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宗一郎イズムを体現したホンダの白い作業着! 作っているのは100周年を迎える老舗企業だった

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宗一郎イズムを体現したホンダの白い作業着! 作っているのは100周年を迎える老舗企業だった

 この記事をまとめると

■ホンダでは創業当時から変わることなく白い作業着が使用されている

ホンダ・タイプRの象徴的ボディカラー「チャンピオンシップホワイト」は日本の象徴でもあった! ルーツは歴史的偉業を成し遂げたF1にあり!!

■ホンダの白い作業着は、ほぼ100%を創業100周年を迎えた山本被服が1993年より納入している

■山本被服では基本的なデザインを変えることなく必要に応じて作業着に手を加え続けている

 本田宗一郎によって決められた白い作業着

 今年9月、ホンダは75周年の節目を迎えました。浜松の小さな町工場からスタートしたホンダは、自転車用の補助エンジンに始まりオートバイ、クルマ、そして航空機にまでその活動範囲を拡げていき、いまではオートバイの販売台数では世界一に、自動車の販売台数では世界7位/国内2位。そして小型ジェット機においても世界有数のメーカーにまで発展してきました。

 その一方で、ホンダの原点である汎用エンジンに関しても精力的な開発(と販売)を継続し、発電機の世界シェアはトップに立ち、発電機や除雪機、小型耕運機の国内シェアもトップをキープしています。

 そんなホンダですが、生産の現場である工場では創業当時から変わることなく白い作業着(つなぎだけでなく上下にわかれたツーピースも)が使用されています。これは国内だけでなく、海外の工場でも同様で、工場に入るには全員……それが社長であっても、白い作業着の着用が要求されています。

 そして、職種に関係なくホンダに就職した全社員が、半年程度の工場実習することになっているので、ホンダの社員なら、たとえ営業職であっても一度はこの白い作業着に袖を通したことがある、ということになります。

 創設以来、歴代の社員がみな着用してきたホンダの白い作業着ですが、その基本デザインは創業当時から変わっていないそうです。

 まずは汚れが目立つ白い作業着であること。普通に考えれば汚れが目立ちにくい色を選びそうなものですが、創業者である本田宗一郎はわざわざ汚れが目立つ白を選んでいます。それは汚れが目立つ白い作業着だから、汚さないように気を付ける。

 そして、作業着を汚さないように気を付けると同様に機械本体も汚さないように気を付けるようになる。さらに、お客さんに購入して頂く商品を汚さないように気を付けるのも当然だが、商品に傷がつかないようにボタンやファスナーは覆った仕様となり、同様にズボンもベルトを廃して紐で括るようになっているようです。

 ちなみに、汚さないように気を付けながら着ている作業着は、1週間着た後に週末に洗濯することになっており、社員食堂では月曜から木曜までメニューに載っていないカレーが、金曜日には提供されることになっていて、各製作所の社員食堂では“金曜日の”カレーが人気メニューになっているそうです。その元祖ともいうべき埼玉製作所のカレーうどんを再現したものが関係会社でレトルト品として生産されているのですが、数量が限定されていてホンダの社員向けだけにネット販売されているそうです。

 100周年を迎えた山本被服が30年間作り続ける白い作業着

 話を白い作業着に戻しましょう。ホンダの白い作業着にはもうひとつ特徴的なことがあって、それは横にポケットがないこと。上着には胸ポケットがあり、ズボン(ワンピースのつなぎも含めて)には尻ポケットがありますが、上着にもズボンにも横ポケットがありません。それは、横ポケットがあるとポケットに手を突っ込んだまま歩いて転ぶことがないように、との考えからです。

 ちなみに、生産のラインで働く従業員は、ワンピースのつなぎではなくツーピースの上下分轄式の作業着を着用していますが、これはラインでの作業中に、何かに引っ張られたときに引っかかった方だけが脱げて、体全体が引っ張られないように、との考えからだそう。

 現在、ホンダの白い作業着は、ほぼ100%を静岡県は東部の清水町に本社を構える山本被服が納入しています。創業から今年でちょうど100周年となる山本被服が、初めてホンダに作業着を納入したのは1993年のことで、今年でちょうど30周年になります。

 同社では、ホンダから示された見本を参考に、強度(耐久性)を増しながら袖に腕を通しやすく、またズボンも履きやすくすることを考えて上着の袖やズボンの脇と股下を巻き縫いとしています。これには3本針ミシンを使っていて耐久性も一層高く、ホンダの担当者も「山本被服さんの作業着はとても長もちします」と太鼓判を押していました。

 山本被服では基本的なデザインを変えることなく必要に応じて手を加えていて、「最近はスマートホンの大型化に対応してポケットを大きくしたりしています」とのこと。

 要するに、基本デザインを変えることなく改良改変を続けてきた、ということのようです。言ってみればこれはもう、低床バックボーンフレームに4サイクルの単気筒空冷エンジンを搭載し、大型の樹脂パネルでレッグシールド一体式のエンジンカバーを被せた、ホンダの代名詞ともなったスーパーカブのよう。しっかりした基本があり、それを時代やユーザーからのリクエストに応じてアジャストする。

 ホンダのスーパーカブや白い作業服のように、こうしてホンダは75周年から100周年を目指し山本被服は次の100年を目指すのだろう。

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