■ブガッティと合弁会社をつくったリマックの「ネヴェーラ」とは
クロアチアのEVスーパーカーメーカー、リマックは、VWグループのポルシェ、そしてブガッティとともに合弁会社を設立することを発表した。
最高速500キロ! 1850馬力のブガッティ「ボライド」の1号車がついに完成!
新たな社名は「ブガッティ・リマック」社となり、本社はクロアチアのザグレブに置かれるが、ブガッティはこれまでどおり、フランスのモルスハイムで「シロン」などの生産を継続することになる。
一方のリマックが現在生産するのは、クロアチアの海岸線沿いに起きる嵐を意味する車名、「ネヴェーラ」だ。ネヴェーラのベースとなっているのは、2018年3月にジュネーブ・ショーで発表されたコンセプトカーの「C Two」で、EVパワートレインのほとんどを自社による専用開発品を使用しているのが大きな特徴だ。
合弁会社設立のニュースの際、このネヴェーラとシロン、そしてポルシェ「タイカン4クロス ツーリスモ」が一緒に撮影された写真が公開されていたが、ネヴェーラとはどのようなクルマなのか解説しよう。
●「ボライド」より俊足の「ネヴェーラ」
ネヴェーラに搭載されるエレクトリック モーターは合計4基。それぞれが各ホイールに連結され、トータルで1914psの最高出力を発揮する。
ブガッティにとっては、EVのパフォーマンス、そして速さを見せつけられた数字だろう。参考までにリマックによるテストデータを紹介しておくと、0-100km/h加速は1.85秒、0-300km/h加速さえ9.3秒で達成することができるというが、これは当初の目標値よりも、2.5秒も速いデータになる。
ちなみに、W16エンジンだけで最高速度500km/h以上というブガッティ「ボライド」でさえ、0-100km/h加速は2.17秒である。ネヴェーラがいかに俊足であるかが分かるだろう。ネヴェーラの最高速は415km/hと発表されている。
一方のバッテリーは、120kWhの容量を搭載。最大で1.4MWの電力を生み出すと同時に、航続距離ではWLTPサイクルで547kmを実現している。
ネヴェーラの基本構造体は、自動車用のそれとしては最大サイズとなるカーボンモノコックだが、搭載されるバッテリーも剛性を確保するために有効に機能する。前後重量配分は48:52。スーパースポーツのそれとしては理想的なスペックだ。
■150台限定「ネヴェーラ」のテクノロジーとは
●「ネヴェーラ」の生産台数、グレードは?
エクステリアデザインは、基本的にはC Twoのそれと変わらないが、そのディテールでは小変更が施された部分もある。その結果空力効率は34%向上している。
アクティブデバイスも積極的に採用されており、アンダーボディ・スポイラー、フロントボンネット、リアディフューザー、スポイラーなどはオートマチックに可動する。
ドライバーは「ダウンフォースモード」と「ロードラッグモード」の選択が可能。加えてコーナリング時には、必要なトルクを各ホイールに伝達する全輪トルクベクタリング機構が備わるため、ドライバーの意思に忠実な、ダイナミックなコーナリングを楽しめるという。
ブレーキは390mm径のブレンボ製カーボンセラミックディスクと6ポットキャリパーの組み合わせ。もちろんこのブレーキは回生をおこなう一方で、非常に強力な制動力をどのようなシチュエーションでもドライバーに感じさせてくれる。
ステアリングは、ステア・バイ・ワイヤー方式だ。ドライバーからのフィードバックは、「ドライバーコーチ」モードで変更することも可能だとされる。
リマックは、今後150台のネヴェーラをカスタマーのリクエストに応じて生産する計画だ。グレードは、「GT」、「シグネチャー」、「タイムレス」の3つ。
●合弁会社をつくるメリットはあるのか
ブガッティとともに未来を歩むことになるリマックは、当然のことながらこれまで蓄えてきたEVの技術を、ブガッティへと与えることになるだろう。
また逆にブガッティ・リマック社となることによって、リマックのブランド価値は一気に高まることは間違いない。今回の合弁会社設立は、両社にとって一切のリスクはないのだ。これからの彼らが生み出す新しいプロダクトに期待したい。
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