った。

ローバーP6 2000は1963年にリリースされ、完成度の高さを自動車メディアは評価。快適性が最大の強みで、当時のモーター誌は、価格帯に関係なく欧州車でトップ3に入る乗り心地だと称賛している。

シリーズ1のP6へ1966年に追加されたのが、高性能版の2000TC。圧縮比は10:1へ上昇し、ツインSUキャブレターを搭載し、ハイオクガソリンの指定だった。少々尖ったファミリーサルーンといえた。

1968年、上級グレードとして3.5L V8エンジンを積んだ3500Sが登場。優れた動力性能と合理的な燃費、秀でた操縦性や乗り心地の良さで、こちらも高い評価を集めている。

1973年には、洗練性を高めたシリーズ2が登場。4気筒エンジンはアップデートされ、オーバースクエア構造となり排気量は2.2Lへ拡大。P6 2200を名乗るようになった。

トルクが太くなったことで走りは粘り強く、多くのドライブトレインも強化。2000TCはややピーキーだった印象だが、2200TCでは扱いやさも向上していた。

オーナーの意見を聞いてみる

「関節を痛めたのを理由に趣味だったアーチェリーを諦め、最近はクルマ好きが再燃しています」。と話すのは、今回ご登場いただいたレッドのローバーP6 2000のオーナー、ブライアン・ローラー氏。

「子供の頃、自宅の近所でクルマを洗う手伝いを遊び半分にしていました。ある人がP6を所有していて、洗車を終えると、何時間もシートに座って運転の真似をしていたんです。ダッシュボードを観察しながら」

「アルミ製のフロントグリルとシンプルなボンネットを備える、シリーズ1がわたしの好み。それと、赤いクルマが好きなんです」

「これまで色々なモデルを60台以上所有してきましたが、このP6はオースチン・マリーナ GTとの交換で入手しました。妻はクルマへ関心を示さないのですが、ローバーは気に入っていて、手放さないでほしいと話しています」

「近未来的なデザインと、快適な乗り心地が気に入っています。今でも、何時間でも眺めていられますね。とても美しいと思いますよ。整備は難しくなく、ボディは大きめですが路上では扱いやすいですし」

「大切にオリジナル状態が保たれてきていて、わたしで4オーナー目。スターターやソレノイド、バッテリーを交換して電気系統をリフレッシュしました。それ以外は快調。運転が楽しいですね」

英国で掘り出し物を発見

ローバーP6 3500(欧州仕様)

登録:1974年 走行:4万1200km 価格:2万9500ユーロ(約428万円)

かなり強気な値段だが、ハンサムな見た目に誘惑されてしまう。グリーンのボディにアルミホイールとビニールルーフ、タンレザー・インテリアの組み合わせが決まっている。

新車時にスウェーデンで売られ、近年にレストアを受けている。ボディパネルの隙間はきれいに揃っていて、塗装の艶は深い。内装は仕立て直されているが、適度なヤレ感も残されていて好印象。オリジナルのマニュアルと、整備記録の一式が付いている。

ローバーP6 2000(英国仕様)

登録:1964年 走行:11万5800km 価格:1万3950ポンド(約224万円)

初期のP6をお探しなら、好適といえる内容だろう。シティ・グレーのボディが美しく、クロームメッキもきれいだ。タン・レザーのインテリアは見栄えがいい。オリジナル状態が保たれており、時代を感じさせる味がある。

ダッシュボードには、珍しい純正ステレオが残されている。シートベルトはフロント側に備わるが、リアには付いていない。

エンジンは整備が行き届いている。荷室のフロア下には、スペアパーツが詰まっているという。新車時からのゴム製マットも残っている。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

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