2023年春の発売を予定されているレクサスの新たなBEV(電気自動車)であるRZ。レクサスらしいラグジュアリー性や前後2モーターによるスポーツ性、ステア・バイ・ワイヤの採用など、そのキャラクターに注目が集まる中、フランス・マルセイユを舞台にRZ450eの試乗会が行われた。
レクサスラインナップの中でも随一の上質感
2022年春にトヨタ テクニカルセンター下山でプロトタイプに試乗してから約1年。ようやく登場が間近となったレクサス初のBEV専用車「RZ450e」を南フランスの一般道で存分に試してきた。
レクサス RZ【1分で読める国産車解説/2023年市販予定モデル】
RZは、トヨタ bZ4Xと同じくBEV専用のe-TNGAプラットフォームを用いる。しかしながら剛性アップ、遮音性向上などに努めた結果、アッパーボディは実質的に別物になったという。
電気モーターはフロント150kW、リア80kWの2基が搭載され、合計230kW(313ps)を発生する。新四輪駆動力システム「DIRECT4」により、前後駆動力配分は100:0~0:100の間でリアルタイム制御される。
リチウムイオンバッテリーの容量はbZ4Xと同じ71.4kWh。しかしながら航続距離は500km以上と、パワフルな割にさほど遜色ない。実はRZはインバーターにSiC(シリコンカーバイド/炭化ケイ素)パワー半導体素子を用いることで、大幅に効率を高めているのだ。
走りの印象をひとことで言い表すならば、レクサスらしさがこの上なく濃密だということになる。要するに静かで滑らか、すっきり上質ということ。誤解を恐れず言えば、レクサスの現ラインナップで一番と言ってもいいかもしれない。そう、旗艦LSよりも・・・。
エンジンが搭載されていない分、かえって目立つ騒音や振動への対処は入念。開発陣は絶対的な数値だけでなく「静粛感」にこだわったという。剛性感高いボディに周波数感応式FRDショックアブソーバーの組み合わせにより乗り心地も上質。20インチのタイヤ&ホイールの存在を意識させないのは見事だ。
交差点や車庫入れで持ち替えはほぼ不要に
動力性能は申し分ないが、決してそれをひけらかすタイプではない。アクセル操作に応じてリニアに速度が乗っていき、しかも踏み込めば心地良い伸び感も味わえる。アクセルを戻した時の挙動も自然で、とても扱いやすい。
この乗り心地、そしてドライバビリティにはDIRECT4も貢献している。駆動力制御によりピッチングを抑制して、穏やかな挙動変化を実現しているのだ。
無論、旋回時にもその効果は存分に発揮される。前後重量配分の良さ、重心の低さも活きていて、狭いワインディングロードも苦にせず楽しむことができた。
前後駆動力配分は自在とは言え、前後モーターに出力差があるため、リアから旋回していくような挙動にまではなっていない。しかしながら、それがちょうど良い按配の清涼なフットワークと感じさせるのも、また確かなのだ。
それでも、もっと刺激を・・・という人のためには「ワンモーショングリップ」と呼ばれるステア・バイ・ワイヤシステムが用意されている。操縦桿のような形状のステアリングホイールとタイヤは機械的に接続されておらず、操作は電気信号に置き換えられ、舵は電動で切られる。操舵角は左右約150度で、つまり交差点などでも持ち替えは不要となっている。
最初は特に低速域でのクイックな挙動に面食らうかもしれないが、クルマ好き、運転好きな人なら慣れるのにそれほど時間はかからないはず。切れ味の鋭さもさることながら、絶対的な操作量が少なくなることで上半身を安定させられ、また正確な操作を疲れず行なうことができるのも、そのメリットだ。
ただし、ワンモーショングリップは発売から遅れての設定になるという。現状ではまだ残る低速域の違和感をチューニング中というのだが、私としては、これは十分許容範囲内だと感じた。多少の違和感は否定しないが、面白さはそれを上回る。早期の導入を期待したい。
BEVの特徴をレクサスらしい走りの世界の表現に実に巧みに活用してみせたRZ。走りもそうだし、リサイクル素材の活用、そして今後発表予定の充電ネットワーク戦略など、見どころは盛りだくさんだ。トヨタ自動車のBEV戦略の急先鋒という役割を担うこのブランドの改めての挨拶に代えての1台として、まさにこれ以上ないモデルと言えるだろう。(文:島下泰久/写真:Lexus International)
レクサス RZ(プロトタイプ) 主要諸元
全長×全幅×全高:4805×1895×1635mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2110kg
搭載パワートレーン:2モーター(フロント+リア)
最高出力:150kW(フロント)/80kW(リア)
最大トルク:ー
最小回転半径:ー
駆動方式:4WD
一充電走行距離:ー
総電力量:71.4kWh
タイヤサイズ:20インチ
車両価格:ー
[ アルバム : レクサス RZ450e@マルセイユ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
最初のトヨタはチャレンジングな値付けをするから少し期待。
600万円位までで出して欲しい。
半身不随麻痺の妻が使えるのではないかと期待している。
なので、出たら買う。