心臓部に1000ps仕様のVR38DETTを搭載する180SX
最高速オーバー360キロを目指した究極のFRスーパーチューンド
「最高速オーバー360キロを目指した伝説の180SX」GT-RのVR38DETTを搭載したフルチューン仕様!
新進気鋭のビルダー“ベンソープラ”とOPTION誌がタッグを組んで作り上げた180SXベースの最高速チューンド『380SX』。
日本を代表するスーパーチューンドの1台として世界中を騒がせる存在となっているが、ここでは各機関のコアテクノロジーを改めて解説していこうと思う。まずパワーユニットから。
エンジンはSR20DETではなく、R35GT-RのVR38DETTを搭載。しかも、腰下にグレッディ製のムービングパーツ(95.5φ鍛造ピストン、H断面コンロッド、92.4mmストロークのクランク)をセットし、排気量を3971ccまでアップさせた4.0L仕様だ。ヘッドもハイカムの投入を軸に各種加工が施され、インタークーラー&ラジエターはVマウント式を採用。
ターボチャージャーは、VR38DETTの純正ターボレイアウトではボディと干渉してしまうため、オリジナルのロングEXマニを製作し、左右バンク前方にRX1200タービンをインストールした。
当然ながら、エンジンスワップ作業が一筋縄で行くわけもなく「フロントサスメンバーはC33用とS13用の合体バージョンです。C33ってハイトが高いRBを搭載している関係上、元々メンバーが薄く設計されている。さらにエンジン側もオイルパンを薄型加工することで、マウント位置を限界まで下げることに成功しました」と、苦労を振り返るベンソープラ上田代表。
出力は現状でローブースト1.4キロ時に765ps、95kgm(ダイノの計測限界)。とにもかくにもトルク特性が凄まじく、3500rpmで50kgmを発生し、そこから1000rpm上がるたびに20kgmずつ増えていくという文字通りの全域トルク型で仕上がっているのだ。
燃料系チューンも徹底され、純正燃料タンクは廃し、リヤゲートにATL製の40Lタンクをマウント。燃料供給体勢はコレクタータンクを中心に構築し、どんな条件下でも燃料を安定供給させるシステムを創出している。
こうした最強のパワーパッケージを受け止めるためのボディチューンも余念はない。ボディ各部は溶接留めロールケージに始まり、パネル溶接や補強バーなど、超高出力時の負荷を完全に受け止められるよう、スーパーラップマシンレベルまで強化済みだ。
駆動軸系もしかり。リヤデフ/ドライブシャフト/ナックルはBNR34用へとスイッチし、マウント類もフルリジット化。ホリンジャー6速シーケンシャルミッションを含め、究極に近いドライブトレインを築き上げている。
そして注目のエクステリア。全身を覆うのは、380SX専用に開発したフルエアロシステムだ。オーバー300キロを想定した空力特性や強度、さらには美しさまで求めた渾身の逸品で、「エアロパーツもフレームの一部」という考えから、リヤウイングはフレーム&ロールケージに固定されているほどだ。
一方のサスペンションは、大阪の名門“フルステージ”が開発したオリジナルを装備。これはエアサスと車高調を融合させた新感覚モデルだ。基本構造はフルタップ式車高調ながら、上部の2重構造ドーナッツ型エアバックが従来のエアサスにありがちなフワフワ感を払拭しつつ、瞬時の車高アップ/ダウンを可能にする。アーム類は全てハードレース製の強化品に変更済みだ。
コンケイブの効いたホイールはエンケイRS05RR(20×10.5J+18)。ブレーキローターとキャリパーはどちらもエンドレス製。フロントのキャリパーはMONO6、リアはMONO4だ。
コクピットのメイキングも凄まじい。快適装備は完全撤去し、ベンソープラのワンオフカーボンダッシュボードとAIM製のメインメーターが本気仕様を物語る。ロールケージはサイトウロールケージがワンオフで製作し、さらにパネル溶接や補強バーなどを追加。高剛性のボディを作り上げている。
完成後、イタリアの高速周回路「ナルド」でアタックする予定だったが、現地(運営会社)の状況が大きく変化してコース占有が不可能になり、志半ばにして企画は終了。しばらくして、競技ドリフト仕様へと大きくリメイクされ、新たな道を走り出すこととなった。
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