インパクト大なリアウインドウ・レスの後ろ姿
スウェーデンのボルボから分派したEVブランド、ポールスターから4番目の量産モデル、4が誕生しようとしている。全長は約4800mmで、2より大きく、3より小さい。間もなく登場するサルーンの5は、4より大きい。
【画像】これぞ真の「クロスオーバー」 ポールスター4 競合クラスの電動モデルは? 現行の2も 全136枚
この4の特徴の1つが、カテゴライズの難しいフォルム。SUVと呼ぶには背が低いものの、サルーンと呼ぶには背が高い。まさにクロスオーバーしている。それでも、ライバルはBMW iX3やアウディQ6 e-トロン、ポルシェ・マカン・エレクトリックなどだ。
ポールスターのモデルとしては、歴代で最も低カーボンで、最速とのこと。世界的な販売数を大幅に引き上げる、中核的な役割を背負っている。
英国では、2024年8月からデリバリーが始まる予定。現在の生産拠点は中国にあるが、韓国にあるルノーの工場にも、別の生産ラインが準備されるとのことで、右ハンドル車は韓国産になる可能性が高い。
基礎骨格をなすプラットフォームは、ジーリー・ホールディングスによるSEAと呼ばれるもの。従来の2と新しい3は、ボルボ由来のプラットフォームをベースにしていた。ちなみに、スマート#1やボルボEX30も、SEAをベースとしている。
4で話題になりがちなのが、リアウインドウのないこと。カメラ映像を利用することで、リアガラスが省略されており、後ろ姿にはかなりのインパクトがある。だが、それ以外の部分はコンベンショナルなデザインで仕上げられている。
高機能なインフォテインメントは独自開発
リアガラスを省いた理由は2つある。ヘッダーレールと呼ばれる上部の構造材を、通常ならリアガラスが位置する場所へ渡すことで、低いルーフラインを保ちつつ、後席側の頭上空間を確保できることが1つ目。
また、カメラ映像を用いた方が、広い後方視界を得られるという考えが2つ目。見た目重視の処理ではなく課題解決のためだと、同社のデザイナー、マックス・ミッショニ氏は強調する。
実際に後席へ座ってみると、リアガラスがないことは殆ど気にならなかった。ヘッドレストの上方や後方には充分な空間があり、リアのパネル部分には照明が埋め込まれ、車内は明るい。
インテリアで歓迎すべき装備が、ポールスター独自に開発された、インフォテインメント・システム。これも、ボルボとの関係性はないという。
ダッシュボード中央に、15.4インチのタッチモニターが横向きに置かれ、車載機能のインターフェイスになっている。グラフィックは高精細で、反応は素早く、メニュー構造も理解しやすい。文字サイズも見やすいと感じた。
エアコンや運転支援システムの操作画面にも、簡単に辿り着ける。アニメーションで項目の機能がわかりやすく表示され、選択するとオレンジに色が変化し、選択音も鳴り、チラ見するだけで操作できる。各設定は、ドライバー毎に記録されるそうだ。
実際に押せるハードボタンの方が、扱いやすいと感じる人は多いだろう。だが、新しいスカンジナビアン・デザインのようなミニマリスティックさは、同社のイメージへ合致してもいる。
ツインモーターは543psで579km
大きなガラスサンルーフが備わり、車内は開放的。身長が180cmある大人でも、天井との間には100mm程度の余裕は残る。座面の高さは、一般的なSUVと比べれば100mm程度低く、雰囲気はスポーティ。足もとの空間も広々としている。
内装は、現代的で風合いの良いテキスタイルで覆われている。少数が点在するハードボタンも、ソリッドで好感触。持続可能性を強く打ち出すポールスターではあるが、シートにはレザーも指定できる。
パワートレインは電圧400Vで稼働し、シングルモーターの後輪駆動か、ツインモーターの四輪駆動という2種類。駆動用バッテリーの容量は94kWhで、航続距離は前者が610km、後者が579kmとなる。急速充電能力は、最大200kWまで対応する。
ツインモーターの最高出力は、543ps。シングルモーターでも不満なく速いが、ポルシェ・タイカン 4S以上の鋭さは、快感でもある。実際に公道で展開できる場面は限られるとしても、余力は大きい方がうれしいものだ。
車重は2.2tを超えるが、動的能力は唸らされるほど優れる。極めて鋭く正確に回頭し、シングルモーター標準のコイルスプリング・サスペンションでも、ボディは感動的に水平が保たれる。
ドライブモードによって、ステアリングの反応も変化する。穏やかで滑らかな感触から、適度な重み付けで情報量豊かな感触まで、気分次第で選ぶことが可能。それでも、基本的にはクイックで直感的。カーブ出口での手応えが、スポーティさを高める。
高次元の動的能力 快適性や洗練性は犠牲にせず
筆者は、シングルモーターとツインモーターの両方を試したが、前者の方が好みだった。後者に備わるアダプティブダンパーは、快適性を増してくれるものの、140kg軽いことで身のこなしに軽快感が伴う。
標準設定のタイヤも肉厚になり、コイルスプリングでも乗り心地は快適。フロントノーズの反応が小気味よく、テールスライドへ持ち込むのは遥かに容易だ。
動力性能で勝るツインモーターでは、トルクベクタリング機能が相乗し、ひたひたと落ち着きを失うことなく素早くカーブを処理する。こちらも反応は直感的で、低い重心位置の恩恵がしっかり活かされている。
ボディの中央を軸に旋回する感覚があり、足取りは常時安定。優れない路面状態でも、高い安心感を保って走り続けられるだろう。
さらに特筆すべきが、ここまで高次元の動的能力を備えていながら、現実世界での快適性や洗練性が犠牲になっていないこと。高速道路では淡々と安楽に巡航し、石畳の市街地でも音振に悩まされることはなかった。
加えて、手強そうなオフロードコースでも、4は納得の能力を披露してみせた。最低地上高が低く、ホイールベースは長いため、絶対的な走破性が高いわけではないけれど。
複数の強みを共存させた真のクロスオーバー
複数の強みを共存させ、妥協を可能な限り小さく抑えた、万能的なバッテリーEVをポールスターは完成させつつある。4は極めて珍しい、真のクロスオーバーかもしれない。
ボディサイズは比較的小柄で、フォルムはスタイリッシュ。車内空間は見た目以上に広い。航続距離は充分に長く、動的な魅力も低くない。持続可能性へ重点を置きつつ、保守的なユーザーも納得できる、モダンなインテリアも備える。
あいにく、今回は80%の仕上がりの試作車だった。英国の一般道で実際にステアリングホイールを握れる日は、数か月後になるだろう。果たして最終的な水準はどこまで高まるのか、楽しみでならない。
◯:必要以上に速く機敏 機能的なインフォテインメント・システムとタッチモニター 高速な急速充電能力
△:限定的なハードボタン
ポールスター4 ツインモーター(プロトタイプ/欧州仕様)のスペック
英国価格:6万6990ポンド(約1266万円)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:3.8秒
航続距離:579km
電費:6.1km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2200kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:94kWh(実容量)
急速充電能力:200kW(DC)
最高出力:543ps
最大トルク:80.8kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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