■「羊の革を被った狼」ならぬ、「スーパーカーの革を被った軽トラック」!?
群馬県にある福田モータースでは、軽トラックのスバル「サンバー」をベースにエクステリアをイタリアのスーパーカー、ランボルギーニ「カウンタック」へとカスタマイズしています。
カスタムの極地ともいえるクルマはどのようなものなのでしょうか。
【画像】本当にサンバー? 制作工程が凄すぎる! 驚きの「サンバルギーニ」を見る!(11枚)
クルマをカスタムする場合は部品メーカーから販売されている部品を交換することが一般的ですが、なかには部品をゼロから制作し原型を留めない改造を施す例もあるようです。
前述の福田モータースはサンバーベースに仕上げたカウンタックこと、通称「サンバルギーニ」を制作。
国産車とイタリア車、軽トラックとスーパーカーという接点の無いクルマ同士を結びつけた自分好みをつきつめたカスタムはどのようなものなのでしょうか。
サンバルギーニは、1974年製のサンバーをベースに制作されました。
サンバーは、1961年に富士重工業(現・スバル)が開発した軽トラックで、発売時は当時の軽自動車規格に合わせた0.36リッター直列2気筒エンジンを搭載し、当時でも全長3195mm×全幅1395mmと非常にコンパクトでした。なお、2021年現在販売スバルはサンバーの自社生産を終了し、ダイハツからのOEM車を販売しています。
一方でカウンタックは1974年にイタリアの自動車メーカーであるランボルギーニが開発したスーパーカーで、「LP400」と呼ばれるグレードでは4リッターV型12気筒エンジンを搭載し、最高出力は当時としては驚異的な375馬力を発揮。
当時のボディサイズはおよそ全長4140mm×全幅1890mm×全高1070mmと、現代のクルマと比べても幅広で低い車高であることがわかります。
また、カウンタックは圧倒的なパフォーマンスと当時の国産車からはかけ離れたデザインを備えていたことから1970年代のスーパーカーブームを代表するクルマといわれていました。
エンジンもボディサイズもかけ離れた2台ですが、福田モータースではなぜスバル製サンバーをカウンタック風にカスタムしようと思ったのでしょうか。その理由を福田モータース代表の福田さんに伺いました。
――何故サンバーからカウンタックを制作しようと考えたのでしょうか?
もともとは日産「バネット」のボディサイドにエアブラシでカウンタックをスケッチしてみたのがキッカケでした。
思いつきで描いてみたところ、このサイズなら軽自動車でつくれると思い、『かわいくできそう』『維持費が抑えられる』などの理由から、当時ちょうどよくあったサンバーを利用しました。
ベースのサンバーはフレーム構造を持ち、エンジンをリアタイヤ側に搭載するRR(リアエンジン・リアドライブ)方式を採用していたので外装を制作しやすいという利点もありました。
当時の他社の軽トラック、例えばスズキ「エブリィ」はフレーム構造ではなく、エンジンもボディー前側に搭載されていたので、サンバーでなければ再現することは難しかったと思います。
――制作するにあたって大変だったのはどのようなところでしょうか?
姿形が変わるほどの改造はサンバルギーニが初めてだったので、まずはバネットで描いたシルエットを参考にして、手作業でパイプを組むところから始めました。
ナンバーを取得するために書類を作り、軽自動車検査協会に行って状態を説明するなど半年くらい検査場に通いました。
最終的に「フレームをいじっていなければ大丈夫」ということがわかり、フレーム構造を持つサンバーの特徴が活かすことができました。
――今後もサンバルギーニのようなクルマを制作する予定はありますか?
本当はこうしたカスタムカーや、カスタムキットを販売してみたいという野望があったのですが、なかなか厳しくて実現できずにいます。
また、サンバルギーニの例ではベースとなるフレーム構造を持つクルマが少なくなっていることからベースとなるクルマの確保が難しいという事情もあります。
サンバルギーニ以外では、マツダ「ロードスター」をベースにTVアニメ「マッハGoGoGo」に登場したマシンを制作したこともありました。
今後も機会があればこういう夢のあるクルマを制作していきたいです。
※ ※ ※
福田さんは、「各種運転支援装備をはじめとする電子機器がクルマに搭載されていることや、衝突安全基準などの厳格化によってサンバルギーニのようなカスタムカーを制作することはより困難になるのでは」と話しており、外観を留めないほどのカスタムを施すことは難しくなっていくのかもしれません。
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