現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > よい子は絶対まねしちゃダメ! 走行中にギアをPやRに入れたらどうなるの?

ここから本文です

よい子は絶対まねしちゃダメ! 走行中にギアをPやRに入れたらどうなるの?

掲載 11
よい子は絶対まねしちゃダメ! 走行中にギアをPやRに入れたらどうなるの?

 AT車において、シフトをR(リバース)やP(パーキングレンジ)に入れる際は、クルマが完全停止をしたあとで操作するのが基本。教習所でもそのように習ってきたことだと思う。これは、クルマがまだ動いているときにPやRに入れると、ミッションを破損してしまう恐れがあるためだ。

 しかし昨今は、機械的に繋がりのない電制シフター(シフトバイワイヤ)が急速に普及してきており、その事情は変わっているはず。実際に試みることは断じて推奨しないが、はたして、走行中にギアをPやRに入れるとどうなるのか?? 従来型のシフトとの違いを紹介しよう。

よい子は絶対まねしちゃダメ! 走行中にギアをPやRに入れたらどうなるの?

文/吉川賢一、写真/AdobeStock(トップ画像=wolf0724@AdobeStock)

ミッション破損のリスクを排除するために生まれた「電制シフター」

ギアが回転しているときにPレンジに入れ、ギアにツメがはまってしまうとロック機構が破損してしまう恐れがある(Kanazawa photo base@AdobeStock)

 「Pレンジ」は、オートマチックトランスミッション(以下AT)ギアボックス内部のギアシャフトがそれ以上回転しないよう、ギアにツメがはまり込むことでロックされる状態のこと。

 クルマが完全停止する前、ギアが回転しているときにPレンジに入れ、ギアにツメがはまってしまうと、「ガッガッ」という大きな衝撃と、「ダダダ、ガリガリ」といった機械を叩くような音とともに、ロック機構が破損してしまう恐れがある。

 ワイヤーやロッドとトランスミッションがつながっている従来シフトのAT車では、クルマが完全停止する前でも、誤ってPレンジに押し込む操作ができてしまったため、ドライバーが誤ってシフト操作をしたことで、ミッションが破損してしまうことが多くあった。

 自動車メーカーとしても、誤操作を防止するためにシフトゲートに段差を付けたり、ロックピンやトランスミッションの耐久性を確保したり、誤操作によって(タイヤがロックすることで)スピン事故になることを防止するため、誤操作した際は、あえてロックピンが破損するような構造にしていた。

 また、Rレンジに入れたあとにリバースギアがかみ合うまで数秒のラグを設ける(駐車場での切り返しで、Rレンジを急ぐユーザーが多かった)といった対策を織り込んでいたりしたが、それでもミッションを壊してしまうユーザーは少なくなかった。

 誤操作によってトランスミッションを破損するリスクを排除するため、シフトチェンジを電気信号(シフトバイワイヤ)でやり取りするようにしたのが、「電制シフター」だ。

電制シフターでは誤操作でミッションが壊れることはまずない

シフトチェンジを電気信号でやりとりする電制シフターは機械的に繋がっているわけではないため、誤操作での破損はほぼ心配ない(pp1mbp@AdobeStock)

 機械的に繋がっていない電制シフターは、ギアセレクトができる機構があればセレクターはどのようなかたちでも問題ないため、各メーカーから様々なギアセレクターが登場している。

 プリウスをはじめとするトヨタ車や日産車などでは、セレクトレバー式のギアセレクターが採用されている。上下や左右に動かしてシフトポジションを選び、手を離すと元の位置へと戻る構造で、シフトポジションはメーター内のデジタル表示で把握する(セレクトレバーに表示されるものもある)。

 また、ホンダ車では、プッシュ式のギアセレクターが採用されているモデルがある。NSX(2016~2022年式)、レジェンド(2015~2022年式)、インサイト(2018年式~)、ステップワゴン(2022年式~)は、プッシュ式セレクターだ。

 ほかにも、スバル ソルテラ、トヨタ bZ4Xや、シトロエン ベルランゴ、プジョー リフターなどでは、ダイヤル式セレクターを採用している。

 これらの電制シフターも、ロックピンの構造自体は従来のシフトと変わらない。

 だが、ロックピンの作動が電制化されているため、ドライバーの誤操作で走行中(完全停止前)にPレンジに入ったとしても、システムが「誤操作」と判断し、走行を続けたまま誤操作を知らせるアラームが鳴るなどで、ギアがロックされることはない。

 プッシュ式電制シフターの場合、仮にPレンジとRレンジ、Dレンジのスイッチを同時押しするような誤操作をしても、システム側がシフトチェンジ信号を受け付けないようだ。

 ちなみにパワートレイン開発の現役エンジニアに取材したところ、今のクルマでシフトの誤操作をしたとしても、ロックピン破損はまずない、とのことだった。自動車メーカーでは、想定されるあらゆる操作に対して、対策をしているようだ。

それでもPやR操作は停止時に行うべき!

 ちなみに、停車をしたあとにサイドブレーキを引かずにPレンジへ入れると、クルマが前後へ若干動くことがあるが、これはロックギアに遊びがあるため。電制シフター車でも機構的には同じで、Pレンジのみの操作では、クルマを前後に押すか引くかをすれば、若干(2~3センチ)は動きます。

 「PやRは完全停止したあとに操作」だとわかっていても、うっかり間違えてしまうことは誰にでもあります。そのうっかりで高額な修理代となるミッションの破損が起きないよう、自動車メーカーが対策をしているわけだが、ただ、機械が賢くなりすぎることは、人間をダメにしていくことでもある。

 電制シフターによって、ドライバーが誤操作をしてもすぐに壊れないようにはなっているが、推奨されるルール通りに扱うよう心掛けたいものだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
くるまのニュース
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
レスポンス
「アルピーヌA110RGT」が初のヨーロッパラウンド以外となるラリージャパン2024に参戦!
「アルピーヌA110RGT」が初のヨーロッパラウンド以外となるラリージャパン2024に参戦!
LE VOLANT CARSMEET WEB
バイクニュース今週のダイジェスト(11/18~22)
バイクニュース今週のダイジェスト(11/18~22)
バイクブロス
超クラシック! ホンダが新型「ロードスポーツ」発表で反響多数! ロー&ワイドの「旧車デザイン」に「スタイル最高」の声! 女性にも人気らしい新型「GB350 C」が話題に
超クラシック! ホンダが新型「ロードスポーツ」発表で反響多数! ロー&ワイドの「旧車デザイン」に「スタイル最高」の声! 女性にも人気らしい新型「GB350 C」が話題に
くるまのニュース
タイヤに記された「謎の印」の意味とは? 気になる「赤と黄色マーク」の“重要な役割”ってなに? 気づけば消えるけど問題ないのか?
タイヤに記された「謎の印」の意味とは? 気になる「赤と黄色マーク」の“重要な役割”ってなに? 気づけば消えるけど問題ないのか?
くるまのニュース
上質な乗り心地が最高! 軽二輪クラスのスクーター5選
上質な乗り心地が最高! 軽二輪クラスのスクーター5選
バイクのニュース
メルセデス・ベンツの新世代4名乗りオープンカーのCLEカブリオレに高性能バージョンの「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+カブリオレ」を設定
メルセデス・ベンツの新世代4名乗りオープンカーのCLEカブリオレに高性能バージョンの「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+カブリオレ」を設定
カー・アンド・ドライバー
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
motorsport.com 日本版
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
くるまのニュース
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
くるまのニュース
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
バイクのニュース
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
レスポンス
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
モーサイ
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
カー・アンド・ドライバー
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
AutoBild Japan
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
くるまのニュース
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
レスポンス

みんなのコメント

11件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村