大人が楽しむ！「はたらくくるま」図鑑 ホンダ＆コマツのミニショベルカー編＜３＞

車のエンタメ [2022.05.26 UP]


大人が楽しむ！「はたらくくるま」図鑑　ホンダ＆コマツのミニショベルカー編＜３＞
　2021年6月、ホンダが建設機械メーカーであるコマツと電動マイクロショベルの共同開発を発表した。今回はそのプロジェクトで開発された試作車の実証実験に立ち会う機会を得た。ホンダとコマツが開発した「はたらくくるま」は、どのようなものだったのか？　ホンダとコマツの電動化への取り組みなどを合わせて紹介したい。

●取材・文：鈴木ケンイチ　●取材協力：今井園　


今回「PC01（試作車）」を試運転したのが神奈川県相模原市にある今井園の主、今井さん。「静かでパワーがあって乗りやすい。排気ガスがないからハウスで使うにもいいね」とニッコリ。

電動化によって静かでクリーンになる
　ホンダとコマツが共同開発した電動マイクロショベル「PC01（試作車）」。その走りというか、“はたらき”具合は、いかがものなのだろうか？

　取材は、神奈川県相模原市において実施された実証実験へ、おじゃまする格好で行われた。相模原市において農園をしている一般ユーザーに、実際に使ってもらったのだ。

　ちなみに油圧ショベルは、作業機の作動も、履帯の駆動も、すべてを油圧で行う。原動機は油圧ポンプの駆動に専念する。

　そして、今回の電動化は、エンジン部分をホンダの新しい電動パワーユニット「eGX」に置き換えるというもの。そういう意味では、アームの動きや履帯の駆動のフィーリングは変化しないはずだ。

　実際に試乗した一般ユーザーのコメントも「静かだ」という感想が最初にあった。見学していると、油圧ポンプの「ククク～」という小さな音くらいしか聞こえない。非常に静かだ。

　リアルな工事などの作業現場で建機が静かであれば、作業員同士のコミュニケーションがとりやすいため、安全性も高くなるという。また、住宅地に面する農園としても、騒音は大きな問題。

　静かな電動の油圧ショベルは大歓迎だという。さらに排気ガスがないのも大きな利点だ。ハウス内での作業も安心だし、周囲の植物にも悪影響が出ない。カーボンニュートラルというだけでなく、建機の電動化は、大きなメリットがあるのだ。


ホンダの交換式バッテリー「ホンダ・モバイルパワーパック」と電動パワーユニット「eGX」を採用したコマツのマイクロショベル「PC01（試作車）」。写真はニュースリリース時のもの。

コマツのマイクロショベルたち＋αを紹介！

コマツで最も小さな油圧ショベル「PC01-1
　ホンダとのコラボで生まれた電動マイクロショベルカー「PC01（試作車）」のベースとなったのがホンダの汎用エンジンを搭載するこの「PC01-1」だ。このモデルは、軽トラックでも運搬が可能な世界一小さい搭乗式ミニショベルで、管工事や造園、農畜産に使われている。


寸法：全長2100×全幅580×全高1100mm　機械質量：300kg　標準バケット容量：0.008m3　最大掘削深さ：1050mm　エンジン：ホンダGX160T2 定格出力：2.6kW(3.6ps/3000rpm)　走行速度：1.4km/ｈ　回送車両：軽トラック

有線式電動油圧ショベル「PC78USE-11」
　コマツが2021年7月より国内市場に導入したのが有線式電動油圧ショベル「PC78USE-11」だ。特徴は駆動方式をエンジンではなくモーターとしつつ、電池ではなく、有線で直接に電気を供給するところにある。そのため充電を気にせず、連続での稼働が可能となる。


バッテリー駆動のミニショベル「PC30-E」
　コマツが2020年3月より国内のレンタル市場へ導入したバッテリー駆動のミニショベルが「PC30-E」だ。36kWhの電池と18.2kWhのモーターを内蔵。機械質量は4730kg。排気ガスのないクリーンで静かに、エンジン駆動式と同様の掘削性能を備えている


電動式フォークリフト「FE25-2/FE30-2」
2021年度グッドデザイン賞をコマツの電動式フォークリフト「FE25-2/FE30-2」が受賞。


2021年10月に発表された最新の「モバイルパワーパックe:」。約13kWhの電力を蓄える。

最新電動式フォークリフト「FEシリーズ」
コマツの最新電動式フォークリフト「FEシリーズ」は、野外使用できて急速充電も可能だ。