モンスター級のBMW M2 CSと並ぶ2台
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ピクサーのアニメ、モンスターズ・インクは、観たことのある読者も多いはず。今回の比較試乗は、そんなイメージだ。
ドアから顔を覗かせる、長い毛で覆われたブルーの大きなモンスター。小さなグリーンの1つ目モンスターと一緒に、こちらを覗き込む、アレだ。
ポルシェ718ケイマンGTS 4.0と、アルピーヌA110 Sの隣に、新しいBMW M2 CSを停める。筆者には、そのブルーのモンスター、サリーとイメージが重なってしまう。色は灰色で、BMWのエンブレムが鼻先に付いているが。
その横に並ぶのが、黄緑色のマイク・ワゾウスキー。ケイマンの方は、色も同じ。モンスターたちが、ここに揃ったらしい。
今回の比較は、小さいものと大きいものとの対決でもある。BMWが生み出した、最もコンパクトなMは、ステロイド剤で肉体改造されたかのように、CSへと姿を変えている。
筋肉質で堂々とした佇まいは、競合するミドシップ・スポーツカーを圧倒するよう。より小さく、軽く、低いミドシップを持ってきても、最高のドライビング体験を約束してくれる、FRのM2に分があるように思える。
MディビジョンがM2へ与えたパワーとノイズ、太いタイヤは、敏捷性の高いモデルへ対峙するため。718ケイマンGTS 4.0やA110 Sとは、対極的ともいえる。
この3台を直接比較し、勝者を決める。筆者にとっては、難解な試乗になりそうだ。古い親友へ、久しぶりに会ったようでもある。以前にそれぞれ会った記憶はあるものの、お互いにどこかよそよそしい。
理想的なケイマンのドライビングポジション
通常、AUTOCARの比較試乗では、1台は真新しいモデルが含まれている。だが今回は、3台ともに何度か取り上げられている。どんな展開になるのだろう。
1台づつ見ていこう。アルピーヌA110は、3年前の発売以来、称賛を集めてきた。ところが昨年導入された、より強力なA110 Sは、グループテストでの成績があまり奮わない。A110の方は、勝利を挙げているのだが。
以前の試乗レポートでは、グリップとパワーが高まったことで、天才ミドシップとしての輝きに陰りがでていた様子。A110には、必要としないものだったのだろうか。
新しいポルシェ718ケイマンGTS 4.0の方はどうだろう。ジュニア・スポーツカーに、ポルシェはフラット6を復活させた。パフォーマンスカーの階級付けが、再び整った。
ポルシェもアルピーヌも、運転せずして、その味わいを予感できる。個性が濃い。
ケイマンのドライビングポジションは、ほぼ理想的。ドライバーの正面中心にきれいに並び、足を伸ばせ、着座位置は低い。
シートもステアリングホイールも、必要なだけ位置調整ができる。ただし試乗車の場合、座面の長さ調整はなし。ランバーサポートも不足気味ではあった。
アルピーヌA110 Sのドライバーズシートは、標準のA110の記憶より、ヒップポイントが高くコンパクト。背もたれが固定式の、サベルト製シートのせいかもしれない。筆者の身長ではルーフが頭に近すぎる。ヘルメットを快適に被れないほど。
威勢が良いものの、格違いのエンジン
車内からの視界も、718ケイマンは全方向で優れる。一方でアルピーヌは、前方も横方向も、狭い窓から見渡すような気分になる。A110は、コンパクトであることを目指している。実際、小さい。
ケイマンGTSから降りて、アルピーヌA110 Sに乗り換える。これほど押し込まれたような感覚になるとは、想像もしなかった。
A110 Sのドライビング体験は、直接的で勢いがある。スポーツ・モードを選択すれば、292psを発生する1.8Lの4気筒ターボは唸り、エグゾーストは叫び、弾ける。とても威勢が良い。
シフトパドル付き7速デュアルクラッチATの、ショートレシオな中間ギアを使えば、みるみる速度を高める。一方で、心地よく回る718ケイマンの水平対向6気筒エンジンのサウンドや、豊かなフィーリングには及ばない。
高負荷時のアクセル操作に合わせて、回転数が100rpm増えるごとに、高まるエネルギーを感じ取ることは難しい。ポルシェで楽しめるように。
718ケイマンの、6気筒エンジンを味わい尽くすカギとなるのが、6速MTだ。だが、アルピーヌではMTが選べない。
アルピーヌが搭載するエンジンは、ホットなルノー・メガーヌ譲りの4気筒ターボ。一方で、718ケイマンの方は、4気筒ターボへの批判に答えるように新開発した、まったく新しい自然吸気の4.0L。その違いは、試すまでもないかもしれない。
標準のA110とは異なる、A110 Sの性格
フラット6は滑らかにパワーを高める。音響的な高まりも素晴らしい。一方でA110 Sの方は、率直にいって過去のフラット4と比較するべきユニットだと思う。
A110 Sは常に、車重の軽さや機敏な操縦性に依存している。速度を保った滑らかな走りは、コンパクトさが握っている。シャシーの本領を発揮させるには、コーナーへ積極的に立ち向かう必要がある。
攻め立てるほど、操縦性は引き締まり、敏捷性も高まる。同時に、フロントタイヤのグリップを見極める作業が、リアタイヤを操る以上に求められてもくる。
グリップレベルのバランスは、完璧というわけではない。アンダーステア傾向が強いようだ。
グリップ力は、明らかに標準のA110より高い。高速域での安定性にも優れる。それは、サーキットでの走行に焦点が向けられているから。Sの付かないA110とは、異なる性格だといえる。
標準のA110のようには、衝動的に道を走らせない方が良いだろう。Sへ与えられたステアリングの鋭さは、充分な重み付けや手のひらへ伝わる感触がなければ、扱いが難しい。標準のA110なら、そんな心配はいらない。
対してポルシェ718ケイマンは、ミツバチのようなアルピーヌA110 Sには備わらない、丸さと落ち着きがある。だが、路面からの垂直方向の強い入力があると、車重の重さは感じられる。完璧ではない。
この続きは後編にて。
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