NOx吸蔵触媒はリーンバーンエンジンで実現している
かつて自動車の排ガスは垂れ流し状態だった。それが大気汚染の対策として基準がどんどん厳しくなるなかで、排ガス処理技術は進化してきた。
現在、ガソリンエンジン車に使われている「三元触媒」はCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)という異なる有毒ガスを無毒化する機能を持っている。具体的にはCO2(二酸化炭素)、H2O(水)、N2(窒素)、O2(酸素)といったものに変換するのが、その役割だ。
ディーゼルでいえばPM(粒子状物質)をキャッチするDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)が付いているし、ガソリンエンジンでも一部の直噴エンジンにはGPF(ガソリンパティキュレートフィルター)が備わり、よりクリーンな排ガスを実現している。
ガソリンリーンバーンエンジンではNOx吸蔵還元触媒といった技術も当たり前になっている。これは、NOxをいったんため込んでおいて、還元が可能な状況になったときにN2へと還元する機能を持つ触媒のことだ。
この機能を見て、ハタと思いつくことがある。
そう、いま気候変動対策として問題になっているCO2も触媒的な装置で吸蔵することができれば、ゼロエミッションの電気自動車や水素燃料電池車に移行する必要もなくなるし、純粋なエンジンをいつまでも楽しめるのではないだろうかということだ。
排出したCO2をすべてクルマに貯蔵するのは非現実的だ
はたして、排ガス処理におけるCO2の吸蔵は可能なのだろうか。
まず、技術的なことは置いておいて、エンジン車がどれだけのCO2を出しているのかを確認してみよう。
たとえば、いま国産車でもっとも売れているトヨタ・ヤリスのハイブリッドカーであればWLTCモードのCO2排出量は64g/kmとなっている。また、欧州で各企業に求められる一台あたりの平均値は95g/kmとなっている。
いずれにも、CO2のまま貯めていくということは、これだけの物質を排気系のどこかに溜めておかなければならないということだ。64g/kmというのは、排出量のすべてを貯蔵したとして、100km走行で6400gものCO2が溜まってしまう意味だ。
ヤリスハイブリッドの燃料タンク容量は36リットルだから満タンでの航続距離は1000kmを超える可能性がある。もし、1000kmを走ったとすれば64g/kmで計算すると64kgになる。CO2を気体で貯蔵するとして64kgというのは約3.2万リットルになる。それだけのスペースをクルマに搭載するというのは、あまりにも非現実的だ。
技術としてはCCS(二酸化炭素回収貯留技術)といって排ガスから二酸化炭素を取り出し、地中深くなどに貯蔵するテクノロジーは開発されているが、あくまでも火力発電所のようなプラントにおいて実装されるイメージであって、乗用車の一台一台に搭載するようなコンパクトなユニットにはなっていないし、そうした前提では考えられていない。
クルマの一台一台にCCSを付けるくらいであれば、火力発電にCCS装置をプラスして実質的なCO2排出量をゼロにした電力で電気自動車を走らせるほうが、よほど現実的だ。
なお、CCSによって回収したCO2を人工光合成などによって合成ガス(メタノールなど)にリサイクルして資源化する技術という方向での開発も進んでいる。こうしたテクノロジーをCCUSと呼んだりするが、もしそうして回収したCO2によって人工燃料が作られるようになればカーボンニュートラルでエンジン車に乗ることができるかもしれない。ただし、現在のガソリン並みの価格で供給できるかといえば、そう簡単にはいかないだろう。
というわけで、現時点で考えられている技術レベルでいえば、クルマを走らせながらテールパイプから排出されるCO2を吸蔵するというのは現実的ではないのだ。
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みんなのコメント
内燃機関のカーボンフリー化はやはり、バイオ燃料や合成燃料という事になる。
CO2を出さない様にするのでは無く、(高熱効率を目指すのは当然として、)排出はするが、その排出されたCO2はクルマに供給された燃料の素になった微細藻類とかが、光合成で大気から吸収した分だからプラスマイナスゼロという考え方である。
これをEV狂信者は、精製や輸送段階で化石燃料を使うからカーボンフリーじゃ無いとか言うが、その論法はEVを化石燃料由来の火力発電で動かしているからカーボンフリーじゃ無いと言っているのと一緒。
だったら、バイオ燃料で火力発電を動かしてEVに充電する?
そんな事しなくても、クルマに直接給油すれば良い。
その方が、バッテリー搭載量を少なく出来る分、環境に良い。