ヨーロッパ、アジアなどに続き、南米大陸を舞台とするTCR規定の新たなリージョン選手権、TCRサウスアメリカ・シリーズの2021年初年度開幕戦がブラジル・インテルラゴスで開催され、直前に地元W2レーシングと契約を結んだ世界戦経験者ぺぺ・オリオラが両ヒートを制する貫禄の走りを披露。FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRで幸先の良いシーズンスタートを切った。
主催者がアナウンスしてきた初年度全35台の潜在エントリーリストに対し、実際は2台の新型ヒュンダイ・エラントラN TCRを投入予定の、アウグスト・ファーフス率いるスクーデリアFJを除く、全10台のエントラントがホセ-カルロス・パーチェに集った。
TCR南米シリーズ初年度にぺぺ・オリオラが参戦。ホンダ・シビック・タイプRをドライブへ
その10名により6月26日の土曜に実施された予選では、チームメイトのオリオラを0.355秒差で上回ったラファエル・レイス(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がシリーズ最初のポールポジションを獲得。セカンドロウ3番手にもアルゼンチン勢のスクアドラ・マルティーノから参戦するTCRヨーロッパ経験者のホセ-マヌエル・サパーグが続き、ホンダ・シビックがワン・ツー・スリーを独占する結果となった。
その背後4番手には、直近にもイタリア・バレルンガでの電動ツーリングカー『ピュアETCR』初戦を戦ったロドリゴ・バプティスタ(アウディRS3 LMS/コブラ・レーシング)が続き、ブラジルに拠点を置くプロップカー・チームを母体とするKMWモータースポーツ・ウィズ・TMRエンジニアリングのアメリカ人、ポール・ホールトン(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)が予選トップ5に続いた。
明けた日曜の現地午前9時を前に幕を開けた、記念すべきシリーズ最初のヒートは、フロントロウのオリオラが僚友を退けてターン1に向けホールショットを奪っていく。
さらに後方のサパーグが2番手浮上に成功したかに見えたが、すぐにポールシッターのレイスがポジションを取り戻すと、それに乗じたバプティスタも抜け目なく続いて順位を上げて見せる。
■シビック・タイプR TCRを駆るオリオラが初代ウイナーの称号を獲得
隣国アルゼンチン最大のシリーズであるスーパーTC2000(STC2000)で、現在はプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングに所属するサパーグは、3番手を奪還しようという動きを見せたもののワイドになり、後方のアルファロメオ、ホールトンにもパスされ苦しい状況に追い込まれる。
そのまま快適なマージンを築いたオリオラが、僚友の2番手レイスに対し約3秒のリードを保って13周のチェッカーを受け、栄えある初代ウイナーの称号を獲得。3位にバプティスタ、4位ホールトン、5位にサパーグのリザルトとなった。
引き続き午前に開催されたレース2は、予選トップ10のリバースグリッド順での勝負となるも、本来ポール発進のはずだったマシンがフォーメーションラップで止まるアクシデントにより、予選9番手のアダルベルト・バブティスタ(アウディRS3 LMS/コブラ・レーシング)が主導権を握って始まった。
そのほかにも上位勢はストールやスロースターターが相次ぎ、10番グリッドにいたオリオラはオープニングで早くも2番手に浮上する。その勢いに続いたホールトンも3番手に上がり、続く周回では2台ともにアダルベルトのアウディを捉えることに成功。4周目には16歳の新鋭アイルトン・コルネ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/スクアドラ・マルティーノ)も続き、パッシングの際にわずかに接触しながら3番手へと上がってくる。
すると6周目にはマシントラブルからか、速度を落としきれなかったレイスのシビックがEVツーリングカー・ドライバー、ロドリゴのアウディに激しく接触し、この事故でセーフティカーが導入される。
数台のマシンがこの余波からかパンクを喫し、トラック上には残り6台の状況でリスタートが切られると、2番手ホールトンがオリオラに仕掛けるもオーバーテイクはならず。スペイン出身の苦労人が週末連勝を達成し、北米出身者ホールトンの背後には、地元出身のティーンエイジャー、コルネの続く表彰台となった。
これでオリオラが54点で選手権首位に立ち、ホールトンが34点、コルネが26点となったTCRサウスアメリカ・シリーズ。続く第2戦は、7月24~25日に同じくブラジルのクリティバで開催予定となっている。
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