現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 燃費競争終り、今度はスポーティカー競争が激化? メーカー系チューニングカーが拡充される理由

ここから本文です

燃費競争終り、今度はスポーティカー競争が激化? メーカー系チューニングカーが拡充される理由

掲載 更新
燃費競争終り、今度はスポーティカー競争が激化? メーカー系チューニングカーが拡充される理由

■市販車をベースにしたメーカー系のチューニングカーが増加

 このところ、燃費がナンバーワンという広告が減りました。ライバルとの差もほとんどなくなり、ユーザーもそこを気にしなくなったことが要因です。近年はその燃費と真逆な位置に置かれるスポーティカーに力を入れる動きが目立っています。トヨタのGRシリーズ、日産のNISMO、AUTECH、ホンダのモデューロX、スバルのSTIなど、市販車をベースにしたメーカー系のチューニングカーが増えています。

5代目日産「シルビア」 女子ウケ抜群! なにが彼女たちのハートを鷲掴みにしたのか

 スバルは以前からこの分野に積極的で、日産もオーテックジャパンの手掛けるライダーシリーズなどを用意していましたが、ここ最近は車種がさらに充実して販売にも力を入れてきています。

 いずれも「コンプリートカー」と呼ばれ、ユーザーは市販車をベースにチューニングを施された完成車を買います。当然、各種の法規にも対応しており、新車を扱う販売ディーラーで購入して車検なども受けられます。ユーザーが個別にパーツを装着するチューニングに比べると、完成度が高く、改造の度合いに対して出費が割安なことも特徴です。

 トヨタではGRシリーズをGRスポーツ/GR/GRMNの3段階に分けています。GRスポーツは比較的軽度のチューニングです。ボディ剛性を向上させたり、サスペンションの設定もスポーティに変更されますが、ヴォクシー&ノアのようなミニバンも対象に含まれます。

 GRになるとチューニングの水準がGRスポーツよりも高まり、ヴィッツGRではCVT(無段変速AT)の制御なども変更されます。7速の疑似変速を10速に増やしました。

 この上に、サーキット走行にも十分に対応できるGRMNという高度なチューニングの枠組みもありますが、今は車種が用意されていません。ヴィッツGRMNを150台の限定で販売した後は、GRMNを新車で買うことはできません。

 GRシリーズをなぜ設定したのか、その理由をトヨタの開発者に尋ねると、「走ることを通じて、クルマを楽しんでいただきたいという考えでGRシリーズを用意しました。以前はプロダクトアウト、つまりメーカーからお客様に向けた提案として行っていましたが、今はお客様のニーズに合っていることが分かりました。そこでGRスポーツは、ヴォクシー、アクア、プリウスαなど、幅広い車種に設定しています」といいます。

■女性からNISMOモデルはファッション性の高さが支持される

 日産の販売店では、NISMOモデルはファッション性の高さが支持されるといいます。

「NISMOは、ノート、セレナ、ジューク、リーフなど、バリエーションを充実させています。クルマに詳しいお客様にとっては、NISMOのようなエアロパーツを備えた仕様は、走りの良いスポーツモデルに位置付けられるでしょう。

 しかし、先入観を持たない女性のお客様からは、いわばファッションとして、単純にカッコイイという意見も聞かれます。そのためにファミリーカーを購入されるお客様の場合、夫婦で意見が一致してNISMOを選ぶことが多いです。

 ダンナさんはクルマが好きだから、本当はミニバンやコンパクトカーには乗りたくない。でもNISMOなら、ボディ剛性も高まるから満足できます。奥様にも外観が気に入って購入していただけてます。販売店の展示車や試乗車を見たことがきっかけで、NISMOが売れることもあります。そこで最近は試乗もしやすくなっています」(日産販売店セールスマン)

 ミニバンやコンパクトカーは、車内の広さとか運転のしやすさなど、実用性が重視されるカテゴリーです。

 しかもライバル車同士の競争が激しいため、価格も安く抑えねばなりません。コストの低減に迫られ、操舵感、走行安定性、乗り心地といった走りの質が下がりやすいです。

 メーカー系のチューニングカーは、このような大量生産される市販車に生じやすい煮詰めの甘さを洗練させ、外観もスポーティかつ上質に仕上げています。最高出力を大幅に高めるような目立った改造はしませんが、クルマとしての総合バランスが高まっています。これが本来のチューニング(調律とか調整という意味)でしょう。

 また今の自動車メーカーは、日本を将来性の乏しい市場と判断して、海外に比べると新型車の発売が滞りがちです。設計の古いクルマも増えていますから、日本国内では、実質的に少数の車種で幅広いユーザーニーズに対応しなければなりません。

 そうなると1車種の中に、さまざまな選択肢を設ける必要があり、そのひとつにメーカー系チューニングカーがあります。

■昔はなかった現代的な楽しいクルマ選び

 以前はトヨタなら、アルテッツァ、セリカ、レビン&トレノ。日産ならプリメーラ、シルビア、パルサーという具合に、価格が手頃でスポーティなクルマが豊富にありました。

 それが今、スポーティカーなど趣味性の強い車種は価格が高まり、クルマ好きのユーザーに適した購入しやすい車種が減っています。そこにどうにか当てはまるのが、コンパクトやミドルサイズの車種をベースにしたメーカー系チューニングカーです。

 価格はトヨタ「ヴィッツGRスポーツ」が207万6840円、日産「ノートNISMO」は212万2200円、ホンダ「フリードモデューロX」は283万680円という具合です。いずれもエアロパーツを装着したり、ボディ剛性を高めたスポーツモデルとしては、割安な価格設定になっています。

 普通のコンパクトカーでは物足りないですが、GRスポーツ/NISMO/モデューロXであれば満足できる人も多いでしょう。メーカー系チューニングカーは、昔はなかった現代的な楽しいクルマ選びです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

309.0358.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.9574.0万円

中古車を検索
ヴォクシーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

309.0358.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.9574.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村