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新型フェアレディZ発売直前 自動車評論家6人に聞いてみた「期待」と「不安」 

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新型フェアレディZ発売直前 自動車評論家6人に聞いてみた「期待」と「不安」 

 2022年4月25日、各グレードの価格が発表され、いよいよ発売間近となった日産の新型フェアレディZ。

「一般人でも頑張ればなんとか手が届く最後の純内燃機関ハイパワーFRスポーツカーになるのでは?」と言われる新型Z、多くのクルマ好きがその発売を待ち遠しく感じていることだろう。

新型フェアレディZ発売直前 自動車評論家6人に聞いてみた「期待」と「不安」 

 そこで今回は、6名の自動車評論家に新型フェアレディZの期待と不安について語ってもらった!!

●新型フェアレディZのポイント
・カタログモデルは標準、バージョンS(6MTのみ)、バージョンT(9M-ATxのみ)バージョンSTの4つ
・3L、V6ツインターボは405ps/48.4kgm
・同一グレードの6MTと9M-ATxの価格は同じ
・コーナリング性能は最大で約13%向上
・日産の後輪駆動車で初のローンチコントロール搭載
・スポーツサウンドの演出は新型Zの大きな魅力

※本稿は2022年5月のものです
文/松田秀士、片岡英明、国沢光宏、斎藤聡、清水草一、渡辺陽一郎、ベストカー編集部、写真/日産自動車、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月10日号

■新型フェアレディZの新たに分かったこと

ボディカラーはモノトーン3色、2トーン6色(すべてスーパーブラックルーフ)を用意。写真は新色のセイランブルー

 まずは、価格発表時点で日産が正式に発表して判明していることについて整理しておきたい。

 ボディサイズは全長4380×全幅1845×全高1315mm、ホイールベースは2550mmで、旧型に比べて全長が20mm伸びているだけで、そのほかはまったく同じだ。

 搭載されるエンジンは、スカイライン400Rと同じ、3L、V6DOHCツインターボ(VR30DDTT)で405ps/48.4kgmをマーク。

 旧型の3.7L、V6DOHCより実に69‌ps/11.2kgmも飛躍的にポテンシャルアップしている。

 トランスミッションは6MT(大トルクに耐えられるよう強化)と新開発の9ATの9M-ATx(ケーシングはマグネシウムで専用制御のスポーツモード付き)となる。400RにはATしかないので、VR30DDTTと6MTの組み合わせは超絶興味深い。

 日産の後輪駆動車としては初めてローンチコントロールを採用したのもトピックだ。

 またボディ剛性のアップ、ラックアシストタイプEPS、フロントワイドタイヤの採用でコーナリング性能は最大13%向上したと公表。

 前後ダンパーに新設計の大径モノチューブダンパー、アルミ製ダブルウィッシュボーンサスの採用で操安性、直進安定性ともに進化させ、ひとクラス上の走りを実現。

 過去をオマージュしながらも先進性のあるエクステリア、ドライバーとの一体感を重視したシックなインテリアもユーザーの心をくすぐる。

 エモーショナルといえば、今はやりのバーチャルサウンドを進化させたスポーツサウンドも実現している。

 新型Zに対してベストカーは期待感しかない!! 対してクルマのプロはどう感じたか? 一部のスペック&装備、価格しかわかっていない状況ながら、6名の評論家が新型Zに対する期待と不安について語る。

新型フェアレディZグレード&価格一覧

■松田秀士の期待と不安

3L、V6ツインターボのVR30DDTT(405ps/48.4kgm)は真新しくはないが、400Rにはない6MT&9M-ATxとの組み合わせが非常に興味深い

●期待

 特にボクらの世代はS30を彷彿させるあのシルエットに痺れる。これぞスポーツカーというデザインだ。現行モデルでは若干張りの強い足が気になっていたが、ダンパーを大径のモノチューブにするなど改良して減衰を緩めているという。不整地でのコーナリングの安定性に期待するね。

 新型はボディ剛性も進化していることだろうし、ラックアシストタイプのEPSを採用し、キャスター角を増やしたということだから、直進安定性だけでなく転舵時のキャンバー角も増える効果を生むから、コーナリング限界性能も向上すると思う。

●不安

 エンジンもトルクもパワーアップしているなかでMTが6速かぁ! 7速ぐらい欲しかったんだけどね。シフトフィールも重く硬く好きではなかったから、今度のはスコスコとシフトできるか? 不安である。

 逆にATが9速なのは燃費がどうのこうのというモデルじゃないから、そこまでいるかぁ? という感じです。

■片岡英明の期待と不安

バージョンSとバージョンSTはフロント255/40R19、リア275/35R19のタイヤにフロント9.5J、リア10Jのレイズ製19インチアルミ鍛造ホイールの組み合わせとなる

●期待 

 3LのV型6気筒DOHCツインターボに組み合わされるのは、新設計の9速ATと6速MTだ。どちらも初採用だから、どんな走りを見せるのか、乗る前からワクワクする。リア駆動のハンドリングも気になるところだ。

 また、レーシングドライバーの松田次生選手がアドバイスしたメーターも、どんな感じに見えるのか興味深い。コストパフォーマンスが高いであろう標準グレードの価格と装備内容も気になる。

●不安

 エンジンはパワフルだが、車両重量は思っていたより重そうだ。どんな走りを見せるのか楽しみだが、ボディが重いと気になるところも出てくるだろう。また、新車は音量規制も厳しくなっているからスポーツカーらしい耳に心地よい排気サウンドを奏でるのか心配な面もある。

 オートサロンで話題をさらった精悍な「カスタムプロト」は、あのデザインだと空気が入りにくいらしい。そのままの形で発売になるかどうか気になる。

■国沢光宏の期待と不安

インテリアカラーは写真のブラックのほかレッドも設定

●期待

 世界規模で電気自動車推進活動が行われているなか、よくぞ純エンジン車の大出力スポーツカーを出したモンだと感心しきり!

  遠からずレクサスから5L、V8搭載モデルも出てくるとウワサされているものの、コストパフォーマンスということで考えたら「普通のクルマ好きでも何とか買える最後のFRハイパフォーマンスモデル」になると思う。

 もはや新型フェアレディZにはワクワク感しかありません! 

●不安   

 おそらくオーダー開始とともに作りきれないほど売れると思う。しかも厳しくなる騒音規制など考えたら販売できるのは2026年秋まで。4年間しかありません。

 間違いなく売れまくるだろうアメリカ市場を考えると、ランクル300/レクサスLXのように「納期4年」という事態もありうる。

 つまり発売と同時にオーダーストップということです。新型Zを欲しいと考えているのなら、即座にオーダーすることを強くすすめておく。

■斎藤聡の期待と不安

スーパーGTドライバーである松田次男選手も開発に関わったというメーターグラフィックスは自慢の逸品

●期待

 スポーツカーのZだから、3L、V6ツインターボの405ps/48.4kgmというターボパワー&トルクを軸に、タイヤのサイズアップ、キャスター変更やダンパーの減衰力変更、機械式LSDの装着などを行ったことで走りがどう進化しているかに期待が高まります。

 イン側のタイヤをより積極的に使い、トラクション性能を高めることで走りの性能が洗練されているのではないかと想像すると同時に期待しています。

●不安

 気になったのはタイヤサイズの速度記号です。新型フェアレディZが装着するタイヤは前255/40R19 96W、後275/35R19 96WのWの部分です。Wは許容最高速270km/hを示しています。

 タイヤは許容速度記号によって剛性や乗り味が変わってきます。速度記号が「(Y)」(=300km/h以上)ではないところに、Z34がピュアなスーパースポーツではなくグランドスポーツの気配を感じてしまうのです。

■清水草一の期待と不安

このルーフからリアエンドにかけてのラインが超絶美しい。2トーンだとそれが強調される

●期待

 新型Zについては、基本的に期待しかないよ! なにしろあのノスタルジー感たっぷりのデザインに、あのスカイライン400Rのエンジン(405ps/48.4kgm)が載って、6MTもあるんだから! 中高年カーマニアが欲しいものが全部揃ってる! 細かいことは言いません。完璧です!

 価格も、期待どおりというか、期待したよりも安い。まさか500万円ちょいから買えるなんてメッチャ安いやんけ!

 ただ現時点(※2022年5月)では、その最廉価グレードの装備がわからないんだよね。たぶんなーんにもついてないんだろうけど。ホイールはテッチンなのか? まあ、それもいいかもしれない!

●不安

 そのほかに不安があるとすれば、一番は納期だね。半導体をはじめとする部品不足と注文の殺到が重なって、ひょっとすると「何年待ち」みたいなことになっちゃうのかもしれない。

 納期が1年以内くらいだと、現実味があっていいんだけどねー。

■渡辺陽一郎の期待と不安

左右2本出しのマフラー、ディフューザーも高性能を象徴するアイテムで、精悍さを醸し出す

●期待

 フェアレディZへの期待は、今も昔も同じだ。各時代のスポーツカーに必要な走行性能を備えて、後輪駆動も採用しながら、価格をライバル車よりも割安に抑えることだ。

 新型のバージョンSは606万3200円(6速MT)だから、先代バージョンSに比べて約122万円高い。新型では衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備が加わり、動力性能は、最高出力が69‌ps、最大トルクは11.2kgm高まった。そこを考えても約122万円の値上げは割高だが、許容範囲には収まる。

●不安

 プロトスペックの価格が割高なこと。プロトスペックは、基本的にはバージョンSTをベースに、アルミホイール、ブレーキキャリパー、本革シートなどを専用色に変更した仕様だが、価格はベース車よりも約50万円高い696万6300円。

 しかも販売店では、「プロトスペックは先に公表されたが、納車時期は標準グレードと同じ」という。先に手に入れる優越感も味わえない。

■新型Zの今後の気になる情報

ノスタルジックな香り漂うイカヅチイエローのボディカラーはカタログモデルにも設定される

 まずは240台限定販売のプロトスペックの話から。予約期間は2月7日から3月24日15時までで、1万人以上の応募があったという。当選倍率はわずか2.4%!! 抽選結果は4月18日に当選者に通知ずみだ。

 新型Zのメインマーケットは北米で、日本の割り当ては年間500台程度と言われているため、国沢氏、清水氏も指摘しているとおり、納車の長期化が懸念される。

 その新型Zだが、旧型同様にNISMOの設定が有力で、BCでは2023年秋登場と予想している。

日産 新型フェアレディZ(RZ34)主要諸元

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