もうすぐ発売と噂されるホンダの新型N-BOX。居住性や使い勝手が大きく進化しているが、そのポイントがいまいち伝わりにくい。そこでもういちど、この傑作軽自動車の魅力を整理してみよう!
文/渡辺陽一郎、写真/ホンダ、ベストカーWeb編集部
新型N-BOXは旧型と変わらないって? あなたの誤解を解く4個の大進化ポイント
■魅力その1:前方視界が広がった!
2023年8月にホンダホームページで先行公開された新型ホンダ N-BOX。各メディアにも先行公開された
新型N-BOXは、エンジンやプラットフォームを先代型と共通化した。しかも先代型が初代モデル以上に人気を高め、外観を大きく変えると売れ行きが下がる心配もある。結果、新型はいまひとつ代わり映えがせず、注目度が盛り上がらない。
ところが実車を確認すると、新型N-BOXは洗練度を高めた。
まずはインパネのデザインが大きく変更されている。先代型はメーターを高い奥まった位置に装着して、前方から目を移す時の視線移動を抑えていた。長身のドライバーには都合が良かったが、小柄な人は印象が変わる。メーターの位置が高く感じられ、前方視界も妨げられて、圧迫感が生じたからだ。
特に軽自動車は、買い物などの日常的な移動に多く使われ、ほかのカテゴリーに比べてユーザーの年齢層も幅広い。女性ドライバーの比率も高い。そうなると運転のしやすさが大切だ。先代型のユーザーから、前方視界や圧迫感が指摘された事情もあり、新型はインパネのデザインを大きく変えた。
インパネの最上部からステアリング奥に移されたメーター。インパネ上部がスッキリと平面になり視界も向上
メーターはインパネの最上部から、ステアリングホイールの奥側に移され、一般的な配置に改めた。インパネの上面はスッキリと平らに仕上げられ、前方視界が大幅に広がった。
軽自動車では珍しく、ボンネットもしっかりと見えるから、ボディの先端や車幅も分かりやすい。小柄なドライバーに限らず、誰にでも運転しやすくなった。
■魅力その2:居住性や使い勝手が向上!
居住性も向上したが、特に後席の座り心地が改善。適度な沈み込みで体をしっかりと支え、足元も広々としている
ボディスタイルは先代型と同じく水平基調だから、側方や後方の視界も良好だ。軽自動車だから小回りの利きも良く、車庫入れや縦列駐車もしやすい。
居住性については、後席の座り心地が向上した。先代型は座面の柔軟性が乏しく、ホールド性と座り心地に不満があったが、新型では改善された。体を座面に適度に沈ませて、骨盤をしっかりと支える。
座り心地が快適になり、着座姿勢も安定させた。前後席ともに、左右に座る乗員同士の間隔も拡大している。スライドドアを使って乗り降りする時に、つかまる場所も工夫され、乗降性も向上した。
収納設備については、細かなポケット類を省いたが、グローブボックスは容量を2倍に増やした。車内のいろいろな所に収納設備を装着すると便利だが、繁雑な雰囲気も生じる。そこで新型は、収納設備の数を減らす代わりに容量を拡大した。後席の脇にも、容量を増やしたサイドポケットが装着される。
荷室の使い勝手も向上した。後席の背もたれを前側に倒した時、荷室床面の一部が窪んでいるから、自転車の前輪を通過させやすい。開発者は「自転車を積みやすく、なおかつ走行中も荷室で倒れにくくなった」と言う。
■魅力その3:安全装備や通信機能も充実!
安全装備や通信機能も充実し、昨今当たり前のように求められる安全性や利便性にも配慮した
装備では安全装備が進化した。新型では、先代型の機能に加えて、低速時の衝突を防ぐ近距離衝突軽減ブレーキ、急発進事故を防止する急アクセル抑制機能も加わった。
マルチビューカメラシステムも、メーカーオプションとして用意されている。今日の新型車を購入する大切な価値として、安全性の向上があり、新型N-BOXも安全装備を進化させた。
快適装備では通信機能が加わる。スマートフォンも含めて、さまざまなソフトウェアを使えるようになった。
そして新型N-BOXでは、走行性能や乗り心地にも期待できる。先に述べた通り、エンジンやプラットフォームは先代型と共通だが、熟成を図ることが可能になるからだ。
一般的に、プラットフォームを刷新すると走りや乗り心地が進化すると言われるが、実際には粗さが生じることも多い。
例えば先代プリウスは、発売時点でプラットフォームを刷新したが、後輪の接地性などの走行安定性と乗り心地では改善の余地を残していた。そこをマイナーチェンジで改善して、現行型にフルモデルチェンジされると、走りの水準をさらに引き上げた。
■魅力その4:同じプラットフォームを使い続けることでより熟成!
新型車というのは先代から大きく変わらないと注目されないが、変わらないことで熟成が進み、快適性など目に見えない部分では劇的に進化しているのだ
新型N-BOXも、プリウスに似た熟成を図る可能性が高い。プラットフォームは、時間の経過に伴って解析が進み、潜在的な能力を引き出すことが可能になるのだ。この進化が商品力を高める上で大切になる。
新型N-BOXは、冒頭で触れた通り、注目度がいまひとつ盛り上がらない。それは外観の変わり映えがせず、インパネは一般的なデザインに変わり、ハイブリッドやSUV風のグレードも用意されないからだ。
その代わり、従来型の路線を踏襲しながら、不満な点を改善するフルモデルチェンジを行った。日常生活の中で使われる軽自動車では、このような地道な進化こそ、ユーザーのメリットに結び付く。
新型N-BOXは、販売を開始しても、売れ行きが急増することはないだろう。その代わり発売から時間が経過しても売れ行きを落とさず、N-BOXはますます日本の生活に溶け込んでいくに違いない。
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みんなのコメント
おまけに少し高くなったしね。